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神槍使い  作者: 怠惰な男の子
2章~偉大なる魔術師(仮)~
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45話 大罪者だ!!ただし人数は八人

こんばんわ皆さん。45話目です!!

それと謝罪が、イーゼの年齢を40代と認識しておりまして70代と打てていたのを忘れていたのですよ。そんな訳で30歳老け……成長したイーゼさんは作者の幻想だったことに。

それと魔法一覧は作者の生活が一段落したら行います。

 イナグは今、夏へ向かって急激に気温が変わっていた。

 壁の外にあった景色は色鮮やかな野花から一転、緑色に広がる絨毯が出来、多色から一色、鮮やかから力強い植物が伸び伸びと育っていた。

 その季節の変わり目を表す野原に魔法による光が現れ、光が治まると中から人が現れる。


「こっちに来た時より暑くなっているな……まぁ、夏に向かっているのだから当然と言えば当然か」


 正確に言えば“人”では無いだろう。彼は“魔造人間”なのだから。

 そんな魔造人間ことレオンはサンの鱗を触りながらその硬く冷たい感触を楽しむ。


「……キュ…?キュキュ~」


 レオンがパウラスを去った際は眠っていたが、今の冷たい感触を楽しんでいた際に起きたらしい。

 レオンは起きて、少しずれたサンを一度持ち上げ元の場所に置き直す。


「街に向かうか。この暑さだからなるべく涼しい場所に居たいしな」

「キュ!」


 レオンの提案にサンは賛成の意を鳴き声で示す。

 そうやって一匹は人の頭の上で、一人は空を飛びながらイナグへ向かうのだった。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


そこは様々なマジックアイテム、魔力の籠った素材がたくさん置かれた部屋だった。

 どこかで見た事があるのだが今は誰もいない。部屋の主が上司にあたる者に実験の成功を報告しにいっているためだ。


「それで、あいつはどれだけの働きをしてくれるのでしょうね?」

「そんなの私らには関係無い事だ。あいつは正直言ってゴミだからな。で、あいつは今どこだ?」


 そのような会話が室内に響き渡る。

 上司と供に転移魔法で帰ってきたらしい。


「この部屋で眠らせております。後はウェイレット様が転移させるだけでございます。キメラとして成長するのは数か月掛かりますがね」

「分かった。では、あいつには人間と殺し合いをしてもらうか」


 アーロンの部屋が光に包まれる。


 レオンが転移でイナグへ帰ってきた同時刻、あの森で光が発せられ木々が急成長したのを誰も見ていなかった。


――異形の怪物は餌を求め彷徨い続ける

人間の匂いのするイナグの街へ向かって――


 それはキメラになった者の生き地獄の開始であった。

……ミリアムの、生き地獄だ。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「元気そう(・・・・)だな。はい、これギルドカード」

「キュイ♪」

「お前ら……嫌がらせだよな?」


 レオンは今日も元気そうに(・・・・・)門番をしていたデューイに笑顔で話し掛ける。もちろん、嫌がらせだ。

 サンは自分の大好きなレオンが楽しんでいたため乗っただけのだが……もちろんデューイはそんな事を知らない。


「ハァ、あの魔法陣は結構騒ぎになったんだぞ。一体何処で手に入れたのかって感じだ。今は、領主の館に保管して貰っている。ギルドのランク、Gからじゃないんだな」


 目の隈を見せつけながらデューイはギルドカードを手渡してくる。


「まあ、色々と有ってな。それと、領主の館って何だ?」


 そのギルドカードをリングに入れながら質問してくるレオンの言葉に、デューイは眉を上げる。この言葉は驚いた、とでも表現出来そうな顔だ。


「おまっ……そうか。領主の館っていうのはこの街を治めているウォーレン辺境爵様の館の事だ。貴族とかが家を建てている貴族街の中心部にあるからな。見た目としては芸術品だな。細部まで装飾が施されていて。まぁ、辺境だからその機能はそこらの砦以上だ。これを言い換えれば落ち着いたイメージだな……どうした?」


 デューイは先日の件など無かったかのようにレオンに荒っぽいが説明してくれる。

 その際にレオンが後ろを向いていたため気になったようだ。


「……いや、なんでも無い。ありがとな。前までなら俺には関係無い所だったが、今じゃあれだしな」


(一応警戒はしておくか。誰の視線なのやら)


