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32.鬱屈



いくら考えてみても、霜髪の男の子のことが思い出せない。

制服は初等部の物だったが、もしかすると初等部では無いのかもしれない、と思いラザフォード様に尋ねてみたりもしたが見当違いだった。

そもそも学園内に霜髪の男の子が居た記憶が無いのだ。


「じゃあ、また」と男の子はそう言った。

(…一体どういう意味なの?)


ハンカチに加えてまた、新たな悩みが出来てしまった。





「ねぇメイリー、元気?」

「…どうしたんですか、急に」

「私の気のせいなら良いんだけれど、最近元気が無いように思えて」

「申し訳ございません、お嬢様に心配を掛けさせてしまうだなんて…私は元気ですよ」

「本当に?」

「ええ、大丈夫です」

「…そう」


リベラは納得がいかないという顔をしているが、これ以上リベラに心配を掛ける訳にはいかないのだ。





「メ、メイリアさん!遅くなってしまって、ごめんなさい」

「いいえ、ありがとうございます。では」


あのハンカチが私の手元から離れて2週間が経ち、やっとリリー・メレスがハンカチを返してくれた。

リリー・メレスから受け取ったハンカチは、やはり良く手に馴染む。

これで悩みは…全て解決した訳ではないけれど、直ぐにリベラに言いに行こう。


「あの、メイリアさん…!お礼に、今度お茶でもどうですか」

「はい…はい?」

「あっありがとうございます!また改めてお誘いしますね!」

「えっ、ちょっと…」


断る間もないまま、リリー・メレスは走って行ってしまった。

一度受けた誘いを侍女が断るなんてことは、あってはならない。


(…弱ったわ)

解決したはずの悩みが、あろうことか更に大きな悩みに変わってしまうとは思っても居なかった。


取り敢えずこの件も、リベラに言えそうに無い。



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