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3話 第一街人発見

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 トンネルを抜けるとダンジョンだった。


 いやまあ、トンネルの方がダンジョンなんだけどさ。

 探し回って開けた出入り口の先は作製時に見つけた地下空間。その時は中の様子はよくわからなかったが地下牢あたりではないかと予想していた。


 だがそこは俺の巣穴偽装ダンジョンとは比べものにならないほどのダンジョンじみた雰囲気を醸し出していて。

 照明の魔法光球を動かして確認すると、壁は綺麗に整っていた。これはタイルかな、大小様々な三角形の板が規則的に配置されている。

 タイルには文字や図形が描かれ、なにか力を感じるな。これがダンジョン作製を防いだのか。そうなると、出てきた穴を振り返れば、タイルが一枚、壁から剥がれ落ちていた。


 うわ、こりゃ目立つなあ。ダンジョンの出入り口だってバレないようにしたいのに。

 落ちてたタイルを確認すると、タイル自体にはヒビ一つなかった。ダンジョン作製を邪魔するだけのことはあるな。

 ならばと床に落ちている壁の破片を拾ってアイテムボックスに収納し、タイルを壁に立てかけてみる。


 駄目だ、すぐに倒れそう。仕方ない、アイテムボックスから前世から持ってきた接着剤を……でかいな。チューブが大きくて中身が出しにくい。

 なんとかタイル裏面に接着剤を塗布して壁に貼り付ける。

 倒れないようにしばらくタイルを押さえつけていると、なにやってるんだろ、って気分になってきた。

 転生して心機一転なはずなのに、なんでこんなに落ち込んでくるんだか。


 ぶるぶる。倦怠感だけでなく寒気までしてきた。もう、こんなもんでいいや。大きなため息をついて壁から離れようとした瞬間、それに気づく。

 なにかが自分に触れている!

 意識を〈感知〉スキルに集中。ゾッとした。

 見えないなにかが俺のすぐ隣にいたのだ。〈感知〉からは人型っぽいそいつの手が俺を掴んでいるのが伝わってくる。


「なっ!」


 慌ててその手から逃れて移動するも手は追ってくる。少し離れてやっとそいつの姿がぼんやりと見えた。

 まるで影のようなゆらめく人型。ぽっちゃりしたメタボ体型の物体。もちろん人間ではないだろう。


「ゴースト、いや、ファントムか?」


 よく見えないし逃げながらなので上手く〈鑑定〉ができん。しかも霊だけあってぽっちゃり体型なのに動きが速い。

 しばらく逃げて出口を探すが見つからず、再び捕まりそうになってやっと〈転移〉のことを思い出してコアルームに帰った。



 ◇



 なんだアレ? なんだアレ!

 地下牢じゃなくて地下墓地だったのか?

 あんなのがいるなんて聞いてないぞ。


 だ、大丈夫だ。もしあいつが壁抜けできてもダンジョンの壁は霊も抜けられないはず。

 そうだ! さっき思いついたようにコアルームの通路とさっき修復したタイルの裏をダンジョンの壁で埋めてしまおう。瘴気の吸収ができずDPは自動的に発生といかないが、霊にコアルームまで到達されるよりはよほどマシ。


 周囲に霊がいないのを〈感知〉で確認してからダンジョンコアをしまった炊飯器の〈施錠〉を解除して蓋を開ける。

 途端に拡がる炊きたてご飯のいい香り、ではなくダンジョン機能の解放。コアと隔離されて弱っていたこの身体に力が漲ってくる。


 ふう、やっと少し寒気が収まってきた。

 ダンジョン機能で侵入者をチェックするも、やはりいないようだ。なのでダンジョンの出入り口を塞いでしまう。さっさと壁を設置しなくてはいけない。

 問題はさっきDPをほとんど使ってしまったので足りるかなのだが。


「あれ?」


 DPがかなり増えている。あの地下空間にはそんなに瘴気を感じなかったのに。

 ともかく、急いで壁を設置しよう。ダンジョン内にさっきのやつや他の霊がいないのを再確認してタイル裏に壁を配置する。少し厚めにしておく。

 残りDPと相談してコアルームを少し広げてからダンジョン壁で密封する。

 これでやっと一安心だが、まだ身体の震えが止まらない。


『HP:88/2100』


「スティールかドレインをくらっていたのか」


 ステータスウィンドウを開いて驚いた。俺のHPが一割以下に低下していたのだ。

 さっき触られていた時に吸われていたのだろう。


 ああ!

