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神槍使い  作者: 怠惰な男の子
2章~偉大なる魔術師(仮)~
41/58

39話

39話目!!そして今日2話目の投稿です!

今回は説明会です。ギルドと学園の。

 城の一角にあるマーティンの執務室。そこでマーティンは部下からの報告や、連絡、書類の整理を行っていた。


「レオンも心配事項の一つだが、一応レオンは裏切る事は無いな。……となるとアルマンド伯爵の反乱軍への対処が先か。一応表立って行動をしてはいないが……後は勇者の魔法陣の方だが報告では……ようやく1階層の階層ボスを倒した、と。『偉大なる魔術師』の二人を送り込ませているのだが……1年は掛かりそうだな。そして……」

「マーティン、俺……というかサンのお蔭でアブルとイーゼが目覚めたぞ」


(っ!)


 自分の執務室に何の予兆も無く入ってきたレオンに内心驚くマーティン。何故ならこの部屋の扉の前には護衛がいて、勝手に人が入って来れないようになっており、しかもマジックアイテムで不法侵入者には……。

 だが、マーティンが内心考えていたことはレオンの言葉を聞き彼方へ飛んでいくのだった。

 尚、サンは眠そうにしていたため此処に来る前に部屋に置いてきてある。流石に生まれてすぐに魔法を使ったのは疲れたのだろう。警備に関してはある仕掛けがあるため問題無い。


「レオンか。感謝する」


 もし先ほどの出来事が無ければ何かしていただろう。だが、先ほどの出来事があったばかりにマーティンは素直に反応出来ないでいた。先ほどの出来事とはすなわち鑑定結果を聞き、一瞬だけだが、気を失ってしまったことだ。


「何だ、もうちょっと喜ぶかと思ったのにな」

「いや、二人が目覚めた事に関しては嬉しいがな、先ほどの出来事があったからな……」


 その言葉を聞き、レオンは頭を掻く。「さっきのじゃ足りなかったのか?」そんな事を思いながらレオンはリングからあるマジックアイテムを取り出した。

 だが、レオンは勘違いしている。マーティンは別に足りないから言いよどんだのではなく、先ほどの黙秘のことを言っているのだ。


「それは?」

「迷惑料がさっきので足りないなら……えーっと名前は『竜の光矢(ドラゴニングアーツ)』だ」


 その手に出てきたのは矢の形をブローチだ。

 そしてそれをマーティンに見せるとレオンは説明を始めた。ちなみにこれはレオンが迷宮の探索中に暇潰しと称して作ったものだ。

 勿論、魔力炉などないので定期的に魔力は込めなければならない。


「効果は即席で作ったものだから単純だが、簡単に説明するとこの魔石みたいになっているマジックアイテムを割ると一度だけ追尾性のある竜の矢となって敵に襲い掛かるというものだな。常時効果としては微量だけど精神攻撃に対する耐性が上がるというものだ」


 「何が単純だ」マーティンは心の中でそう呟く。

通常二つの効果を持つマジックアイテムとは、余程の腕利きが時間を掛けて念入りに作っていくものなのだ。そして数に合わせて掛ける時間は変わっていく。

 そんなマーティンの内心を知ってか知らぬかレオンはある事を呟く。


「マジックアイテムの制作は初めてだけど以外に簡単だったな。あいつから貰った知識もあるし」


 それは物凄く小さな声だった。だが、二人だけしかいない室内ではその声は異様に響いた。


「ハァ」


(『あいつ』とは誰なのか。これは後々聞いておいた方が良いな)


「どうした?」

「いや、お前の能力の高さに驚いていただけだ」

「ふーん。じゃ、俺はもう夜遅いし部屋に戻るぞ」


 そう言いレオンは含みのある視線をある場所に向け、執務室を去って行った。


「とりあえずレオンは反乱時の切り札にするか。となると暫くはレオンの存在……いや、存在は教えた方が良いな。誰がなったかは公開しないようにするか。ジョニー、今の話しは聞かなかった事にしてくれように頼むぞ。そしてレオンに気付かれているとは思うが、引き続き監視をしといてくれ。報告もな」

