33話
皆さん、ハッピーハロウィンです。とはいっても変化は都市部しかないのですが。ネズミがマスコットキャラクターになっている遊園地では笑える仮装をしている方もいるようです。先日その話題になり写真を見せてもらい腹筋が崩壊しました(^○^)
今回は33話目です!!しかし、ハロウィンイベントなどはないため期待しないで下さいね。
後、32話の文字数は2373文字です。当たった方は優越感に浸ってください。おめでとうございます。
銀狼とは誰もが知っている物語に出てくる生き物だ。その物語は子供に魔物の恐ろしさを教えるために作られた童話の中の一つでその物語では銀狼の性格は非常に獰猛と描かれている。そんな事は誰でも知っている事。だが、本物に会い、初めて解る事がある。それは……
(綺麗……)
そう思ったのは誰なのか?全員が思った事なのかもしれない。しかし、それは紛れもない事実だった。
2メートルしかない筈の体は肉体を囲んでいる毛はこの谷に微かに入ってくる日の光によって銀色に輝き、その輝きは周りを照らす。その爪は鋭く尖っているのだが砥石などで磨かれた剣のように、銀狼の名前の由来の一つにもなっている雷の魔力を纏う姿は神をも連想させる。
……もっとも、本人が見たりしたら僕の方が凄いと言って色々と自慢してくるだろうが。
そして眼は……と一つ一つ体を見ていくとキリがない。
だが、現実は無情にも銀狼は古くから言い伝えられてように、その獰猛さでエルフの彼らを襲い始める。
「きれ……え?」
綺麗と茫然としながら呟こうとしたエルフをその爪で首を切り落とす。
「逃げな……」
逃げようとした者は頭をその牙で一瞬にして噛み砕かれその血で地面を紅く、朱色に染める。
「ひっ!!」
腰を抜かした者は銀狼をより放たれた風の魔法、雷の魔法により切り刻まれ、焼かれ灰となる。
その光景をわざとか、たまたまなのか襲われていない自分たちは見ていた。
何故逃げない?……逃げられる訳が無い。
何故倒そうとしない?……魔法なんて撃ったら一瞬で殺される。
何故生きようとしない?……今必至に生きるために方法を考えている!
暗殺者の職技『無音移動』を使うのは絶対に見つかる。倒そうなんて無理に決まっている。精神操作なんて自分の精神が負けて壊れるだけだ。
その他にも思い付いたが倒すなんて絶対無理に決まっている。
だが、やらないと死ぬ。
そう思った自分はアゼルに声を掛け、作戦を決行する。
「なあ、アゼル……」
まずは二人で『暗黒の呪印』と『虚無の呪印』を発動。しかし、発動は少しずつ、気付かれない程度に。
次に壁役となる者を死霊魔術で作り、『虚無空間』を発動。自分たちを囲み、ある程度の防壁を作る。
そしてその中で時間を掛けて精神操作を使い、簡単な事を操作する。それは……
「とりあえずあと一息で一騎打ちをするようになるかもしれない」
「判った!とりあえず兄ちゃんは魔力を練っておいて」
戦闘欲を強くしたのだ。その精神操作のお蔭で長く戦闘をしていたいと思うようになる。
その後は虚無空間を消し、一騎打ちに持ち込む。
だが、現実は無常にも作戦を滅茶苦茶にする。
「ワォォォォォォォン!!」
二人以外の者を倒したためなのか、銀狼が遠吠えをしたのだ。そのため自分の練っていた魔力は全て無くなり、粉々に砕かれても尚、銀狼に向かい続けていたアンデッドは崩れる。『暗黒の呪印』と『虚無の呪印』は消え、使っていた『無音移動』も消える。
そして銀狼は二人を見据える。
それを見た自分は死ぬ覚悟で銀狼に精神操作を使い、その先は……記憶が無い。
その後、気が付くと、この城にいて、銀狼との戦闘はアブル兄とセフィス姉に助けられたと言われた事しか知らない。自分は1ヶ月程寝ていたのだそうだ。
この話を聞くとアゼルは過呼吸になり、アブル兄やセフィス姉は黙ってしまうのだ。
だが、称号に『復讐に耐えきった者』とあるがこれはなんなのだろう?
