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神槍使い  作者: 怠惰な男の子
2章~偉大なる魔術師(仮)~
53/58

51話 報酬金だ!!そしてアブルの額には青筋が……

こんにちわ。51話目です!!

 レオンが修業を始めてしっかりとした時間の流れでは六日が経った。

 その日はレオンが修業を無事に終了したのを祝福するかのように青空が広がっており、太陽の容赦のない熱気が地上を包み始めている。


「夏も近づいて来たのに……暑い」


 本人にとっては祝福では無いようだ。


「取り敢えず王都に戻るか」

「キュ♪」


 ちなみにガイアは暫く前にレオンの目の前から去っている。

 レオンはそれを笑顔で見ていたのは仕方の無い事だろう。そうするのに同情してしまう程、空が晴天なのに対しレオンの周囲だけはどんよりとした空気が漂っていた。


「あ!イーゼの方に一回行ってみる事にしよう」

「キュ!」


 サンはその提案に「良い!」と言ってレオンを急かす。

 その歩みは少し前とは段違いで、正に歴戦の戦士の風格を漂わせるものだった。



「あなた……本当にレオン?」


 レオンがイーゼのいるギルドマスター室で寛いでいると開口一番にその言葉をきり出してきた。


「そうだけど……何でだ?」


 『何でだ?』、この言葉が意味するのは『何故そう思うのか?』といった所だ。


「だって……前までは一つ一つの行動は付け焼刃の少し腕が立つ程度を感じさせるものだったのだけれども、今は隙の無い行動よ。それこそそれを本職としている者よりは腕が立つと思わせるほどに」


 イーゼの呆れた目、それは「サンの時のように、迷宮の時のように何か仕出かしのでは?」という疑いがあった。

 なので、レオンは素直に愚痴を織り交ぜてイーゼにガイアとの出来事を話す。

 だが、イーゼの反応は同情であり、呆れでもあった。


「そうなの……それは厄災だったわね。でも、彼がレオンに目を止める……騒動の塊ね」

「ん?最後は聞き取れなかったんだが……」

「……何でもないわ」

「おい!イーゼ!!」


 イーゼがレオンから目を逸らした瞬間、ギルドマスター室の扉が勢いよく開かれた。それに驚くイーゼだったが、それを無視しプーサは言葉を続けた。


「前の魔物の討伐の報酬金。無いとは言わせないよな!?」

「報酬金?」


 プーサの言葉を聞いたレオンは読んでいた本を閉じ、イーゼへと疑惑の目を向ける。

 レオンには魔物の討伐と聞いて、関係有るだけでは済まされない程身に覚えのあることだからだ。すなわち、森での魔物の討伐のことだ。

 それを聞いたイーゼは誰が見ても分かる位動揺していた。


「そっ、そんなことあったかしら!?」


 もはやそこにギルドマスターの威厳というものは存在していない。ここにいるのはイタズラがばれた子供のようだ。


「俺も護衛の依頼で街を出ていたから今日ようやく帰って来たんだが、命まで掛けてぶっ潰してきた魔物の群れの報酬金を期待していたんだ。だが、ギルド嬢に問いかけてみたら何の話でしょう?ってしか返って来なかったぞ?」


 そこまできてイーゼはようやく燃え尽きたような表情をしながら答えた。


「仕方無いじゃないの。あの時はすぐに城に行かないといけなくなったのだから」

「だとしてもお前一、二週間前には此処に帰って来てるんだろ?正直に言え。俺は優しいからな」


 そんなプーサの言葉にイーゼは「何が優しいよ……」と愚痴りながらも答えた。


「悪かったわよ。忘れていただけ。本当にゴメン」

「はっ!?忘れていただけ……この年増エルフが」


 プーサが最後に小声で言ったセリフ。その言葉がプーサの首を絞めることをなった。


「……うふふふ。もういいわ。プーサには報酬金なんて上げるものありません」

「はっ!?どういうことだよ!?」


 額に青筋を浮かべたイーゼはプーサを睨みながら答えた。


「あら、前に行ったわよね?私。ギルドの昇格試験を勝手に行ったから暫くは依頼の達成金なしって。あ、レオンは安心してね?ちゃんと上げるから」


 その言葉に怒るプーサ。そしてそれを完璧に反論の余地もなく返すイーゼ。

 この二人の喧嘩がどうなったことかは関係ないことなので書きはしないが、取り敢えずレオンは大金を入手したとだけ知らせておこう。



 そんな出来事があったが、レオンはイーゼと城へ『転城石』で転移するのだった。


 ちなみに、サンはレオンの訓練中に基本的な常識を叩きこまれたらしい。

 それは戦闘然り、日常生活然り、魔法然りだ。そのためレオンが誰かと話している間は声を出さなくなっていた。


(ガイアはどれだけ器用なんだか……)


 それはガイアにサンに指導した事を伝えられた時の思った事らしい。



「約1週間なのに懐かしく思える」


 『転城石』によって転移してきたレオンは部屋に着いた瞬間


「……でしょうね。お疲れ様」


 イーゼは再度レオンを同情するような目で見てくる。

 この時レオンは後でガイアの事を詳しく聞こうと思ったのは自然な流れだろう。だが、今のレオンにはやりたい事があった。


「取り敢えず、報告を……と言いたいのだけどレオンは少々用事が有るのでしょ?マーティン陛下に言っておくから」


 レオンの意識が別の所へ行っているのに気付いたイーゼは――別の所が何かは知らないが――気を遣いレオンへ行きたい場所へ行くように促す。


「ありがとな」

「キュ!」


 レオンはそう言ってから『創の鍵』を取り出し、迷宮へ向かたのだった。



「何も変化は無い、な」


 レオンは迷宮の内部を水魔法『天之監視(ウォーターロックオン)』で見通し異常が無いか確認する。だが、この迷宮の出入口が宝物庫だけで、(キー)がレオンというのも関係しておりレオンが予想していた事以外は異常が無かった。

