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僕が何であるのかよく分からなくなったのである。

 あなたがわかめさんなのであるのかな?


 ポンッ


 と実を出して、差し出してみた。


「んふふっ」


 どこか楽しげに僕を見ながらバスタブのヘリに腕を絡ませて実を受け取って食べてくれた。


「うん、そうだよ。僕がわかめ、えびの双子の姉だ。君はえびに用があってきたのかな?それとも僕と遊びに来てくれた?まっ、どっちでもいいんけどもうちょっと待ってね。もう少し入ってないとダメだからさ」


 そう言って濡れた長い髪を撫でている。

 それにしても、これは何をしているところなのであろうか?


「あ、でもここで待っててもいいよー。どうせする事もなくて暇だからさ、お話してようよ」


 まぁ……お話は別にいいのであるが、これはもしかして何か出している最中なのであるのかな?

 出すって何であるのやら……。


 えっと、


 僕はこの世界に触手として転生して来た元猫なのである。

 それでちょっと転生についてお話を聞きたいのである。


 ポンッ


「そうなのか、君も転生して来てたんだね。まぁ同じ別世界から流されてきた流れ者同士、仲良くしようじゃないか。それで僕に聞きたい事とはなんなのだい?僕に答えられる事だったら、なんでも教えてあげようじゃないか」


 チャラエビさんと違って、何か随分と信用が置けそうな感じなのであるな。


 えっと、僕と一緒に車に轢かれてこの世界に来てしまった女の子がいるのである。

 その子は普通の毛なしの子なのであるけど、時折耳の長い、緑の髪をした子に見えるのである。

 これは大丈夫なのであろうか、と心配なのである。


 ポンッ


「あぁ……そうなのか」


 そう言ってわかめさんはバスタブの中に沈み込んでポコポコと泡を出した。


 そして、ザパリと顔を出したのはチャラエビさんだった。


 ……今、何が起こった?


 バスタブから顔を出したチャラエビさんはニヤリと笑い、またバスタブに沈んでいき、そしてまたわかめさんが顔を出した。


「まぁ多分、こういう事だね」


 どういう事であるかぁぁぁぁぉ‼︎


「あの酔っ払いから聞いたんだと思うけど、僕たちは一つの身体の中で共存してる。ある程度、話し合いが出来てたらこうやって自由に入れ替われる訳さ。どうなってるのかはサッパリだけどね」


 そ、そうであるのか。で、あるなら、問題はないって事でいいのであるのかな?


 ポンッ


「いや、僕たちと事情が違うから大問題かもしれない」


 なんと⁉︎


「君がこっちの世界に来てからどの位になるのかは知らないけど、あっちの世界とこっちの世界が大分似通ってるのは分かるよね?」


 うむ。街並みはほぼ同じであるし、住んでる毛なしは姿形は少し変わっているのであるが、同じ毛なしっぽいのがいっぱい居るのであるな。


「ちょっとずつズレてはいるけど、リンクしてる誰かが死んじゃった時、稀に引っ張られてきちゃってくっ付いちゃう時があるのよ。まぁ逆もあると思うけど、それを僕らは転生って呼んでる訳なんだけどさ」


 それで言うと、僕はそもそもから触手であるという事になるのであるのかな……?

 何か釈然としないものがあるのである。


「僕らの場合は、なんらかの事情で双子が一人になって生まれてた所に二人で飛んじゃったからこんな、こんがらがった状態になってるんだけど、君たちの場合は多分違う」


 たち?


「トメさんの他にもこっちの世界に転生した人は何人かいるけど、みんな人だ。それでいうなら、こっちの世界にも猫はいるんだから君も、多少変わってても猫になってなきゃおかしいし、他の人たちが違和感なくこっちの世界の人になってるように、その女の子もこっちの世界の姿で安定してなきゃおかしいんだよ」


 つまり……どういう事なのであるか?


 ポンッ


「ここからは憶測になるんだけど、多分その女の子、死んでなかったんじゃないかな?」


 ぇえっ⁉︎


「死んでないのにショックというか衝撃というか、そんな感じでこっちに半端に弾き飛ばされてきちゃった。それに君が巻き込まれて、たまたま魂の入る器の空いてた触手に入っちゃったと。まぁ憶測だけどね」


 ……。


 枯れ木さんが、僕を寄生種だって言って、でも寄生種なら寄生してないのはおかしい。とも言っていたのであるよ。


 ポンッ


「ふふっ寄生種の触手が、寄生されて寄生する必要のなくなった種になった?もし本当にそうなら世紀の大発見だなぁ。しかし、えびはアホだけど運だけは馬鹿にいいから侮れないんだよなぁ」


 チャラエビさんの評価は別にどうでもいいのであるが、僕の存在が一番怪しい気がしてきたのでいあるな。

 もしかして僕、思ってたよりもかなりヤバい触手なのでは?


 ピピピ ピピピ ピピピ ピピピ


 おわっ⁉︎

 なんであるか‼︎


「おっと、薬湯に浸かってる時間が終わったようだ」


 そう言ってバスタブのヘリに手を掛けたわかめさんが、僕を見たまま動きを止めた。


 ん?

 なんであるかな?


「んー……」


 んー⁇


「すまないが、君くらいに知能が高い子の前で裸を晒すのは少し気恥ずかしいな。なるべく早く済ませて戻るからオーナーの所で少し待っていてもらえるかな?」


 ?

 気恥ずかしいの意味がよく分からないのであるが、了解したのである。


 ポンッ


「ありがと」


 何故か照れているわかめさんを残して、僕は手早くバスタブの部屋から出た。


 裸は恥ずかしいのであるか……。


 そういえば、毛なしはみんな服を着ているのであるなぁ。

 猫にしろ、触手にしろ服とか着る必要がないのであるから、よく分からないのであるが……、僕も何か着た方がいいのであるかな?

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