目の前には僕たちを助けてくれた大人がいた。僕は指示に従っただけだ。
「君たちにはある役職について欲しいから助けたんだ。僕らはシャルミア王国の魔術師だよ。さて、本題だ、君たち二人は闇と無に適正があるよね?だから『偉大なる魔術師』の一人になって欲しいんだ。どう?」
そんなの、決まってる。兄ちゃんを助けてくたから。
「うん」
涙が出てきた。嬉しいのか、悲しいのか自分でもどんな感情なのか解らない。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
「……ちゃん……兄ちゃん、兄ちゃん!起きて!」
そう言われアレックスの意識は覚醒していく。
「ん……う、んぅ?何だ?アゼル」
「いや、兄ちゃんが途中から寝ちゃって、唸ってたから起こしたんだよ~」
アレックスはそう言われ目を擦りながら夢の内容を話す。
「いや、昔の夢を見てたからだろうな」
「う、うん……あ!さっきの話を聞いて兄ちゃん。魔法で……」
また、話しを逸らすのだが不自然すぎるアゼルにアレックスは疑問を抱くのだが、魔法の話しを聞き、感心はそちらに向かっていくのだった。
一方そのレオンは部屋に来たセフィスを迎えていた。
「レオン殿、失礼します」
そう言い行儀良くレオンの部屋に入ってくるセフィス。その顔は微笑を浮かべており称号の『聖女』に相応しいものであった。
「お、セフィスか。もう2時になったのか?ブレンダ」
セフィスとは反対に行儀悪くクッキーを食べながら今まで話していたブレンダに問うレオン。
そのレオンにブレンダは礼儀作法を叩きこまねば、と思いながら自分に恋をした馬鹿貴族の息子から貰った時計を見る。尚、この馬鹿貴族にブレンダは嫌悪感しか抱いていないのだが、こういう高価な物を貰えるため利用していた。
「はい、セフィス様は毎度時間通りに来られる方なので心配は要りませんよ」
そんなブレンダの遠回しの褒め言葉に会釈をしてからセフィスはレオンに話し掛ける。
「レオン殿、では街の中にある宝物庫の事や場所などは他言無用でお願い致します。高価な物は全てあちらに御座いますので。それと行く時はご自分に気配を消したりする魔法を使って下さい」
「判った。もう使って良いよな?」
そのレオンの疑問にセフィスは頷き、こちらも魔法を使う。
(ん?今のは魔法だよな?『幻視鏡水』って言ってたから、職技では無い筈だ。俺も『隠密』、いや、新しい魔法を使うか。幸い『魂通のイヤリング』で場所は解るみたいだし。俺の考えてる魔法を使うとなると使う属性は風・水・光だな。全部使える)
『風は音を、水は姿を、光は輝きを生み出し姿を見せる。だが、我は全てを操、世界の法則の隙間に入る』
『軟静絶気』
すると部屋からレオンの姿、気配などが全て消える。
それに驚いたのはセフィスだ。ここまでの魔法を使用すると膨大な魔力を消費する。だが、それが全く感じられない。
ちなみにこの魔法、レオンの膨大な魔力に物言わせて使用……したわけでは無く、風で振動を外に漏れないようにし、水で自分の周りの光景を粗方移し、光でそれを鮮明にしただけだ。一つ一つはそれぞれの魔法の初歩のため殆ど魔力を消費しない。
そして魔法の出来を見ていた時間があれば、魔法を見ていたセフィスもそんな事をしている訳では無いと我に返ったのか「着いてきてください」と言うと姿を消したまま城の中へ戻っていく。
その際に、てっきり窓から出ていくと思っていたレオンは疑問に思ってセフィスに問うと返ってきた答えは小さな声で
「城を出る際に門番の方たちへチェックしないと大変面倒くさい事になりますので……」
だそうだ。
確かにそうだと思うレオン。
(城にいた筈の人が中にいなかった時は確かに大変だよな。しかも門番の仕事をさらに増やして……門番も大変そうだな)
実は門番にとってはレオンもこの大変な人に入っているのだが本人はそれに気づいていない。
そんな事を考えながらレオンたちは階段を下りていく。
ここで城の階段に関する構造を紹介したいと思う。
この城の階段は反乱や敵がこの城に入ってきた時に備え、一つ一つの階段が別々にあるのだ。学校で例えるとするならば、1階から2階に上がるには理科室の隣の階段を上るが、2階から3階には家庭科室の近くの階段を通らなければいけないという風にだ。なので、城を6階から1階まで下りるには時間を使う。
(面倒臭い。転移で外に行けばいいのにな)
門番にとっては自分が面倒臭いと思われているとは知らずにレオンはそう思う。だが、どんな事にも終わりがあるように階段にも終わりは来る。
「なあセフィス、階段ってこれが最後だよな?」
そんな問いかけをセフィスにするが、少なくともレオンは全然疲れていないだろう。なぜなら宙に浮いて移動しているのだから。……もちろんクッションに抱き着きながら。
「はい、そうですが……どうかされたのですか?」
「いや、ただ単に面倒臭かったなって」
「そろそろ門が見えてくるためもう少しで終わりますよ」
笑みを浮かべながらそう言うセフィス。その笑みはレオンのような喜びではなく、アブルのようないたずらを思い付いた時に浮かべる笑みではなく、清楚感漂う笑みだ。
(そういえばアブルとイーゼはどうなったんだ?)