 その異常とは……


「アブルがいるな。俺が鍵を渡したから当然だけど……ちょっとイジメるか」


 すなわちアブルの事である。そしてレオンはある事を思い出し実行する事にする。


「まずは大きな部屋に隔離して……」


 レオンは黒い笑みを浮かべていた。



 「おかしい」アブルはそう判断する。

 迷宮に入ってから時々仕掛け(ギミック)により魔物が大量発生する部屋にはわざと入ったりし鍛えてはいたのだが今回は感知出来ず、気付くと仕掛けに掛かっていたのだ。

 さらに罠の難度が急に高くなり魔物部屋が隔離されたのだ。

 そして――


「なんて考えてる暇は無いよね?」


 アブルの目の前にはGランクである8体のゴブリンが光の竜巻の中から出てきたのだから。

 それを見据えてアブルは愛用の剣、『空異の跳剣』を構える。


「ハっ!!」

「ギャ!」

「ギィ!」


 そして、アブルの魔力を乗せた剣の一閃によりゴブリンは一瞬で切り裂かれた。

 しかし、レオンの悪巧みがこれで終わる訳が無い。


「また?絶対おかしいよね?」


 次に出てきたのはFランクであるアシッドスライムが4体。


  【アシッドスライム】

  普通のスライムよりも少し長い時生きたスライムが特異属性である毒の魔力を浴び変異したスライム。毒々しい色により魔石の位置の特定が難しく、毒に蝕まれた体で体当たりしてくる。


普通の冒険者にとっては防具や武器でさえも毒のより溶かされてしまうのだから苦手とするだろう。

 ……なのだが此処にいるのは魔術師のアブルだ。


『空間を閉じ、固定させる。固定された空間は我が思いのままに』


 その魔法はアブルがミリアムに使った魔法と同じだった。


『圧空』


 唯一違う点を挙げるとすれば今回は魔石のように魔力が結晶化しなかった事だろう。


「出てくる魔物は弱いけど……」

「ギャピィ!」

「だよね~」


 次に出てきたのはEランクの魔物の『土潜獣(ミニクローラー)』であった。



 レオンが最終的に出す事に決めた魔物。Dランクから説明すると

 Dランク『オーク』


  【オーク】

  豚のような体形をした人型の魔物。繁殖力はゴブリン以上に高く、集団で行動する。また、体に付いた脂肪が一種の鎧となっており攻撃を一点に集中しなければ攻撃が内臓まで届く事は殆ど無い。


Cランク『サイクロプス』


  【サイクロプス】

  5メートル程の身長で、魔眼を操る単眼の巨人。頭が悪く攻撃は短調だが、その巨体から繰り出される攻撃は掠るだけでも致命傷となりうる。基本的には単体で行動している。


Bランク『サンダーバード』


  【サンダーバード】

  雷の魔力を纏った鳥形の魔物。その性格は非常に獰猛で、動く生物全てに襲い掛かる。だが、その獰猛性によってBランクとなっているだけであり、戦いやすさを考えるとCランクの上位に入る。攻撃は雷を纏った突進や、雷の魔法など。


 単体ではAランクになる事は無いが、群れでAランクとなる『暴風狼(テンペストウルフ)


  【暴風狼】

  淡い緑の体毛に風の魔力を含む大きな牙が特徴の狼。風の魔法の扱いが上手く、空を駆ける、風の障壁を張る、竜巻を起こすと厄介な魔物。だが、丈夫な体毛は火に弱く、引火しやすいため、基本的に範囲型の火魔法で討伐される。体毛は火で炭となってしまうため貴重。


Sランク『土潜魔獣(アースクローラー)


  【土潜魔獣】

  土潜獣が成長し、成体になった魔物。全ての能力が幼体より向上しており巨体となっている。体の表面は鱗に囲まれているため生半可な武器では傷さえも付ける事も出来ない。だが、体内は非常に脆いので体内に影響を与える魔法を使う事によって効率的に倒す事が出来る。


になる。

 そしてそれに気付いたのかアブルは何も無い空間に向かって大声で怒鳴る。


「レオン、いい加減止めて!どうせ見てるでしょっ!水魔法で!」


 そこはレオンが『天之監視』を発動させている場所の一つだった。

 レオンは気付かれた事に驚く事もせずに転移魔法でアブルのいる部屋に転移する。


「よく気付いたな。楽しかったぞ?お前を虐めているのは」


 レオンは笑いながらアブルに話し掛ける。


「え!?虐めるためにとか酷く無い!てっきり仕掛けがたまたま此処に在ってそれを視てるだけかと思ったのに……というかそれって尚更酷く無い!?」

「楽しかったんだから良いじゃないか」


 アブルはレオンの言葉にお笑いの突っ込み担当のようにレオンに向かって剣を振る。


「きゅ、急に何するんだよ?」

「いや、ちょっと苛ついたから仕返しにと思ってさ」


 アブルの額には血管が浮き上がっていた。


尚、大金と表記してあるのは、純粋に何円?貰ったかを示すのが面倒くさいからですっ!!

アルファポリス様の方もよろしくお願いします!!

……というかそっちで読むことをおすすめー

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