 DPが増えた原因もわかった。HPを吸われていた時に逆にあいつから瘴気を吸収していたからに違いない。

 ダンジョンマスターであるこの身体は意識しないでも瘴気は勝手に吸収する。コアを解放したのでDPに変換されたみたい。


 それにしてもやばかった。気づかなければ死んでいた。怪我や出血といったわかりやすい異常がなくてもHPがゼロになれば死んでしまう。

 これからはもっと用心しなければ。


 このDPの入りと僅かな時間にHPをここまで奪う力から見て、あれはかなり高位のモンスターだろうということだ。

 なんであんなやつが出口付近に……。


 駄目だ、どんどん落ち込んでしまう。マイナス思考になりがちなのはHP低下の影響だろうか。

 って、これか。


『状態異常:恐慌(弱)』


 俺には〈精神異常耐性〉スキルもあるのだけどレベル1では役に立たなかったか。

 それとも、スキルを持っていたから(弱)で済んだのかも?


 原因はわかったがこれがレベル1程度の〈回復魔法〉で治るとは思えない。

 いや、そう思うのも恐慌状態のせいか。

 とにかく、寒気だけでもなんとかしたい。

 今はまず、俺の種族【スクナ】の固有(ユニーク)スキルである〈温泉作製〉の出番のようだ。


 先程コアルームを広げた際に追加した部屋を浴室にする。排水口を設置して、アイテムボックスから湯船代わりの湯飲みを出す。狭い湯船だが、今は少しでも温まりたいのだ。

 スキルで湯飲みの底から温泉を湧かす。うん、ちゃんとお湯が出てきた。どこからでも温泉が発生するというのはスゴイな。

 貫頭衣はオシャレには程遠いがさっさと脱げるのは有り難い。脱いだ服の上に眼鏡をぽいっと置いて準備完了。

 湯飲みが倒れないよう注意しながら湯船につかる。


「ふぃー」


 思わず声が出てしまうほど、いい湯だ。少し熱い気もするが今の俺にはちょうどいい。

 温泉の湧出量はなかなかですでに湯飲みから溢れているが気にしない。そのために排水口があるのだ。

 MPの消費もたいしたことはないようだし、まだ止めないでいい。


 お湯で顔を洗い、口を濯いで排水口にむかってぺっと吐き出す。

 飲める温泉もあるから飲んでも大丈夫かな?


『HP:133/2100』


 おお、少しずつHPも回復しているな。温泉スゲエ!

 せめてHPが半分くらいになるまで、ゆっくりと長湯しておくか。



 ◇



『HP:404/2100

 状態異常:なし』


 HP回復だけじゃなくて状態異常も回復してしまった。さすが温泉だ。

 ん?

 さっきは恐慌状態のせいで気づかなかったけど、HPの最大値が増えている?


 ステータスを確認すると、いくつかのスキルがレベルアップしてさらに新たなスキルが増えていた。

 さっきの戦闘、っていうかダメージくらっただけでこれか。ダンマスってレベルアップしやすいのか。


『〈HP倍増〉LV2

 〈精神異常耐性〉LV2

 〈頑丈〉LV2

 〈感知〉LV2

 〈霊視〉LV1

 〈吸収耐性〉LV1』


 最大HPが増えたのは〈HP倍増〉スキルのおかげで、見えなかった霊が見えるようになったのは〈霊視〉スキルを習得したからだろう。

 このスキルのレベルを上げれば気づかずに近づかれることもなくなる。


 霊のことも逆に考えよう。

 やつが俺のダンジョンの頭上を守ってくれている。やつならばそう簡単に侵入者を寄せ付けはしないだろう。

 ただで高位モンスターを使えるのだ、ラッキーすぎる!


 DPの入りもいいし、またちょっとだけ触って戻ってくれば稼ぐこともできる。

 ちょい命がけではあるが、HPも増えたし〈吸収耐性〉スキルも入手したのでさっきよりも死ににくい。スキルも鍛えられるしやるだけの価値はある。


 なにより今は復活無料。死んでも問題なし。

 この状態で強いやつと戦えるならばやるしかないでしょ。

 HPは〈回復魔法〉で治せるから全快したら再アタックといきますか。


 よし! 恐慌状態が治っただけでこんなにもポジティブシンキングできるようになった。さっきまでの反動で楽観的になりすぎてる気もしないでもないけどね。





Tips

 よく使われるカッコ(例外あり)

〈スキル〉

[鑑定内容]

【種族名】

『ウィンドウ』

〔PCその他画面〕



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