そんな事を思いながらレオンは報酬を貰ったら2人に会いにいこうと予定を立てる。
「レオン殿、そろそろ門に着きますのでこれ使って下さい」
そう言われ渡されたのはレオンの名前が書いてあるカード。疑問に思い質問をしようとするレオンだったがそれよりも先にセフィスが説明を始める。
「それは城までの通行許可証です。身分証明書が身分を証明するもので、通行許可証はそれを門番に見せれば身分証明書を見せなくとも通れるようになりますので持っておくと便利ですよ。尚、マーティン陛下に渡すのを忘れていたと渡された物なのであると儲け物という感覚で持っていると良いと思います。ちなみにそこに記載されている名字は『偉大なる魔術師』になったのでマーティン陛下がお付けられたものです」
そこに書かれていた名前は、レオン・シェル・レイナルグ。
尚、シェンとは貴族や王族に入る名前の一つで、貴族は『ルト』、王族は『フォン』、名誉貴族などは『リュー』王に近しい者や親しい者は『シェル』となっている。ちなみに『リュー』や『シェル』はよっぽどの事が無い限り子孫に名付ける事は許されていないらしい。これはブレンダにレオンが後程聞いた時の言葉をまとめたものだ。
「名前に関しての事は本人に確かめるか……これを何で今?」
「門を出る際に壁に埋め込まれている魔石にそれを当ててください。そうする事で出入りを確認されますので」
「……判った」
レオンはもう一度通行許可証を一瞥した後に魔石に通行許可証を当て、「収納」と呟き無限収納腕輪に入れる。その時レオンはセフィスの視線を感じたので視線で問いかけると呆れたような答えが返ってきた。
「レオン殿、謁見の間の際は擬似的なアイテムリングと解釈していたのですが本物だったのですね、それは」
「何がだ?」
その問いにセフィスはもう一度溜息を吐き答える。
「アイテムリングやアイテムポーチという物があるのを……そういえば迷宮から来たのでしたね。アイテムリングやアイテムポーチという無限に物を収納できる魔道具があるのはお知りですよね?」
セフィスは頭の中で一度結論付けてから初歩なことからレオンに問う。尚、結論とは迷宮でアイテムリングを手に入れたのだろうという事だ。
「ああ、今実際に持っているし。それと擬似的な物って何だ?」
「擬似的な物とは今現存されているアイテムボックス、リングを錬金術師がマジックアイテムとして複製した物です。……もっとも複製には大量の高価な素材や気象な素材を必要とするので殆どの人は持っていませんがね。尚、魔道具の方アイテムボックスなどは昔に作られた物や迷宮の副産物ですね。レオン殿もそちらで手に入れたのですよね?」
「……あ、ああ」
それを聞いたレオンは一瞬、ほんの一瞬だけそう答えていいものか悩んだのだがすぐ答える。だが、それはセフィスには大きすぎる一瞬だったのだが、両親の事を思い出したのかと結論付け、事なき事に終えるのだった。
では、今回も問題形式で
①、3975文字
②、4309文字
③、4701文字
④、4012文字
です。では次話も楽しみしてください。
で、話は変わるのですがレオンって行動と口調が合いませんよね。だって~だとか、言うのに、クッションに抱き着いているんですよ?
ちょっと笑えますよね。子供でみたいで。




