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御神木にネジが刺さっていたら泣くのである。

 とすると?

 ネジを生やす機械触手がいるとネジが無限に手に入る。という事であるか?

 種類も数も作り放題であるならそれこそ……。


「そうは言っても機械触手にも食の好みというものがあるようですし、そう上手くはいきませんけどね」


「だな。成長もそんなに早くないし、何より気位が高いのが多くて人にあんまり懐かねぇ」


 あぁ、この機械触手が特殊なのであるな。ちょっと納得なのである。


「その辺、トメバァは上手くやってるよな」


「あぁ、あのLEDを生む子ですね。あの子のお陰でお店から家の中まで全部LEDに変えたと自慢してましたね」


 LED?

 何の事であろうか?


「何で会話出来てないのに言うこと聞かせられるのか。ホント不思議だよ」


 それに関しては何となく納得する部分がないではないであるなぁ。


「それで後、なんでしたっけ?オルタ?」


「あぁ多分オルタネータの事だろ。車とかに付いてる発電機の事だよ。っていうかこいつオルタネータとかどこで覚えたんだ?ウチに来る客はダイナモってしか言わねぇのに」


「それ、何か違うんですか?」


「発電機って意味で言えばどっちも同じなんだけどな。細かく言えばダイナモは直流電圧、オルタネータは交流電圧だ。というかこいつら、直流で動いてる筈なのに交流の方が好きなんだよな。レクチファイヤもないのにどうやって変換してんだか」


 何というか、何を言ってるのか全くサッパリなのであるが、あの機械触手がネジ屋さんを好きなのが何となく分かるのであるな。

 どっちもお喋りなのである。


「後はエンジンでしたか?」


「それもさっきので分かったよ。廃材の隅に壊れたエンジン置いてあるんだけど、何かよく見てるなぁとは思ってたんだよ」


「それって機械触手に乗るものなんですか?」


「いやぁ……無理だな。オルタネータ動かす為にエンジン積む時点で間違ってる。何よりこいつ自身よりエンジンの方が重いし、単気エンジンの振動に耐えられる訳がない」


 何を言っているのか分からないのであるが、大分無茶苦茶を言っていたっぽいというのは理解したのである。


「しかし、なるほどなぁ。こいつお喋りだったのか……口数が少ない奴だとばっかり思ってたんだが……頭のネジの事も含めて色々とまた調べてみるか」


 そう言ってネジ屋さんは僕に手を伸ばしてきた。頭を撫でるつもりであるか?

 でも、僕の頭はどこにあるのか自分でも……。


 キュッと尻尾を握られた。


「ありがとよ、色々と勉強になったぜ」


 何か釈然としないのであるな。


「さて、それじゃ俺も仕事するかな」


 そう言うとネジ屋さんは何やら道具を取り出してガチャガチャとしはじめた。


 そのネジ屋さんの背中に張り付いた機械触手が、その手にネジを持ってネジ屋さんの髪にネジを埋め込もうとしている。


 なんとも不思議な光景を見ている気がするのであるが……今度は何をするのであるかな?


 ……。


 ……はっ‼︎


 違う違う!僕はネジ屋さん見学に来たのではなく、しーぴーゆーなる物とヒューズの話を聞きに来たのである!


 ネジ屋さんネジ屋さん、僕は聞きたい事があってここに来たのである。よろしいだろうか?


 ポンッ


「ん?あぁそうだったのか。まぁ俺の分かる範囲でよけりゃ答えてやるぜ」


 よかった。


 かくかくで電柱の上で会った機械触手がですね、しーぴーゆーなる物を食べると頭が良くなると言ってまして、それでヒューズが欲しいと、しかじかな所にある鉄屑山に探しに言って欲しいと頼まれたのであるよ。


 ポンッ


「その鉄屑山ってのは多分、バクロ屋の事だな。あそこは確か対機械触手用の音波装置が置いてあった筈だ。俺みたいに触手に理解のある奴ばかりじゃないからな。それと……」


 なんであるかな?


「CPU食っても頭は良くならねぇぞ」


 なんと‼︎


「昔にそんな噂が流れた事もあったし、検証研究も結構やられてたが、効果がないってのは大分前に結果として出てる。……まさか機械触手の間でも噂が流れてるとは思わなかったがな」


 ……。

 ネジ屋さんがお話している間も機械触手が背中に張り付いて頭のネジを付け替えているのであるなぁ。


 凄い気が散るのである。


 しかし、ネジ屋さんは気にならないのであろうか?

 これが……慣れ?


「まぁ、バクロ屋にパソコン類が廃棄されるってのはほとんどねぇだろうが、コンピュータの付いた機械が廃棄されるってのは結構あるはずだから……まぁウチの触手と話ししてくれた礼だ。ヒューズの事も含めて簡単なところを教えてやろう」


 感謝するのである。


 ポンッ


「ふんっ。感謝するのはまだ早えぇぞ?」


 え?


「そこの御神木みてぇに理解できねぇ奴には、どうやっても覚えられねぇ話だからな」


 なるほど。

 と、後ろを振り返ると御神木の兄さんが照れたように顔を背けて頭を掻いていた。


 博識で万能な兄さんだと思っていたのであるが、苦手な物もあるのであるなぁ。


 意外である。


 とまぁ、そんな感じでネジ屋さんからヒューズのアレコレやら二次電池、パソコン部品のソレコレを本人曰く、『ザックリ』と教えて貰って、御神木の兄さんと帰ったのであった。


「ねぇ猫さん」


 なんであるか?


「私も頭にネジをつけて貰ったら、機械触手とお話できるようになりますかねぇ?」


 やめておいた方がいいと思うのである。


 ポンッ


「どうしてですか?」


 どうしてって……ネジ屋さんみたいな毛ならともかく、兄さんであるなら頭に直で刺すしかないのでは?


 ポンッ


「そこは我慢ですよ」


 我慢してまで機械触手さんとお話したい兄さんには頭が下がるのであるが……、御神木に戻った時にネジが突き刺さっていたら問題になりそうな気がするのである。


 ポンッ


 そんな御神木を見かけたら、ちょっと泣く自信があるのである。


「それは……問題ですね」


 理解していただけて何よりなのである。

ダイナモ

発電機の別名。回転数によって生まれる電圧が変動するため、クルマなどではあまり使われなくなった。

自転車の前輪に付いてるアレや、手動で回す事で充電出来るライトなんかによく使われている。

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