18話
本日2話目の18話!!
展開は大きくないと面白くないですよね?
18話は4431文字です。
17話と合わせると
4803+4431で9234文字です!!
……なんか、頑張ったな~
『怠惰な男の子』の筈なんですがね。
まあ、それは置いといて、『神槍使い』お楽しみください。
レオンがこの世界に来た理由。それはアドルフと呼ばれた男のせいだ。
なのに自分が――実際にあった事だが――お釈迦の話を聞いている途中にその者の名前が出てきたら誰でも何かしらの反応をするだろう。
レオンの場合それが行動の停止の理由だった。
そんなレオンにマーティンは疑問を持ったのだろう。一旦話を止めレオンを見る。
「どうしたのだ?」
そこで現実を認めたくないというようにレオンはマーティンにアドルフの名字を聞く。
「えーと、その……アドルフっていう人の名字とか知ってるか?」
なにを当たり前の事をと言いながらマーティンは答える。
「アドルフ・クロムウェル様……それが封聖の人族の名前だな」
レオンはその答えに自暴自棄になりながら知識を探る。
すると記憶の奥の奥に他の『封聖』と共にその知識があった。それも『メッセージ』付きで。
封聖龍エイブラハム
七千年程前に『封聖妖精王マルケネイク』『封聖人族アドルフ・クロムウェル』と共に邪神を封印するため命を削って封印した古代龍と五帝龍のハーフ。
死亡前……封印する前は人族ともっとも仲が良く、シャルミア王国の建国を手伝った龍。彼の爪は全てを貫き、ブレスは全てを焼ききったと言われている。
封聖妖精王マルケネイク
七千年程前に『封聖人族アドルフ・クロムウェル』『封聖龍エイブラハム』と共に邪神を封印するため命を削って封印した初代世界神樹に認められし初代妖精王。
本来であれば不老で、世界神樹と永遠に生きる筈だったが魔族との戦いで死亡。世界神樹が蘇らせたが不老の能力が無くなりしかも世界神樹が枯れたので死ぬために封印に参加したという悲しい過去を持つ女性。彼女の武器……世界神樹から渡された神珠は魔法を絶え間なく撃ち続け味方を癒し、敵を葬り去ったと言われている。
封聖人族アドルフ・クロムウェル
七千年程前に『封聖龍エイブラハム』『封聖妖精マルケネイク』と共に邪神を封印するため命を削って封印した人族の男。
封印の際に他の封聖は死んでしまったが、唯一生き残りで自分の命を使って後継者を探した者。彼の剣劇はエイブラハムと同等レベルで魔法もマルケネイクに引けをあまりとらないレベルだったと言われている。
『どう?僕の正体が分かってびっくりした?
っていうのを問い詰めたいけどこのメッセージは冷やかしでは無い!お願いかな?
さて本題に入ろう。このメッセージを見たという事は封聖についてたまたま調べたか、だれかに聞いたという事だよね?それじゃなきゃ知れないようになっているけどね。
お願いというのはズバリ、魔王の消滅だ。僕たちは昔邪神を封印したけどその時に死亡・弱体化してしまい魔王、邪神の臣下の消滅が出来なくなってしまったんだ。殺す事は出来たけど存在そのものの消滅は出来なかったって事。だから僕は光属性に適正に持っていて、魔力をいっぱい持つ者を探したんだ。この条件は君がいきなり叫んで言えなくなっちゃったけど。で、殺したけど何故生きているという疑問を持つと思うけど、彼らは精神生命体なんだ。後の理由は君のラノベ知識であってる。だからいつか召喚される勇者を手伝って魔王を殺してね。『常闇魔桑朽』が最後の魔王だから。これが君を、レオンを僕が蘇らせた理由。後は妖精王……これ以上は野暮だね。マルケネイクから頼まれた事ではあるけど、興味があったらこの事を調べて。『妖精王』って。あ!後エイブラハムからも頼まれた事があった。もし、シャルミア王国に行って助けを求められたら、助けてあげてだって。この国にはエイブラハムの魔力のおかげで王が野蛮になる事はないから。僕からもこの国の王様になら仕えても良いと思っているよ』
