15 天才ユナの元気が出る目覚まし
ドォォォォォォォォォォォォン!
「なっ、なんだぁ!?」
鼓膜を衝く爆発音が頭上で響き、反射的にベッドで飛び跳ねた。
「おはようございまーす!」
枕元に立っていたのはネグリジェ姿のユナ。その右肩に乗っている銃火器らしき先端からは煙がもうもうと立ち上っていた。
「何やってんだお前!」
「バズーカ目覚ましですー。ユウヤさんの故郷ではこうやって起こすと聞いたのでー」
「どこ情報だよ! つーかそんな物騒な物どこから持ってきた!」
「安心して下さい、これオモチャですから。魔界グラナムのショップから取り寄せた『魔導バズーカ』ですー」
「はあ?」
なんつーもの売ってんだよ魔界は。オモチャとはいえ心臓に悪すぎるわ。
「シズハさんから『ニッポン』の文化を教えてもらったんですよー。そしたら魔界にイイもの売ってるからってすぐに取り寄せてくれて」
そう言えばあの人、色んな世界の文化や風習を学んでるとガトウが言ってたな。ユナに変な入れ知恵しやがって……というかバズーカで目覚める習慣なんかねーし!
「さあ、起きたところで朝ご飯にしましょー!」
硝煙が立ちこめる中、ユナはてくてくと部屋を出て行った。
俺は煙をぱたぱたと手で払い、
「……明日から自力で起きよう」
ベッドから降りTシャツにジーンズ姿へと着替えた俺は、食堂に向かう。
――今日も騒がしい一日になりそうだ。