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師弟そろってトリップする癖があるのである。、

「植物触手が電気を通す訳がねぇ。加えて悪食の上で吸収した触手を体に残してるってなりゃ寄生種しかねぇんだが……、猫に寄生したんなら、なんで猫の姿をしてねぇ?いや、そもそも寄生種が寄生しねぇで居る訳がねぇんだが……訳わかんねぇな。昔は猫だったってなんだ?」


 訳がわかんねぇのは僕もおなじなのであるが、僕は転生というやつでこことは違う世界から来た猫なのであるよ。トメさんと同じなのである。


 ポンッ


 と、実を出したのはいいのであるが、トメさんのお知り合いとは限らないのであるよな。何となくトメさんとか、御神木の兄さんとも知り合いな気がしたのであるが……。


「なんでぇ、おめぇトメ知ってんのか。つか転生かよ」


 やはり知り合いであったか。同じ匂いがする訳である。


 ポンッ


「トメは俺の弟子だかんな。最近来ねぇと思ったらこんなおもしれぇ触手囲ってやがったか……」


 おもしれぇて、というか弟子であるかぁ。そんな感じであるなぁ。


「しかし、転生して触手たぁ俺も長いこと生きてるが初めて見るな。しかも元が猫だってんなら、えびわかめ以上に希少中の希少だなぁ」


 ん?

 チャラエビさんも希少なのであるか。何が希少なのであろうかな?チャラさ?


「まぁ転生の関係でなんか分からねぇ事があったらアレに聞きな。アレも転生者だからな」


 なんと‼︎


「それも普通の転生の仕方じゃなかったからな。そのせいで俺もアレも苦労したもんよ」


 ……。


 その、転生について詳しく聞いてもいいであるか?


 ポンッ


「お?気になるのか?まぁおめぇも転生してるから、気になるっちゃ気になるか。いいぜ、教えてやる」


 そういうと枯れ木さんがグラスとビンを取り出して、トクットクッと注いだ。


 お酒……であるのかな?何やらトロッとしているのであるが。


 枯れ木さんが蓋を閉めたビンを脇に置きながらグラスの液体に口を付けて、口を開いた。


「あぁー……何の話をしてたんだったか?」


 なんかちょっとイラっとしたのである。


「あぁ、そうだ。転生だったな。まぁ転生っつってもこの世界で赤ん坊からやり直すわけじゃねぇ。トメババァはこっちに来た時からババァだったしな」


 そういえば……そうだった?いや、僕は触手だからそもそもがよく分からないのであるな。


「転移と転生がゴッチャになったって感じなんだろうが、こっちの世界にゃちょいちょい飛んでくるから別段、珍しいってわけでもねぇんだけどな。けどまぁだからってマトモなわけじゃねぇ。異常は異常だ。

 それでたまになんだろうが転生そのものが事故る事がある。それがえびわかめよ」


 転生そのものが事故る?


  「あれは……列車事故、とか言ってたかな。えびわかめは双子の姉弟なんだが、事故で二人いっぺんに死んじまったらしくてなぁ……。二人してこっちの世界に飛ばされて来たのは、良くねぇにしてもまぁいいんだが、一つの身体に二人が入っちまったもんだからもう大変よ」


 それはどんな状態なのか⁉︎


「そのせいなのか、変な体質しててな。四六時中犬猫やら触手やらに襲われて大変だったんだが……今はそれを逆に利用してメシが食えるようになったんだから、世の中何がどうなるかわからねぇもんだよ」


 変な体質?犬猫は分からないのであるが、触手に襲われるというのは何となく分かるのであるな。

 何かよく分からないおいしそうないい匂いがしていたのであるからなぁ。


「一時はえびとわかめがせめぎ合って姿も安定しねぇわ、そうなると余計に触手に襲われるわで、原因が分かって対策がとれるまでホント大変だったなぁ……くっくっくっ」


 これは……。


「それからまたえびとわかめの折り合いが付くまでも、まぁ大変だった。今じゃまぁ随分と仲良くやれてるみてぇだが、あの二人の間で何があったんやら」


 そうしてまたくっくっくっと笑いながらグラスを煽ってる。


 酔っているのであるかな?

 というか、語りに入ってて僕の事を見てなくない?目元が見えないから、どこを見て喋っているのかよう分からないのであるな。


「しかし、あのクソ生意気な小僧と小娘に店を任せられるまでになりやがったんだから、俺も歳をとったってもんだわなぁ」


 あぁ、ダメであるな。

 明後日を向いて喋り出したのである。


 師匠と弟子と揃ってトリップ癖があるとかやめてほしいのであるな。


 まぁ、絡んで来る訳ではないのであるから、いいと言ったらいいのであるのかなぁ?


 さてどうしようか?


 日を改めるのもいいのであるが、ここは少し転生の事を聞きたいのである。


 チャラエビさんはお店の奥に行ったのであるが……、出すとは何であろうな?


 クピクピとグラスを傾けてる枯れ木さんをほっといて台から降りてお店の奥に触手あしを進めてみた。


 こっちであるかなー?


 何か倉庫の様な部屋を過ぎ、作業場の様な所の奥から音がする。


 これは、水の音であるかな?

 何かチャプチャプとした音と一緒に不思議な匂いがするのである。

 でもこれは、あまり美味しそうではないのであるなぁ。


 なんであるかな?


 おじゃましまーす。


 とドアノブを回して中を覗くと……バスタブ?


 タイルを敷き詰められた部屋の真ん中に足の付いた白いバスタブがある。


 その中に入ってるのはチャラエビさんと同じ皮膚の色にヒレの付いた毛なしの女。

 この毛なしがわかめであるのかな?


 んふんふと鼻歌を歌いながらバチャリとバスタブから足を伸ばした毛なし女がこっちを向いた。


 ちょっと驚いた様な顔をしたが、すぐにニヤリと笑って僕を見た。


「えびが声を掛けた触手君じゃないか。イケナイ子だね、こんな所まで入ってくるなんて」


 顔の形は違うのに笑い方がチャラエビさんと同じなのであるな。

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