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姦し三人娘なのである。

はぁー気持ちいいのであるなぁ。


 お日様というものは本当に偉大である。


 こうして木の上に立ってお日様を浴びているだけだというのに、心までポカポカとしてくるのであるからたまらない。


 日向ぼっこをしているだけで一生過ごせそうである。


 お日様に当たりながらのんびりと景色を眺め、雲のうつろいに心を和ませながら、日の傾くに身を任せる。


 なんと優雅な事であるか。

 これでしかも、食事も兼ねているというのであるから言うことなしなのである。


しかし……。


 紅く染まりつつも空はこれほどまでに晴れやかだと言うのに……。

 暖かくなったはずの心は一向に落ち着く気配がない。


 雨があがってから三日。


 こうしてずっと木の上にいるのだが、女の子の姿をまだ一度も見かけていない。


 この下の道は女の子が学校に行く為の通学路であったはず。

 毎日決まった時間にここを通って学校に行っていた筈であるに……何かあったのであろうか?


 女の子の家に様子を見に行きたいのであるが……。僕、今は猫ではないのよなぁ。

 猫の尻尾っぽい触手は生えているのであるが、逆に猫を食ったと思われそうで不安である。


 ……。


 ……ゆくか。


 悩んでいても仕方がないのである。女の子の部屋は分かっているのであるし、外から覗く分には問題あるまい。


 スルリと木から降りて女の子の家に走る。


 ズザザザッズザザザッ


 塀を乗り越えて敷地の中にシュルリと忍び込み、女の子の部屋を目指して回り込む。


 ふむ、物音がするのであるな。

 誰かいるようである。


 壁をよじ登り窓に張り付いてみると……居た。

 女の子である。

 机に向かい、何かしているようであるが……勉強であるかな?


 元気なようで何よりなのであるが……髪が緑色で耳がとんがっているのであるな。


 最後に見た時には黒髪の普通耳であった筈である。


 何かあったのであろうか?


 気になる。


 誰かにこの事を聞きたいのであるが……誰がいいだろうか?


 触手から見ても存在が謎な御神木の兄さんか。

 本人も転生してきているトメさんか。

 色々と知ってるネジ屋さんか。


 触手の事であれば頼りになる方達なのであるのだが、転生となると分からないのであるなぁ。


 ふむぅ。


 とりあえず女の子にバレる前に静かに窓から離れて来た道を戻った。


 転生に詳しい人物。

 と考えてみても全く見当が付かないのであるが、ふと『研究所』という言葉が浮かんだ。


 研究所というくらいなのであるから、転生の事も何か知っているのかもしれないのであるが……今の僕にはアポイントを取る手立てすらないのである。


 まずはやはり、御神木の兄さんから聞くべきであろうなぁ。


 ズリズリと道を歩いていると公園に差し掛かった。


 ここは……この公園は僕が触手になって目が覚めた公園であるな。


 何気なく塀を越えて公園に入り、よく寝床にしていた茂みの中に入り込んで触手をにょろにょろと遊ばせる。


 ……。


 にょろにょろにょろにょろ


 パシッ


 にょろにょろと遊ばせた触手を尻尾触手で捕まえた。


 酷い虚無感である。


 猫であった時には、あれ程までに心躍らせたにょろにょろとした動きを見ても、何一つとして心は騒がず、捕まえた時の高揚感も全くない。


 僕は本当に猫ではなくなったのであるなぁ。


 茂みから這い出して周囲を見てみれば、今まで見知った筈の光景が全く違うものに見えた。


 見えている物は同じであるのに、見えている物の認識が全く違う。


 塀、植込み、トイレ、滑り台、ブランコ……。


 極普通の公園である。


 何となくブランコの鉄柱に寄りかかり、触手を絡ませててっぺんまで登る。そのまま横に渡されている鉄柱を滑り歩き、鎖を伝って下に降りてブランコに座った。


 尻尾の触手をプラプラさせるとブランコがキィと音を立てて揺れた。


 ……。


 揺れた。


 尻尾振り上げ、振り下ろすとキュイっとさらに揺れた。


 ふんっふんっ


 キュイキュイ


 楽しいのであるな。


 ふんっふんっ


 キュイキュイ


 ちょっとコツが掴めてきたのである。


「ねぇっねぇっちょっとアレ見て!」


「え?あれって……触手?」


「ちょっブランコ漕いてるよ⁉︎」


 何やら姦かしましい声が聞こえる。何となく……聞き覚えのある声であるな。


 キュイイ キュイイ


「ねぇアレって尻尾?」


「猫の尻尾っぽいよね。蔓みたいな触手なのに」


「尻尾が先か触手が先か?」


「いや、触手でしょ」


 キュイイ キュイイ


 耳の長い毛なし女三人組。髪の色がそれぞれ赤、青、黄とカラフルであるが……見覚えがないのに覚えがある?


 というか、なんとなし不思議なリズムのある掛け合いを覚えてる。


 これは猫の時の記憶?

 つまりは、女の子が耳長になってるように、悪童が猿になっていたように、僕がこの公園にいる時にたまに襲来してきた女子高生とかいう三人組の生き物であるか?


「触っても大丈夫かな?」


「噛まれたりしない?」


「蔓の触手は噛まないでしょ。確か蔓の触手は叩いてくる」


「尻尾に叩かれるなら本望」


「私は尻尾でもやだよ?」


 でも、服が違うのであるな。

 あっちの世界の三人組はヒラヒラした短い腰巻の揃いの服であったのに、今はバラバラの服装である。


 いや、あの揃いの服、学校制服というヤツはこっちの世界でも同じく見た覚えがある。


 確か今日は毛なしでいう平日であるはず。であるが三人組はいわゆる私服である。

 猫の記憶と今の知識を組み合わせるとつまりは……。


 今は夏休みという期間に入るのであるか‼︎

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