「そういえばお前、あれに任命されたんだったな。領主に呼ばれる事は緊急時以外には無いだろう」


 ここで言う『あれ』とは『偉大なる魔術師』の事だ。

 デューイも心底驚いたと言う表情でレオンの顔を見る。


「取り敢えず俺は一年間殆ど命令無しだからな。大丈夫だろう」

「そうなのか?なら、冒険者の仕事頑張れよ」

「分かってる」


 そう言い、レオンは約3週間振りにイナグの街へ帰ってくるのだった。



「確か冒険者ギルドは大通りを真っ直ぐ進めば良いんだよな?」


 レオンは自分へ『隠密』を使いながら冒険者ギルドへ向かっていた。

 なぜ使っているのかと聞かれれば自分の行動の仕方は人目を引くのを自覚していたからだ。


(それに、サンもいるしな。俺の本気では無いが『隠密』に着いてきている奴も気になるな)


 そう思いながらレオンは冒険者ギルドへ向かっていくのだった。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「皆さん、ここ暫くは『原罪』を追い、行動して休みが無かったためこのイナグの街で2週間ほど休憩にしたいと思います。とリーダーがおっしゃっていたので休息にしたいと思います」


 イナグの防壁の中のある建物で彼らは話していた。


「で、本人は何処に行ったんだ?」


 彼らの中の一人、龍の翼と龍の尻尾を持つ男性が彼女に質問をする。


「門付近で以前出会った興味深い男の子を見たと言ってらしたので追跡中かと」


 彼女はその質問に応え、他のメンバーにも質問が無いか見回す。だが、誰もいなかったため予定の説明に入る。


「まずは緊急時の召集のために全員の行動の予定に入ります。まず現在は『強欲(・・)』に(・)なって(・・・)いる(・・)リーダーは、気になる男の子の調査。次に『色欲』事、私は図書館で調べものと酒場などで聞き込みを。『怠惰』こと、ケイはイナグの外で錬金の素材探し。『憤怒』こと、ラッシュは予定無し。その他『傲慢』『暴食』『嫉妬』『強欲』も同様の予定だそうです。では、2週間後にここに集合して下さい。それと『原罪』の方も粗方調べて置いて下さい」

「ほ~い」

「おぅ」

「分かってるわよ」

「当然だ」

「……分かっている」


 上から『怠惰』『強欲』『嫉妬』『傲慢』『暴食』だ。『憤怒』は頷いて了承の意を示す。

 そこからは2週間の自由行動に入るのだった。


「僕は少しギルドの方に行くか。討伐の依頼あったら錬金もできて良い事尽くめ出しね」

「俺もギルドの方に行くぜ。誰かに摸擬戦を挑んで戦いたいしな」

「え?ラッシュも着いて来るの?色々と面倒臭い事が起こりそうだな」

「……それが俺だ」


 『怠惰』と『憤怒』


「では、まずは酒場の方に行くとしますか。久しぶりに羽目を外せますからね」

「俺も行きてぇな。酒の飲みあいでもするか?」

「望む所です。私はあまり酔わない体質ですので」

「俺もだよ!」


 『色欲』と『強欲』


「ゲームでもしない?」

「良いですね?私が負けることは滅多にありませんけど」

「勝敗は五分五分でしょ?」

「金は十分にありますよ?」


 『嫉妬』と『傲慢』


「……小生は本のある場所に籠っていよう。新しい知識はそれだけ小生の欲を満たす」


 『暴食』


 それぞれがそれぞれの場所で自由を満喫するのだった。


◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 ギルドの大きな扉。

 レオンはそれが近づくのを見ながら後ろを振り返る。しかし後ろには怪しい者は誰もいない。

 強いて言うとするとレオンと同様にギルドに向かっていた魔法使いの者や戦士風の男性などだ。


(サンは空間にいて貰うか)


 レオンはこれから何かが起こると判断。

 アイコンタクトでサンに許可を貰い、人目に付かないようにサンを空間魔法で創った空間に入れる。


「やっぱり大きいな」


(そしてまだ視線を感じる)


 レオンはギルドの扉の大きさに舌を巻きながら扉を開け、依頼の貼られている掲示板へ向かう。

 そしてようやく来る。


「そこのお前、ちょっと外で話さないか?」


 そう言いながら肩を叩いて来たのは王都パウラスでも会った、あの冒険者の男性であった。


46話もお楽しみに!!

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