アドルフのメッセージとなると突っ込まなくてはいけなかいと思っていたがレオンは今
回は真面目なメッセージだったため安心と同時にマーティンの誘いを飲む事に決めた。
国に従えば、面倒臭い事は増えるが貴族関係の面倒臭い事は無くなるからと。
「アドルフの説明は良いよ。それで詳しい事も、この国の現状も大体分かった。願いは?師匠……正確には師匠の友達から頼まれたんだ。この国が困っていたら助けてくれって」
レオンは笑顔で言う。こう見えてもレオン……否、相原 相馬はアドルフに感謝してい
るのだ。死ぬはずだった自分を蘇らせてくれたアドルフに。
だからレオンはこの国の味方でいようと決めた。
だが、レオンは自分の失敗に気づいていない。
なぜ、アドルフの話を出した瞬間笑顔になったのか、なぜ英雄と呼ばれているアドルフを呼び捨てにしているのか、なぜダンジョンの中にずっといた筈なのに師匠がいるのか。
最後の疑問はあまり深く自分の出生を考えなかったレオンへのツケだろう。
マーティンの中は三つの疑問で渦巻いていた。
だが、今はそれを意図的に無視する。手伝ってくれるのだからそれで良しとしよう、と。
「願いはなにかと我に聞くか」
そこで少しマーティンは笑う。そして笑顔のレオンは機嫌良く頷く。息をすって……
「もう一度言おう。『偉大なる魔術師』の一つに座ってくれ」
最初に言った事と同じ事を言った。
「……わかった」
それに対しレオンはわかった、ただそれだけ。しかし「お前を信じている。裏切ったら……」というニュアンスを込めて頷く。
その様子を見ていたマーティンはレオンとの話が終わった瞬間体の力が大きく抜けたような気がした。
(こんな子供相手に強張っていたのか。でも我に威圧されるどころか、威圧を仕返すとは。しかも様子を見る限り威圧をしているのではなく極微量の体から溢れでている魔力か)
そこで一部の魔力に流れがあることを見つける。その先を見ると……
(靴……か。でも能力から察するに『魔溜の靴』だな。容量は知らないが、というよりはずっと流れがあるという事はとにかく多いのは確か、か)
そんな事を考えているとレオンが話し掛けてくる。
「で、俺は正式にはどの属性の魔術師になればいいんだ?」
その声に考え事をしていたマーティンの意識が浮上する。
「ああ、すまないな。どの属性と聞かれてもな、レオンの使える属性が分からないので、できれば教えてくれないか?」
その言葉にレオンはピクリと反応する。なぜならいくら仲間になるからといっても自分の使える属性を話すのは、自分の弱点を話す事と遜色のない事だからだ。
そんなレオンを見たのかはわからないがマーティンは安心するようにと言ってから言葉を続ける。
「大丈夫。レオンの使える属性を話すのは俺と、同じ『偉大なる十属性の魔術師』だけだからな」
そう言われて話す気になったのかレオンは口を開く。
「分かった。ただ、契約のマジックアイテムじゃなくて俺の魔法で色々と縛らせてくれないか?それだったら言っても良い」
縛らせる魔法。それを聞いてある魔法にマーティンは心当たりがあった。
「契約魔法……か?」
「大当たり」
契約魔法、それは特異属性の一つだ。これが特異属性と呼ばれている理由は魔法の種類が基本魔法しか無く、誰でも使えるからだ。しかしこの魔法は異常に魔力を使うので大半の者は使えない。それと魔法の内容だが、双方の同意が無いとこれは発動しないが、一回発動してしまうとその契約が終わるまで永遠に効果を発揮し続ける。
ちなみに特異属性とは一定の人しか使えなかったり、全員使えるが条件のある魔法の事だ。付け加えるならば禁忌と言われている禁忌魔法もこちらに入る。例を出すならば、妖精魔法、召喚魔法、古代魔法、神聖魔法などがこれに属する。妖精魔法は妖精の魔力が無いと使えず、召喚魔法は契約した魔物がいないと使えない、古代魔法は古代の微力な魔力を感知できる者しか使えない。そして神聖魔法は勇者と呼ばれる存在しか使えない。分類としては光・聖魔法の上位互換だ。なお禁忌魔法とは、世界神樹がマルケネイクのために使った生き物を蘇らせる魔法など、理そのものを破壊する魔法なのだが、転移魔法はこれに入らない。
