40話
40話目!!
今回から40話記念などという理由での増量はなしになりました。理由?ストックがヤバイからさ!!
そんな訳で気分次第の増量になります。今回はふつうですよ?
(説明長過ぎないか?疲れる)
レオンがイーゼとアブルを部屋に誘い、ギルドの説明を受けたのは時間にして30分ほど掛かっていた。
「キュキュ~……キュキュ~……」
ちなみにサンはレオンの膝の上でいびきをしながら寝てしまっている。肉の方はちゃっかりと頂いているようだが。
「ありがとな。にしても説明長かったな」
そのレオンの礼にイーゼは溜息を吐きながら答える。
「どういたしまして。……と、言いたい所だけど、本来ならギルドの説明でここまでする事は無いわよ。ギルドの説明ではランクと依頼の受け方だけで終わるから、10分ほどで終わるわ。ギルドの基本情報も皆が知っている事だもの。レオンの場合は仕方のない事よね」
「僕はちょっともう疲れたよ。しかもこの後、マーティン陛下のとこに行かないといけないんだよ?」
「それはそれは、お疲れだな」
そのようなアブルの愚痴を聞くことになったレオンだったが、その後アブルとイーゼは「マーティン陛下に呼ばれた」と二人は出ていく。
ちなみにその後もう一度竜の肉を焼いて貰い、レオンもその美味しさに驚いてから就寝するのだった。
さきほどレオンが「二人が目覚めた」と報告するために来ていたマーティンの執務室。そこに、アブルとイーゼも来ていた。
尚、さきほどのレオンのようにマジックアイテムの効果を無視し、無理矢理入ったのでは無く、扉からしっかりと入っている。
「マーティン陛下、ご用件とはどのような事ですか?」
中に入りすぐにイーゼが口を開く。
「用件は二つあるのだ。一つ目は二人が目覚めたのをお祝いするための会を開くことになった」
「えっ!?」
アブルは声を出し驚き、イーゼはそのような会に出た事が無いため困惑する。
「理由としては民衆が、二人が寝てしまっているのを知っているためだ。一応口を閉じはさせたのだが、どこからか漏れてしまってな。そのため、その不安を取り除くために行う」
「はい、分かりました」
「……御意」
一つ目の用件は二人の事に対するもの。二つ目は……
「レオンに関する事だな」
「レオンに……」
「……関する事、ですか?」
最初がアブルで次がイーゼだ。
「具体的にはレオンの正体はなるべく隠蔽するという事だ。本人には明日言う事になっている。水の魔術師が決まったことは公開する事にはなるが、レオンを勇者の方に使うとなるとそちらの方が、都合が良いのだ。それに、最近魔族もお前たち二人のように『偉大なる魔術師』を狙ってくる事もあるらしいからな」
その言葉にアブルとイーゼも納得する。なぜならレオンは見た目だけを見るなら子供なのだ。子供は言葉に惑わされやすい。そのためその判断は良いと判断したのだ。
もし、この事をレオンが聞いて本当の年齢を知ってもまだ16なのでまだ成人したばかりと子どもと言われるだろう。
ちなみにこの世界では成人は15からとされている。
尚、エルフの兄弟、アイザックとアゼルは子供のような見た目だが一応60歳前半なので例外だ。
「レオンにはこの一年はイナグの方で活動してくれと伝えるつもりだからイーゼ、よろしく頼むぞ」
「御意!」
レオンの今後が勝手に決まるのだった。
もっとも、レオンにとっても悪い事では無いので損な事と決まった訳では無いのだが……
今日も顔を出している太陽がレオンの部屋を照らして……はいなかったがレオンは気配を感じて起きる。
「ん……んぅ。ふぁ~あ」
その気配は昨日の夜にレオンの枕元に入ってきたサン。と……
「そこにいるんだろ?ふぁ~あ……ジョニー……か」
レオンの監視をマーティンに任されていたジョニーだ。
だが、レオンに話し掛けられても出てくる気配の無いジョニーに少し不愉快になりながらも鑑定眼でジョニーを見る。
