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日和日和  作者: 空切
4/4

私の人生奴隷モード

「可愛い人、今日の御加減は如何ですか?」

「え・・・あの」

「全くどんくさいな!早くこ此方に来いと言っている!」

「ま、待って下さい!」

「・・・死にたくは、ないでしょう?」

「こ、言葉が重たいです!」




はい、今日も御馳走様です。


頭を上げずに、ただただ一生懸命雑巾で柱をふきあげる。

少しずつでも綺麗になるのが段々楽しくなる頃には、まだまだ寒いこの国では、手が真っ赤になり、ひびがはいり、血がふきだすなんてよくあること。


出た血でまた汚さないように、ポケットにいれた包帯と薬で手早く手当てをする。

今日の仕事内容が変わった(血がつくと困るから)為に、直ぐ様上司に仕事を貰うためにてきぱき片付けをはじめた。


冒頭でちやほやされていたのは、私と同郷の、所謂「神子様」である。

神子様ってのはこの国を護るために召喚され、祈りを捧げて、この国に邪悪を振り撒いている魔王様を倒す勇者を支えるための存在。

その祈りは癒しを、光を、安らぎを与えることができる、ただ一人の存在。


そう、そんな穢れのない、慈しみを持つ、愛しき優しき少女が、神子様なわけです。



え、今、召喚されるとか言ったって?

言ったよ。


私と彼女は、日本の普通の女子中学生でしたからね。


同じクラスで、ただただ、じゃんけんで負けて、一緒にごみ捨て頼まれただけの仲。

友達じゃなく、まじでただのクラスメート。

そんな私は、彼女の召喚に巻き込まれただけの、ただの、ごみ。

いや、この国にとって、私はゴミ以下だった。


邪魔で邪魔で仕方なくて、その場で打ち首にされても可笑しくない人間・・・いや、ごみだった。


でも、神子様はね、まじでいい子なもんだから、泣き叫んでとめてくれた。



「今思えば、ありがた迷惑に近いんだけどね・・・」



死にはしなかったよ。

でも、死には、しなかっただけだ。


この国の人間は、私から色んなモノを奪った、


まず、もう私は、人間ではない。


奴隷になった。


首にかけられた鎖は重く、とても邪魔で、だからと言って引きずることは許されない。

だから、首に巻いてなんとか歩いている。


彼女は、そんなことになった私を知らない。


探してくれてるけれど、私が見付かることはない。


何故なら、名前も奪われているからだ。


私の今の名前は、がいな。


この国の言葉で、ゴミ。


どうやって書くのかも、綴りも何もわからない。

だって、ここは日本語じゃないから。

ミミズが暴れたような字なんてわかりません。


だからだろう。

私の存在は知られていない。

きっと、ここに落とした奴等も私だとわかっていない。


何故なら、彼らに顔を見せることが出来ないからだ。


奴隷は顔を見せるなってさ。

意味がわからない。


まぁ、だからこそだ。

私という存在は、消されているのだ。


ね、色々と奪われているでしょう?



「かないる、仕事」

「・・・また、手を切ったのか・・・どれだけ手が柔らかいんだい。まぁいい。次は荷物を運べ。血がついたって構いやしないからね。」

「うぃざー(了解)」


籠を背負い、次の場所へ移動する。

次は食品を運ぶらしい。

まぁ、なんでもいいや。どうせまだまだ仕事時間は残ってるし。


奴隷に基本、寝る時間はいらないとされているために、睡眠時間はガリガリ削られていく。

大体は主人が寝ている間休めるが、ここは王城。

休むなんて無理だ。


しかも、食事は一日に一回だけでるくっそかたいパンが一個だけ。

ここに来て3ヶ月。ダイエット成功だよ10キロ痩せたわ。

すげぇよ、初めてだわ成功。



「おなか、すいた・・・」


畜生、ひもじい・・・。


「~~~~~」

「やっば!!」


誰かが来たみたいだ。

直ぐ様土下座体制にはいり、下を向いた。



「ああん、酷いわユシュテル様ぁ!わたし、ずうっと待っていましてよ?」

「・・・」

「ユシュテル様ぁ!」



うっわ、来やがった高飛車ファリーと無口ユシュテル!!