「御意」


 マーティンの呟きは翌日レオンに伝えられる事になる。



「キュキュ~」


 レオンが自分の部屋に転移した瞬間そんな声を出す生き物がレオンの妖精王のローブに突っ込んでくる。


「サンか、どうしたんだ?」


 その声の持ち主はサン。レオンの従魔だ。


「キュ、キュキュキュウ~」


 レオンにとって龍の言葉なのでサンの言っている言葉は理解出来ない。しかし、魔力の繋がりがあるためか、お互いのいる位置や、感情などは解るようになっていた。

 すなわち「一人で寂しかった」や「怖い」という今のサンの感情だ。そして……


「お腹減ったのか?」

「キュ!」


 そこでレオンは気が付く。サンは生まれてから何も食べていないのだ。


「あー、ブレンダ。何か料理してくれ。肉しか無いが」

「分りました。その~肉とは……」

「竜の肉だ」


 そう言いレオンは、リングから錬金の時に素材を剥ぐついでに適当に切り分けた竜の肉を出す。


「キュ!」

「だめ……だ。ま、一応そうするか」

「かしこまりました」


 サンが今すぐ食べたいと噛みついてこようとするため、レオンは生肉なので食べさせるのをやめようとするが、内心では「龍だからいいのでは?」と思い悩んだ末に念のため調理させる事にする。


「あ!そういえばアブルとイーゼは……」

「レオンー、何ー?」


 調理を待っている間、二人に聞いておきたい事があったためブレンダに確認しようとした所、5つある部屋――調理室・寝室・風呂、トイレ・大きい部屋・接客室――の接客室の方から声が聞こえてきた。

 アブルとイーゼの場所が判ったため、止めていたブレンダを調理室に向かわせレオンは自分の頭に勝手の乗っかったサンと共にアブルたちがいる部屋、すなわち接客室に行く。


「レオン、サン……って言うのかな?二人ともありがとね」

「レオン本当にありがとう」


 この言葉が部屋に入り、二人が座っている向かいの席に座った瞬間投げかけられた言葉だ。

 尚、座った時にソファが思いの外沈み、それに驚くと外見からかイーゼに子供を見るような目で見られたのはレオンの精神にダメージを与えた。

 そのような事が有りながらも、レオンは二人に言葉を返す。


「どういたしまして、と言いたいけどな……今回の治療は俺がした訳じゃ無くて行ったのはこいつ、サンなんだ」


 そう言いレオンは頭の上からサンを膝の上に乗せる。尚、サンの性格的にここは威張る所なのだが肉の焼ける匂いに意識が向いているため顔は調理室の方に向いていた。

 だからなのだろう。アブルもイーゼも苦笑いしながらサンに礼を言う。耳に言葉が届いているかは別として。

 そこから話は変わる。


「それで、レオンは何で僕たちをこの部屋に呼んだの?」


 アブルが首を傾げながら言う。その隣ではイーゼも頷いていた。


「いや、アブルには前約束した報酬をマーティンから貰ったってことを報告するために来てもらった。そして本命はイーゼで、森の調査とギルドの説明をしてくれ。後、学園の事も」

「え!?僕、用無し!?レオンは相変わらず酷いな」


 アブルはそのレオンの言葉にがっくりと項垂れイーゼは「分かったわ」と言い、説明を始める。尚、アブルの言葉は全員無視だ。


「森に関してだけど時間が経ちすぎているからね、他のパーティーにお願いする事にするわ。まあ、ランクの件は私からの厚意という事で。じゃあ、ギルドの説明入るわよ」


 その言葉にレオンは頷く。アブルは反応すらしてもらえず諦めたようだ。


「まずギルドという組織は国から独立している機関で、全ての国にあるものよ。そしてどのギルドにも例外無くギルドマスターがいるわ。イナグの場合は私ね。そしてギルドの行う事、それはギルドに登録した冒険者にギルドを仲介して依頼者の依頼を紹介するというもの。ここまでが基本情報よ」

