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24.図書館



エントウィッスル学園に入学して半年が経った。

各国の歴史や政治についての授業は、1度やっていたこともあり難なくこなせている。侍女科特有の授業も、リラにみっちり叩き込まれたあの2ヶ月間のお陰か成績上位を保っている。


そして私は今、学園の中央にある図書館にいる。

本を読むという目的もあるのだが、この中央図書館の2階は大層見渡しが良いのだ。


(…また一人)

歓迎パーティーでリベラに飲み物を掛けた女の子、リリー・メレス。

彼女は良く中央図書館の側のベンチに一人で座っていて、その姿がここからは良く見える。


「メイリーちゃん、またあの子見てるの?」

「…ラザフォード様」

「僕のことはアンバーって呼んでくれて良いんだよ」

「いいえ、そういう訳には」


こうしてリリー・メレスの観察をしながら本を読んでいる時に知り合った、高等部生のアンバート・ラザフォード。ナイアード国公爵家の長男で、面識は全く無かった。


「あの子見るよりさ、また僕にお勧めの本教えてよ」

「…はい。今回はどのような本をご所望ですか?」

「やっぱり恋愛要素は欠かせないよね。この前メイリーちゃんが紹介してくれた本は女の子が積極的だっただろう?だから今度は慎ましやかで、最後の最後に結ばれるような大恋愛!って感じが読みたいなぁ」

「はい、ではこちらの〝貴方の腕の外で〟がお勧めです」

「わぁ、本当に早いよね。ありがとう、読んだら感想を言いに来るよ!明日もここにいる?」

「はい」

「じゃあまた明日」


立ち上がりお辞儀をしてラザフォード様を見送る。

彼は私の、所謂読書友達となっていた。

肩より下まで伸びた艶やかな暗紫色の髪を緩く結び、時折紅茶を嗜みながら本を読む姿はさながら絵画のように美しい。


彼は見た目によらず男女の情愛物の小説が大好きで、本の感想を言う姿はまるで恋に憧れる乙女のそのものなのだ。

(噂は酷いものだけど…良い人よね)

小説について話す彼からは想像がつかない程、女性に関する噂はすこぶる悪い。

軽い言葉遣いや妖艶な外見からのでまかせだと思ってはいるが。


(居なくなっちゃったわ)

ラザフォード様と話すようになってから、リリー・メレスを見失うことが多くなった。次からはもっと意識を傾けるようにしなくては。


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