このコンビくっそめんどいんだよね・・・。

ファリーは絶対踏んづけていきやがるし、ユシュテルは人をゴキブリみたいな虫けらみたいに見やがるし・・・!!

こいつらみんなから嫌われてんだよね・・・あー・・・厄日だこれ・・・、



「ああぁらゴミ虫がいますわぁ」


はい、来やがった~


「虫は、潰さないと」


足振り上げました~


「・・・ね?」


はい、降り下ろしやがったよこのくそアマあ!!


痛いんだよしかも今日は流血したんだよざけんなくそおおお!!

いった、痛い!!もー、だから性格ブスは嫌いだああああああああああああああああああ!!



「さぁ、いきましょ、ユシュテル様ぁ」


おい、語尾にハートつけてんなよこのくそアマ


「・・・・・・」


ユシュテルはなんか喋れや



カツコツカツコツと音をさせながら去っていく二人を横目で見て、ゆっくりと頭をあげた。

あー、やだやだ、あの片想い歴20年のくそばばあが。

知ってる?あのばばあ、30なんだよ?

ユシュテルは20。

わかる?

赤ん坊に一目惚れして、ずうっとはりついてんの、あのばばあ。

で、自分の歳が嫌なのか、若い子ばっかり目の敵にしてんの。

だから、神子様にも嫌みいったりするんだって。


ガキだよね。

ばばあの癖に。


あ、ちなみに別に三十才がばばあだとは思わないよ。

知り合いにびっくりするぐらいわかい40がいるからね。普通に同い年に見られるんだよ、あの人。

だから歳に誤魔化されずに見た目だけで言ってる。

あいつ老け顔だから。


「がいな!」

「りじぃ」


ぱたぱた走りよってくるのは、ここでいつも優しくしてくれている、りじぃと言う青年だ。

歳は23で、身分は貴族様。


え、なんで普通に話しているのかって?


敬語つかったら捨てられた子犬みたいな目で見つめられるからだよ!!

ぐうかわ!!くそかわ!!天使かこいつ!!


・・・すいません、取り乱しました。


でも10も違うのに、彼はめっちゃ可愛い。

奴隷制度を嫌っていて、いつも悲しそうに私の鎖をいじる。

チャリチャリと音をたてる鎖を、彼は忌々しげに睨み付ける。


「がいな・・・ねぇ、がいな。僕のものになってよ・・・」

「りじぃ、私は奴隷だよ。だから、私が欲しいなら買って。私を、買うしかないんだよ」


がぢゃりと音をさせて鎖を握りつぶした。


・・・え


「り、りじ・・・」

「がいな」


く、鎖が、がっちがちいってる!!

始めてみたよりじぃがなんか怒ってる!!



「りじぃ、やめなよ」

「らい・・・」


ぽむっと肩をたたいて落ち着けてくれたのは、私に優しいもう一人、らい。

いつも優しく微笑んでる彼が、眉毛がさがって困った顔になっている。


「・・・がいなが悪い」

「いや、君が悪い」

「らい・・・」


二人がにらみ合い(片方は笑顔)している間に、私はそろりと逃げ出した。

いや、だって、仕事が・・・。



てってけーと逃げた私は知らなかった。



「だから、貴方が急いてもまだどうにもならないんだから、ちょっとは待ちなよ」

「もう3ヶ月もまった!!」

「りじぃ」

「ぐっ・・・!」




この会話を聞いて、尚且つ頭がよければ、私の人生は、変わっていたかもしれない。







連載しようか悩んでるやつ。


続き書きたいような、微妙なような・・・。

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