25話
25話目!!
皆さんこんにちわ。陸上の結果を……と言いたい所ですが、あまり良い結果では無かったので報告はしたくありません。ただ、順位は2位でした……22人中。
自慢と思う方もいらっしゃると思いますが、フォームも助走も全然ダメダメでもう最悪です。
こんな愚痴に使ってしまった前書きですが、25話もお楽しみください。
「やっぱり何処にもいない。……ハァ~」
そう呟きながらどんどん空間魔法の探索の範囲を広げていくレオン。だがそれが王都中になっても、はたまた王都から二十キロ離れた場所になっても見つからなかった。
だからレオンは、失敗した。そう思う。
(だいたい何で殺さなかったんだ?捕虜にしたいから?でも殺せたのに。やっぱり日本での感覚が残っているのかな?持ち帰る事も出来ずに、逃げられる事になるなんて最悪だ。それに一度でも触れていれば転移の座標に出来たが、攻撃は魔法とブリューガングだけ、気絶させる時も魔法で……最悪だ)
そんな反省を繰り返しながらレオンはクッション状態のブリューガングに乗っている二人に触りながら、マーティンに渡された『転城石』を地面に叩きこむ。暫くすると緑色の光が三人を包み、一度石に変化しレオンの手に戻ってから城に転移していった。
城にある『魔術師の転移間』そこにレオン、アブル、イーゼは転移してきた。もっともアブルとイーゼは気絶しておりレオンのブリューガングの上で寝転がっているのだが……
初めての魔道具での転移で、いつもと違う感覚だからかレオンは少し気持ち悪かったのだがそれも数秒すると消えていく。
(流石アドルフ作の体だな)
内心でそう呟いて感心するレオン。
その状態でいても何もないと判断したレオンは、イーゼが扉を開けていたのを思い出し『魔術師の転移間』から出ていく。
すると廊下にいた見回りの兵士やメイドが何で子供がそこから、と思ったような視線を向けてきたので内心で舌打ちする。何でこんな子供のような背丈なのか、と。
そんな風に敵に逃げられたのと、子供のように見える体と二つの意味で気分が悪くなりながらも空を飛びながら移動する。本当はクッションの上で寝転がったまま移動したかったのだが、今はアブルとイーゼを乗せているのでそんな事が出来ずまた溜息を吐く。
尚、周りの兵士やメイドはレオンが心配なので喋り掛けようとする者もいたのだが、レオンの背中が見えている者に『偉大なる魔術師』と教えられ誰も話し掛けてこなかったようだ。いや、この表現は間違いだろう。それでも話し掛けようとする者もいたのだが、ブリューガングに乗っている二人を見て今はそれ所では無いと判断し、話し掛けなかったのだ。
それからレオンはイーゼ達と共にマーティンの部屋まで送られた時の道順を思い出しながら右へ、左へと歩いて……否、飛んでいく。
それから五分後、前回は三分程で着けたので道順が解らないと不便だと思う。
そして中に貴族とマーティン、セフィスしかいない事を確認してからドアノッカーで扉を叩き、中に入る。
するとそこにはもう魔道具とマジックアイテムで安否が判っている為、笑顔でいるセフィス、ニヤニヤとしているマーティンがいた。ここまではレオンは居心地が良かったが、貴族の方に少し視線を向けた瞬間様々な視線があり、嫌な気持ちになった。
その視線とは少々誤差はあるが大雑把にまとめると六つあり、一つ目はレオンを信じていた者。これは非常に少なかったため、レオンはこの者達の顔を覚えてくことにした。二つ目、二人を連れて帰ってきたレオンを信じられないような目で見る者。この者達はレオンを見た目……十二歳の少年として見ていた者だろう。三つ目、これは魔力を感知出来る者や魔法に精通している者に多く、尊敬するような視線で見てくる者。四つ目は、金の亡者とも言える貴族、ようするにアドルフの印象にあるような貴族で侮蔑の視線を見てくる者。五つ目は、王に仕えたいと思っていた騎士などに多く、嫉妬をしているがこれが現実と認めているような視線。六つ目、これがレオンの気分を一番不快にさせたもので、レオンを外見で判断し、自分の方が偉いといった欲に溺れたような視線。二つ目と似ているがこちらはレオンを騙し、有効活用しようとしている者だ。
そのような視線を無視し、レオンはマーティンの目の前まで行く。そしてマーティンとの距離が前回の謁見の時と同じになった時に止まる。
「顔を上げよ」
メンド臭いと思いながらレオンは指示された通り動いていく。そこでレオンは重要な事を思い出した。それは、『偉大なる魔術師』は王に敬語を使わなくても良いというものだ。その事を思い出したレオンは結果を報告する時に敬語を使わないことに決めた。
「……と言いたい所だが、今はとりあえずアブルとイーゼは治療をする事にしよう。トリシア、この二人を治療してくれ」
「承知致しました」
マーティンは広間にいた治療魔法を使うらしき女性に言う。それに言う事を忘れていたレオンは待ったをかける。
「おい、トリシア」
そう言うとトリシアはレオンの方に振り返る。その顔が子供だからと馬鹿にしていないのがレオンにとって印象的だった。
「そいつらが倒れてるのは『幻術』に掛かっていたからだから。後、回復は粗方しといたから寝かせるだけで何時かは起きる」
治療する者はレオンに教えてくれた事に礼を言い急いで去っていくが、問題なのは貴族の方だった。
「『偉大なる魔術師』様をそいつらと呼ぶのは何事か!」
「陛下へのその態度は不敬罪に値するぞ!」
「ちびっ子が!どうせ、誰かに倒してもらった手柄を横取りしているのだろ!」
興奮しているのか、一部の貴族が急に騒ぎ出したのだ。しかもレオンの身長ばかり見ていてローブを見ていないと来ている。
こいつら馬鹿だろ、それがレオンの思った事だった。そもそも『偉大なる魔術師』を倒す者など限られていて二人同時に倒すなど以ての外だ。金で買収したと考える者もいるかもしれないが、それなら本人が来て直接金を貰うだろう。
レオンがちらっとマーティンを見るとマーティンは非常に嬉しそうな顔をしていた。尚、この広間でレオンに罵倒を吐いた者は王都から(・・・・)姿を消したそうだ。そして後々レオンがマーティンに嬉しそうにしていた理由を聞くと
『あいつらは、まあ『統率者』が反応していたので爵位を下げようとしていたのだ。しかし、理由も無しに下げると我の求心力が下がる。しかし、レオンに、否、『偉大なる魔術師』に罵倒を吐いたという理由があれば簡単に下げる事は出来たからだな。ちなみに罵倒を吐いた貴族は不敬罪となり鉱山で強制労働させられている』
こういう理由らしい。
今はまだそんな事を知らないレオンは何時まで悪口言っているんだろうと、途中から時間を計り始め、遊び道具と化していた。結果は七分程だった。何故ならマーティンが一喝して黙らせたからだ。
レオンは親に怒られたのを見ているような感覚に陥り少し笑っていたのだがマーティンが真面目に話しかけてきたので笑いをやめてみる。
「まずは任務の結果から言ってくれ?」
「分かった」
アブルとイーゼを下したブリューガングに仰向けに寝転がりながらレオンは報告をする。
尚、仰向けとなったのは疲れるからという理由だけである。
第一章の魔法一覧を13話の所まで、編集したので、是非見てください!!
今回は2791文字です。