種族名 人族
名前 ジョニー
職業 暗殺者(残酷なる血の雨・塞血牢)・空間術士・影の騎士団団長(集団隠蔽)
状態 魔法発動中(隠密)
魔法適正 闇・土・風・空間
称号 影に生きる・拷問の長
ジョニーのステータスは今、レオンに行っているような監視や戦闘、スパイに向いているものだった。
「別に悪い事をする訳じゃ無いから見逃す。……と、常人なら言うだろうが生憎俺は自分のプライベートの空間を見られるのがあまり好きでは無いからな……ジョニー、お前がどんなに頑張っても来れないような場所に行くことにするからな」
そう言いレオンは寝ているサンを抱きかかえ、サンの生まれた場所、レオンの迷宮に転移する事にする。
『空間転移』
するとレオンの姿は一瞬にして消える。
そして数秒後。
「まさか俺のいる場所に向かって話しかけてくるとは……完璧に見破られていたようだな。ああは言っていたが、一応探知はしてみるか……」
天井の板を外し、レオンの部屋に入ってきたのは執務室でマーティンにジョニーと呼ばれていた男性だ。そしてそのような事を呟いてからジョニーは短杖をポケットから取り出す。そして魔力を集中させ……
『我が体より散らされるのは我が魔力。汝らは薄く散らされ我の感覚となるだろう』
『薄魔探知』
ジョニーの体より極限まで薄く引き伸ばされた魔力が王都の中枢区までを覆う。だが……
「レオン殿の仰った通り反応は無し……か。だが、他の地区にならいるかもしれん。それでもいないようだったら、アブル殿にも聞きにいかせて貰う事にしよう」
ジョニーは短杖を手にまた魔力を集中させ二つの魔法を使ってレオンの魔力を探しにいくのだった。
それが無駄だという事に気付かないのは仕方ないだろう。まさか迷宮の中にいるとは思いもよらないだろうから。
その頃レオンは寝ているサンを頭の上に迷宮へ転移していたが、混乱していた。
「この水晶玉……何でこの前気付かなかったんだ?」
レオンが部屋に転移するとサンの卵があった台座のすぐ後ろにレオンの拳大の大きな水晶玉があったのだ。
だが、レオンには大事な事があった。それは……
「まずは、朝ごはんを食べるか」
「……キュ!?キュ♪」
サンはご飯と聞き起きたらしい。
「肉ばかりで悪いが今日はドラゴンの肉を簡単に取るか」
「キュ!?キュ~」
「仕方無いだろ。竜の肉は殆ど無い、というか、あるけど錬金の素材に使えるからあまり使いたく無いんだよ」
レオンは残念そうに喉を鳴らすサンを無視しながら肉を取り出し、浮かせた状態の肉を高火力の火でものの数秒で焼いてしまう。
「んっ!?」
「キュっ!?」
だがその代償なのだろう、味付けなどは殆ど行われていないため昨日食べた竜の肉と天と地の差があった。
「キュ~」
「仕方ないだろう?ジョニーに監視されているのが気に喰わないんだから」
サンはまずいと言いたそうにレオンに向けて鳴く。いや、『そうに』では無く『実際に』そう鳴いているのだが。
「……じゃ、じゃあ水晶玉を何か確認するか」
レオンもこの空気はまずいと感じたのだろう、明らか過ぎる会話の方向転換をする。
もし、これが人間であれば「話を変えるな!」と少し怒っていただろう。だが、レオンが話しているのは龍。しかも好奇心いっぱいの子龍だ。
「キュ!キュキュ♪」
と興味はあっさりと水晶玉に向き、しかもレオンに「早く早く」といった趣旨のある声で鳴いてくる始末だ。
「サン、なぁ?あれは――」
レオンは水晶玉ではなく、その周囲の空間を指差しながらサンの方を見た。
「キュ?」
それに呆れているとサンは「何?」と鳴いてくる。それに対しレオンは「何でもないよ」と答えるとレオンも水晶玉の方へと歩いて行き、水晶玉の目の前に立つのだった。
とうとう迷宮が出てきます。いや、レオンの場合は妖精迷宮になるのですかね?




