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カモとは一緒に歩かせるものである。

 ふふふ。

 これは絶体絶命というやつであるか?退路は塞がれ、周りはなんかよく分からんいきり立った機械触手に囲まれている。


 こんな状況になるとあの時の事を思い出すのであるなぁ。


 あれはまだ僕が中猫だった頃の事。思いがけずカモを捕まえた時があったのである。


 思わぬ大物に意気揚々と巣に持ち帰ろうとしたのであるが……なにせ相手は僕と同じくらいの大きさのあるカモ。


 なんとか巣まで引きずって帰ったのだが、着いた頃には息も絶え絶え、大変であった。


 その後、カモは美味しくいただいたのであるが、その時僕は思ったのだ。


 次はもっとうまくやろうと。


 だから次にカモを捕まえた時には、首根っこを咥えたまま一緒に歩いて帰ったのである。


 あれは楽であったなぁ。


 残念ながらその後、カモを捕まえる機会にはめぐまれなかったが、また次があったなら


 パチッパチッ


 ん?

 蜘蛛型機械触手が前に伸ばした触手を擦り合わせてスパークさせてる。


 威嚇……であるかな?

 何か物言いたそうにしてはいるのである。


 しかし、静かな威嚇があったものであるなぁ。


 他の機械触手達も一切の物音を立てずに動いているのである。

 何か奇妙な感じであるのだが……もしかして、この家の家主にバレないようにしているのであるかな?


 ……。


 そうっぽい。

 間借りした屋根裏で脅しをかけるとは、もしかしてこの蜘蛛型機械触手、アホであるな?


 ま、別にどうでもいいのであるな。


 帰ろ。


 新しく穴を開けてもよいのであるが、それではここの家主さんに申し訳ない。

 なので、穴を塞いでいる丸いのが繋がった機械触手に、黒い根っこさんをぶっ刺して引っこ抜き、蜘蛛型機械触手に向けて投げてやった。


 ガチャガチャガチャと金属がぶつかり合うけたたましい音が響き渡る。


 家主さんがご在宅であるならすぐさま気付くであろう。


 ま、僕には関係のない話である。


 さらばっ。


 ポッカリと空いた穴に飛び込み、雨の降るお外に出た。


 うほぅ、雨が気持ちいいであるなぁ。


 おや、お家の中が騒がしいのである。

 家主さんはご在宅でしたか。屋根裏にいっぱい機械触手が住み着いているのであるから、気を付けるのであるよー。


 ちょっとした騒ぎになっているお家を尻目に塀を乗り越え、草むらに飛び込んだ。


 さて。

 このヒューズはどうしようか?


 機械触手の知り合いであるなら……やはりネジ屋さんであるな。

 ネジ屋さんの機械触手も同じくヒューズを欲しがるがどうかは分からないのであるが、いらないと言われたならネジ屋さんにあげたらいいのであるしな。


 よし、善は急げである。

 雨に濡れた道を走ってネジ屋さんに行った。




 ネジ屋さんにネジ屋さんは居なかったが……。


 カッチョンカッチョン バッチャバッチャ カッチョンカッチョン バッチャバッチャ


 機械触手が雨の下で踊っていた。


 びしょ濡れであるが……錆びないのであろうか?


 近くまで近寄ってみたが……気付く気配がないのであるな。


 もし、雨に濡れても大丈夫なのであるか?


 ピリッ


 機械触手がビクッとした。

 やっと気付いてくれたのである。


 ピリッ


(僕は黒触手さんにペンキを塗ってもらったから大丈夫さ)


 ペンキ……そういえば、御神木の兄さんがペンキもあるとか言ってた気がするのであるな。


 ピリッ


(黒触手さんのペンキは凄いんだぜ!色々組み合わせて塗ると色々と耐性が付くんだ。今僕が塗ってもらってるのは黒をベースにしたペンキで耐水性だけじゃなく、漏電防止効果や強度補正、それから耐摩耗性に耐熱性もあって筋力アップまでしてくれるんだ)


 それは……本当にペンキであるか?

 僕の知るペンキとはかけ離れすぎているのである。


 ピリッ


(そういえば昨日の今日でどうしたんだ?黒触手さんなら配達に行ってるけど、今日はバッテリーと電動式高枝切り鋏持ってっただけだから、もうそろそろ帰ってくる時間じゃねぇかな?)


 ネジ屋さんは一体何屋さんなのであろうか?

 昨日はタバコの葉っぱ収穫機とかいうのを直していたかと思えば、今日は高枝切り鋏であるか。


 というか、未だにネジとかペンキを売ってるところを見た事がないのである。


 続けざまにピリッしてくる触手を避けた。

 相変わらずおしゃべりなのであるな。黙っていると延々と語りかけてくるのは困りものである。


 ペンキで錆びないのは分かったのであるが、雨の中を踊っていて大丈夫であるか?


 ピリッ


 ピリッ


(大丈夫に決まってるだろう?なんてったって黒触手さんのペンキ使ってるんだから、雨どころか川の中で泳いだって平気さ。それに今、黒触手さんは海底の水圧にも耐えられるペンキを作ってるって言うんだぜ?訳わかんねぇだろ?ところで海底ってなんだろうな?きっと凄い所なんだろうぜ!)


 相変わらずおしゃべりなのは別にいいのであるが、一度に入ってくる情報が多すぎてどこから突っ込んだらいいのか分からんのである。


 むしろ突っ込んだら負け、というヤツなのであろうか?

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