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かつて封印された厄災の僕は、縛りプレイでこの世界を滅ぼしてみる

作者: あーきとれーぶ

 ちょっと考えていたものを実際に書いてみました。

 駄文で申し訳ありません。


 暗い暗い暗い暗い暗い暗い。

 闇に飲まれて、幾星霜。

 身動きの取れない僕に許されたのは、考えることだけである。

 眠ることすら許されていない体にある自由はその1つだけだった。

 

 だから、僕は思考してみる。思索してみる。思案してみる。考察してみる。

 テーマは、考える回数に比例して、多くなっていった。


 例えば、魔法の原理とは何か? という魔法学基礎理論だったり、モンスターという生物はどこから進化したのか? という生物の根源についての話だったりする。


 僕はかつて魔王だった。魔王といっても、僕が魔王だった期間はほんの150年くらい。

 先代や先々代と比べる。魔族としても、300歳という年齢はかなり若いものだった。


 ただ、存在するだけで人間に悪影響を与えてしまう。

 たったそれだけで討伐される対象となってしまった。人間という1つの種族なんて、この世界の歴史と比べてみると、たった一瞬とも言える時間しか生きていないのに。だから、彼等に封印された。


 でも、恨みはなくなってしまった。

 あまりにも長い時間考えすぎて、恨みという感情すら風化してしまう。


 ただ、考えた回数だけ、知識はある。

 考えれば考えるほど、思いつけば思いつくほど、残酷にも今の僕に試すことはできないのだ。


 もしここから出たら何をするかという話は何十回しか考えたことはない。

くだらない仮定を並べた話を続けているとどうしても空しくなってしまう。


 ただ、これまで培ったステータスやスキルを捨てて、零からの状態で世界を滅ぼしたりするのも良いのかもしれないと思った時があった。


 僕には知識がある。

 ずっとずっと追求し続けてきた知識。

 試すことができないこの知識。

 知識だけでも外に出せるなら出したかった。

 見つけた僕だけの発見を形にしたい気持ちが途切れることはなかったのだ。

 僕が『やりたいこと』とは、なんなのだろう。


 などといつものようにつらつらと考えていた時だった。

 

 指先に感触がある。

 ああ、いつからこの感触を忘れていたのだろうか。


 思考したこと以外の情報が脳に入ってくる。

 爪の先でも、この闇の淵から出すことができれば、僕はこの状態を解除することができる。


 粘度のある黒い物体が全身を包んでいる。そう粘度のある!

 感覚が戻っていることに何千年ぶりの驚きがわき上がる。


 体の感触が戻ってきたようだ。各部分に命令が届いている

 形のなかった闇が、あるものとして感じられる。

 そこから先は簡単だった。

 雛が卵を割って抜け出るように、包んでいる闇に小さな亀裂をつくっていく。


 ピシッピシッ


 殻が割れていくような音が聞こえてくる。視界に光が差し込んでくる。


 目を覚ますと、かつて座っていた玉座にいた。

 封印された時と大きく景色が異っている。

 天井はくずれ、がれきが大広間に散乱していた。

 闇で覆われていた空は青空に、見事な青天井が広がっている。

「……美しい」

 黒以外の色にこんなに感動するものなのか。

 そして、目の前には数人の冒険者だろうか、僕を見て歓喜の声を上げていた。


 ぱくり


 ありがとうと言って、僕は空っぽの胃に彼等を詰め込んだ。

 胃と言っても僕にそのような臓器はない。あくまでも彼等の生命を取り込んだという比喩である。

 お腹をさする(実際にお腹はない)と彼等が持っていた情報が、中枢機能まで伝わってくる。

(そうか……。あれから2000年ほど経ったのか)

 経過した年月を、彼等の知識から類推する。


「ははっ」

 乾いた笑いのような声が響く。

「あはははははははっはははははははっははは」

 そう僕は外に出ることができたのだ。


 やっと!

 やっとだ!

 こんな時が来るとは思っていなかった。

 僅かな希望さえ持っていなかった。いや、意識的に持とうとしていなかった。

 『待ち焦がれた』なんて気持ちは、最初の方でなくなった。


 さぁ、実験の時間を始めよう!!



最後まで読んでいただきありがとうございました。

もう一つの作品(進化論)の方も呼んでいただけると幸いです。

**********

魔王(仮)さん「やった! いっぱい実験できるね! ワクワク!」

冒険者(消化中)「……」

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