52話 雷の偉大なる魔術師だ!!見た目は肩凝りそう
52話目!!
皆様、お久しぶりです。アルファポリス様の方の見直しがひと段落したため、こちらに戻ってきました。ただ、優先順位が明らかにアルファポリス<小説家になろうの状態ですね。なぜなら、アルファポリスでは、ポイントがあり、本をたくさん買えるからです。要するに金で釣られた怠惰な糞野郎ですよ~
そんな感じですが52話もお楽しみください!!
「急に何するんだ?」
レオンは笑いながらアブルの攻撃を避け続ける。
上からの攻撃は身体を後ろにずらして回避し、下からの攻撃は剣に上手い事体重を掛け、踏み台にして場所を移動。もう一回来た上からのは右腕で受け流す、死角からの攻撃は技『魔力感知』にて回避する。
「1週間前とは大違いだね。でも、一発は入れないと僕の気持ちが治まらないんだよね」
アブルはいつも口調でレオンへと魔力を乗せた斬撃にて先ほどゴブリンにも放った攻撃をする。
「じゃあ、俺が逃げ切れたら諦める事だな」
レオンは自分の腕に魔力を流し、その手で斬撃を防ぎ一言呟く。
『幻想世界』
この瞬間二人のいる部屋はレオンの領域と化す。
「なっ!?」
「油断しているから簡単だった。俺だって近接戦闘叩き込まれたからな」
レオンの手には何時の間にか籠手が装備されていた。そしてその籠手から伸びる爪によりアブルへ攻撃、それを寸での所で避けアブルの髪が何本かが宙を舞う。
その籠手は正に魔力の塊とも言える物で、精緻なデザインに空間の魔力を帯びていた。
「一発は本気で入れないとレオンには勝てないみたいだね」
「安心しろ。俺はアブルに攻撃する事は無いよ……その変わり多少本気は出すが」
「今最後何て言ったの?」
「何でも無いが?」
会話は日常のような雰囲気で行われる。だがその内容と実際にやっている事は非日常であった。
「そんな訳で本気を……『魔法の眼』『魔纏化』『魔宿化』『震動拳』『超速加速』『物質創造』」
レオンの言ったのはガイアとの訓練により最低限覚える事を命じられた『技』である。
……要するに本気ではないのだ。
だが、それを知らないアブルには関係無い事なのだ。もちろん、盗み見している者にも関係無い事だ。
「ん?」
『短距離転移』
アブルはそれを危険と感じ、転移でレオンから20メートルほど離れる。
だが、それも意味を成さずに終わる。
「なっ!?」
レオンが目の前にいたからだ。
「ほら、俺は攻撃をしないと約束したが敵だったら待ってくれないぞ?」
その理由は『魔宿化』と『超速加速』、あると言えばあるが無いと言えば無いが『魔法の眼』にもある。
『魔宿化』とは身体の中の魔力を効率良く循環させ身体能力を上昇させる、『超速加速』は足の筋肉を魔力で保護し、スピードを上げる、『魔法の眼』は目を使う神経に魔力を通わせ目としての働きを強化させるのだ。それは『鑑定眼』にも適用される。
だが、それでも一流の魔術師のアブルだ。レオンが目の前に出現し、突っ立ってはいない。
「ハッ!!……クッ!!」
アブルは剣を振り下ろすのだがレオンが籠手の爪を消失させ、ナックルの形状にして剣の通る道にナックルを出すと力も入れずにアブルの剣を弾く。
「え?」
「攻撃は一回も通っていないな?ハハッ」
これも先ほどの技に理由があり、今回は『震動拳』だ。これは本来ならば攻撃に使うもので、武器を振動させ切れ味を増したりするものだ。だが、レオンの使用方法は『魔宿化』でナックルを強化し、『震動拳』で剣を弾くというものだ。
レオンは暫く遊んでいようとしたのだがそこで意外な乱入が起こる。
『止まれ』
それはレオンとアブルどちらも聞こえた音だろう。
そしてその声はどちらも聞き覚えがあった。
「ま、マーティン陛下!?」
「何でマーティンが……」
二人にマーティンが念話で話し掛けてきたのだ。
「『魂通のイヤリング』の効果か。でも、なんで俺たちがしている事を――」
「解ったんだ?」というレオンの疑問はマーティンにより遮られる。
『『魂通のイヤリング』には装備者の見ている景色を見通す能力もある。そのため二人が戦っていたのは分かっていたぞ?戦っている場所までは判らなかったが』
そのマーティンの念話にアブルは慌てて反応する。
「陛下、では今のを見ていたという事は……」
『うむ。そうなるな』
その返しにアブルは肩を沈める。
「マーティ――」
『では、レオンよ』
その様子を見ていたレオンは何がそうなるのか解らないため問い掛けようとするがまたマーティンに遮られる。
『レオン。お前は今日から『偉大なる魔術師』の9位となる』