「解った」


 ここでイーゼはレオンが話しに着いていけているか確認し、話しを続ける。


「次はギルドのランクの説明になるわね。ランクというものは冒険者ランクと魔獣ランクというものが存在していて、冒険者ランクは下からH・G・F・E・D・C・B・A・S・SS・LEランクと計11個あるわ。判断基準としてはHが街中でやるような依頼だけをやる、一般市民が多いわね。そしてGからEが戦闘能力はありますが初心者という認識で、DとCが戦闘能力の平均的な者で一種のボリュームゾーンね。BとAがベテランで、S、SSはベテランの中のベテランっていう人、LEは人外っていう枠組みね。ちなみにLEの人は4人存在しているわ」


 そこで一旦言葉を区切る。今度はただ単に息が切れたようだ。


「ふうー……次に魔獣ランクで冒険者ランクと殆ど同じなのだけれども……違う点といえば魔獣ランクはCからはパーティーを組んでを予想されて組まれているわ。それまでは同じランクの冒険者が一人で倒せるというランク設定なのだけれども……ちなみにLEとはSSまでに当てはまらない魔物の事で最低でも都市壊滅の強さを持っているわね。強さ、とここでは言うけど稀少だからこちらに分類されている魔物や、直接的ではない、疫病を広げる可能性のある魔物の事も言うわ」


 そこで疑問が湧きレティに尋ねる。


「何で一緒にしないんだ?」

「まあ、いろいろとあるのよ。正確に言えば個人レベルで倒せる魔物なんて下級のものしかいないからなのだけども」


 レオンは首を縦に振り、納得の意を示す。


「そして次に依頼の事で、これは3つ種類があるわ。一つ目はギルドの掲示板に張ってある依頼で『常時依頼』と『通常依頼』というもの。前者は常にギルド側が出している依頼の事で後者は依頼者がいる依頼の事を指すわね。受け方は依頼書をギルドのカウンターに提出するだけね。2つ目は緊急時に出される依頼で『緊急依頼』。これは魔物が巣を作った情報が入り、すぐに潰す時や、街に魔物が襲来してきた時にギルド側、国側、騎士団など団体から出されるものが多いの。3つ目は依頼者がある特定の人物に向けて出す依頼『指名依頼』というもので、守秘義務が課せれられたり重要な依頼の時に出されるわね」

「そういえばランクが上がると得はあるのか?」


 レオンは「別にランクが低くとも依頼を受けられるのならば上げなくとも良いのではないか」そう思いレティに問いかける。


「まず一番の得というのは受けられる依頼というものが増えるわ」

「受けられる依頼?」

「そう。依頼はギルド側より仲介されて依頼を出すのだけどその際にギルドがランクを設定し、依頼そのものにランクが付くの。そして自分より2つ以上、上の依頼は受ける事は出来ないわ。レオンなら今はEランクだからDランクの依頼までなら受けられるわね。そしてランクが上がれば上がるほど、指名依頼も任されやすくなるの。また、ランクが上がるとギルドのサービスも受けられるようになり……例を出すならばギルド経由のお店で割引が聞くようになったりなどね。後は得では無いのだけど時々ギルドから新人の研修、ランクアップ試験の引率者として依頼を受けさせられる事になるわ。ちなみにランクアップ試験はHからG、EからD、CからB、AからSと4回あるわね。その他のランクはギルドが判断して上げさせるわ。……ふうー、これで終わりよ。次は学園の事ね」

「……まだ終わらないのか」

「ええ、とは言っても学園の事は大雑把に話すわよ?」

「それで良いぞ」


 疲れているレオンは後々詳しく聞こうと決め大雑把な説明に了承する。


「学園とはどの国にもあるもので、この国では10歳から14歳の子は強制的に通う事になっているわ。……もっとも、それは王都に住んでいる子だけなのだけども。そしてシャルミア王国では4つの学園があり、項目としては『貴族』、『平民』、『魔術師』、『総合』となっているの。習う事はそれぞれの学校で違うのだけど、年に1度だけ『学園対抗試合』というそれぞれの学園から選出された子たちを代表に1位を決めるものなどイベントはたくさんあるわね。レオンも一応これには通わなければいけないのだけど、イナグに本拠地を置くのだとしたら大丈夫だと思うわ」


 長い説明がようやく終わるのだった。


ちなみに38話は3965文字で、39話は4777文字です。ではさようなら。そしてまた明日(か、明後日)です。

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