「まあ、良い。で、契約の内容はなんだ?」
「契約する事は二つ。一つ目は俺が周りに国家機密を言い触らさない、魔王に関する事を言わないこと。二つ目は陛下が俺の属性を『偉大なる十属性の魔術師』以外には言わない事だ。もし、この契約を破ったら……命ってことで。これならいいだろ?」
ここでマーティンは息を飲む。一国の王相手に命を代償として簡単に提案……否、強弁してくるのだから。だが、マーティンは約束を守るつもりが無いため頷いて許可する。
なお契約魔法を情報の面でやる場合はまずはその情報を知っていなくてはいけないためレオンは自分の使える属性を言う。
「俺の使える属性は無・火・水・風・光・雷・闇・空間・治療だ。上位属性についてそもそもその上位属性自体を聞いた事も使った事もないから解らない。特異属性に関しては契約・錬金・古代が使える」
レオンはけだるげに言い放った。
ここでなぜレオンは自分の使える特異属性を分かるのかと疑問に思う者もいるだろうが、特異属性に関しては意識するだけ使える属性が分かるためだ。
その一方で基本属性に関しては意識しても分からない。
これについて研究者たちでもいろいろな意見があるが今最も有力なのは、
『基本属性は普段から自分の周りで強い力を発揮し続けていて感覚は存在するがそれが魔法の属性とは解らず、特異属性は殆ど力を発揮していないためちょっと異変を感じればすぐ分かるから』
といわれている。
だがマーティンはレオンの言葉に度肝を抜かれていた。
それも当たり前だろう。普通一般の魔術師は使える属性は平均的に二つ~三つなのだ。特異属性なんて持っていたらそれこそ使える属性によっては王宮、悪くても貴族に仕える事は容易いのだから。
(それを思うとこのレオンという男の子が勝手に機嫌よくなってくれたおかげだ)
マーティンがレオンの事で考えている最中にレオンが話し掛けてくる。
「じゃやるぞ」
「分かった」
レオンはマーティンが頷いたのを見てから詠唱を始める。
『契約、その内容を今言おう。我は汝に口止めされたことを言わず、汝は我の秘密を言わぬもの。この契約は双方が同意をした事で契約の効果を示し、契約の約束を破りし時は命を奪われ物言わぬ骸となるだろう』
レオンとマーティンはブリューガングから出てきた青白い光に包まれる。
『秘匿契約』
「ふぅ~」
レオンは溜息を吐く。なぜなら魔力を異常に消費したためだ。もっともレオンにとっては今までで一番使ったであって、総量から比べるとスズメの涙程までとはいかなくともごく少量であったのだが。
だが消費魔力というキーワードから……
『如何に消費魔力の多い魔法に慣れるかだよね?と言いたい所だけど、レオンは魔力を無駄に使い過ぎ!魔力の操作も頑張ってね~』
そんなアブルの言葉が蘇る。
それに少し気分が悪くなりながらレオンはどこか安心しているような顔をしているマーティンに視線を向けた。
魔王でもいい事を一つくらいしているのではないか?
という疑問を持つ人もいるかもしれませんが、そこはファンタジーの特権で、悪の塊みたいな扱いでよいです。
あと、邪神の登場を期待している方がいるかもしれかもしれませんが、作者の心変わりがない限り邪神はモブです。立場的に――あと、神様なので――名前は出しますが魔王よりも出番の少ないモブです。
それと最近の物語に出てくるモブ系の勇者ですが、この小説ではモブではないです、レオンよりもよわ……つよ……ですが少なくとも強いですよ。
ああ!!言い忘れていたのですが『神槍使い』は2016年10月7日現在
ブックマーク数 25件
週刊ユニークユーザー 536人
総合評価 64pt
です。
しかし、ブックマーク件数に対し、週刊ユニークユーザーが圧倒的ですよね。驚きました。
というか反対になってほしいですよ。
では、連休明けまたお会いしましょう!!