「っ!?……理由は?」
レオンはその言葉に若干驚きはしたもののすぐに調子を取り戻す。
『先ほどの戦いを途中から見ていたのだがアブルは本気を出しているように見えたからだ。それに対しレオンは遊びながら本来の武器を使わずに手を抜いているように見えたのでそうなる事になった。一応『偉大なる魔術師』1、2位以外全員が決めた事だぞ。アイザックの得意な隠密を見破り、精神操作も打ち破ったようだからな』
レオンはそこで溜息を吐く。
「勝手に人の技を盗み見とは随分と酷いな?ま、契約事項だから損な事では無いが」
「まさか、レオンに負けるなんて」
その日のアブルが落ち込んでいたのは言うまでも無い事だろう。
『偉大なる魔術師』の序列が変動した所で、翌日の会議は始まる事になる。
『偉大なる魔術師』と王に許可された者しか入れない絶対的な空間。それが『天上の間』となる。
場所は城の最上階にある王の私室の隣の部屋だ。
その場にレオンは来ていた。ちなみに時間は午前7時。
「扉が豪勢なのは、仕方が無い……のか?」
そんな事を言いながらレオンはその部屋に入る。
(今いるのは……1,2の人は野暮用が有って来れないみたいだから仕方ないとして、アブルとイーゼに、アイザックとアゼル。他には……今更ながらだけどアイザックが10位でアゼルが11位なのか。アブルは昨日の交換で8位のイーゼが9位、と。来ているのはこの4人だけか。セフィスはまだいないのか)
レオンはそう思い自分の席に腰を掛ける。
「あれ?レオン、サンは連れて来ていないの?」
問いかけてきたのは此処暫く会っていなかったイーゼだ。
「ああ。流石にこの会談に連れてくるのは……な。だからブレンダに預かって貰っている」
「……それが最適よね」
それにアブルとイーゼ、アレックスにアゼルも反応するが談笑する雰囲気で無いためその会話だけで終わる。
(アブルには悪い事をしたな。ま、実力で決まるからいずれはバレていただろうが……寝るか)
レオンはこの空気にも負けずにブリューガングを出して寝る事にする。
「ちょっとレオン?そろそろ起きてよ」
何分後だろうかイーゼに声を掛けられレオンは起きる。
「フワァ~……全員揃ったの?」
レオンは口に手を当て、机を見回す。
するとレオンの丁度反対に当たる位置にこめかみに青筋を浮かべた女性と右前にマーティンが座っていた。
マーティンはレオンが起きたのを確認すると会議を始める。
「では、全員が揃ったため定例の会議を始める……」
「ちょっと待って下さい!」
その怒気を含んだ声に全員が彼女に視線を向ける。
そしてレオンはこれから面倒くさい事が起こると判断し、鑑定眼を発動させる。
種族名 人族
名前 オルガ・シェル・ティード
職業 雷術師(雷の天罰・流紫殲・ライトニングスパーク)・狩人(鷹の眼)・魔導師(魔力消費削減)
状態 健康・激怒
魔法適正 雷・風・強化
称号 俊足・偉大なる魔術師・雷の代行
「感じられる魔力から強いのは判ります!しかし何故このような不真面目な人を『偉大なる魔術師』に入れるのですか!?」
その怒り様は激しいもので言葉での説得は難しいとマーティンは判断する。
しかし、それよりも早く口を開く者がいた。
「別に自分から入った訳では無いけど……そんな怒って何がしたいんだ?あ、それとレオンって言うから宜しくな」
レオンは欠伸をしながらオルガに話し掛ける。
その穏やかな声はオルガを怒らせるには十分であった。
「私の名前はオルガ、オルガ・シェル・ティードと申します……それよりも私はあなたが
此処に居る事が納得出来ません!勝負でもしましょうか!!私が負けたらあなたがいる事を認めますが、あなたが負けたら『偉大なる魔術師』から出てって下さい」
オルガはレオンへ言い放つ。ついでに大きな胸も弾けるように揺れた。
もちろんレオンはこのような面倒くさい事は嫌いなためマーティンに視線を向け、判断を仰ぐ事にする。
「……オルガの怒りも治める事は難しそうだな。では、命ずる。レオンはオルガの勝負を受け入れるのだ」
その言葉にオルガは顔を喜色に歪め、レオンは露骨に嫌な顔をする。
「陛下有難うございます!」
「マーティン……酷い。というか面倒くさいな」
「レオン、頑張ってね」
レオンは他人事のように応援してくるアブルを恨めしく思う。
(実際には他人事なんだけどな)
かくしてオルガとレオンの勝負は決定事項となり、他の『偉大なる魔術師』の面々とマーティンに観戦されながら戦う事になるのだった。
見直しが面倒……←怠惰




