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神槍使い  作者: 怠惰な男の子
2章~偉大なる魔術師(仮)~
19/58

17話

17話目!!

週末は用事があり、投稿出来ないので、今回の投稿は多めに――2話投稿という意味――しました。詳しい事情は活動報告を見てください。

17話は4803文字です。

 マーティンと向かい合うレオン。これから話合う流れになっているのだがここで疑問が湧く。


(あれ?ダンジョンから氾濫があったって言ってなかったか?)


 それを察したかのようにマーティンが口を開く。


「アブル、イーゼ、ここに滞在していた風と治療が行っているが援軍として行ってくれ。『獄㷔鳥』もいるようだから」


 なお、風、治療とはアブル達の所属する『偉大なる十属性の魔術師』を呼ぶときの総称だ。ここで、十三も属性があるのになぜ十しか席が無いのか疑問に持つ者もいるだろう。

理由、それはただ単純に上位属性を使う者を見つけたのだがその者達(・・)が断ったためだ。『もう仲間がいるから』と。


「御意!」

「わかりました」


 最初がイーゼで次がアブルだ。


「では頼んだ」


 マーティンがそういうとアブルが転移魔法を使いイーゼと共に『獄㷔鳥』がいる激戦地に跳んでいった。

 それを見てレオンもアブルに頼まれたのを思い出しアブルの懐に転移しようとすると国王陛下……すなわちマーティンより待ったが掛かった。


「なぜですか?俺もアブルに頼まれてきたのですが?」


 そう正論を言ったレオンだが本心は早くこの場を離れたいがために言った言葉だった。

 この広間に来た時は「いよいよ……か」などと思っていたのだが、実際に目の前にいると疲れるのだ。身体的という意味では無く、精神的に。


「それは我が『連れてこい』と頼んだからだな。それと我は陛下としてでは無くて一私人として話をしたいのだ。だからちょっとした結界を作るぞ」


 マーティンが話した内容を理解はできているが確認のために疑問を投げかけるレオン。


「マーティ……」

「陛下!それはさすがにやり過ぎです!いくらアブル殿の推薦といってもこの者がスパイではないという事は判らないのですよ」


 この広間にいる貴族の中でも偉い方なのだろう。服は質の良いものだが派手では無く、どちらかというとパッと見男爵位の爵位の者が着るようなものを着ている。……なのだが陛下に許可無く進言をしているためレオンはそう判断した。

 実はこの服はある高ランク魔物の皮が使われているのだがそれをレオンは知る由も無い。


「言っただろ。一私人として興味があると」


 だが臣下の進言もマーティンは軽く受け流す。


「しかし!」

「これ以上の口出しは不敬罪となるぞ」

「……っ!大変ご迷惑おかけしました」


 陛下に注意され、素直に謝る臣下。しかしその睨みの効かせた目はレオンの方を向いている。

 だが、レオンの内心は今の会話に興味が向いていた。


(不敬罪ってそんな簡単に出していいものなのか?いや、罰金程度で済むなら良いが……)


 そんなレオンの状態は知らないだろうが、マーティンはレオンの心境を無視して話を進めるマーティン。


「では、これに反対する者はいないか?」


 この言葉に反論する者はいなかった。これ以上反論したら不敬罪になってしまうのだから。


「レオンちょっとこっちに来い」


 レオンは最初この言葉の意味が解らなかったがとりあえず結界に関係あると思い近づく。

 そして後五メートルといった所で止められ、マーティンが魔法を使う。


『空間を支配する力よ。その力で中の空間を隔離し、時を止め、その空間を固定せよ。その代償は我が魔力』


 この魔法は基本魔法で、レオンが自分の魔道具に掛けたのと同じ魔法だ。詠唱が違うのに何故同じ魔法?と疑問に思うかもしれないがこれは空間の魔力に代償を払い、固定・隔離の二つのどちらかを望む魔法なのだ。レオンは固定を、マーティンは隔離を望んだため詠唱が違う。それに今回のマーティンが使った『空固の契約』は規模が違う。


『空固の契約』


 その言葉が発された瞬間レオンとマーティンを紫色の中が見えない、それでいて丈夫そうな壁が出来上がる。

 ふとレオンがマーティンを見てみると少し息を切らしており、胸の魔力の塊のような石が光りながら魔力の回復を促していた。


「神槍ブリューガング 第Ⅰ形態【太陽の領域(エリアサン)】。陛下、その石は何ですか?」


 レオンも小規模の【太陽の領域】を発動させて、マーティンの魔力回復を早めながら聞く。


「レオン、感謝する。ああ、この中の音は外には聞こえないので、敬語で話さなくともよい。もっとも人の前では敬語を使ってほしいがな。後、レオンの質問はちょっと答えられぬ」


(敬語じゃ無くて良いのか?俺のイメージだと王族とかはそこら辺気にする人だと思っていたが……やっぱり良い人そうだな。そして答えられないという事は何かあるんだろうな。鑑定眼で見れるけど別に興味は無いし)


 これにはレオンに自分に対する印象を良くしようというマーティンの狙いもあったのだがその点では狙い通りと言えるだろう。

 もっともレオンはアドルフに言われた通り、貴族には仕えないようにしているのだが……

そんな事をマーティンは知る由も無い。

 しかしアドルフの言っていた貴族というのは、自分を無理やり従わせようと武力行使にきた貴族や、貴族のプライドだけが肥満化した者の事だ。アドルフが強すぎた故に、そんな悪い印象の貴族しか会えなかったのだ。だがマーティンの政治に関する手腕は凄く、そんな貴族はこの国には殆どいない。

 アドルフの人生の失敗は、ただただ強すぎた。それだけだろう。

そんな過去の話などマーティンには欠片もレオンにとって全く分からないので話は進んでいく。


「担当直入に言おう!レオン、我の仲間とならないか?」

「…………は?」


 レオンにとってマーティンの言葉通り担当直入過ぎた。

 マーティンの言葉はレオンの頭のスペック的に――記憶力や考える力は人類?一だろうが、気持ちの問題で――理解できなかったのだ。


「もう一度言おう。我の仲間、正確には『偉大なる魔術師』の一席に座ってはくれないか?」

「……なんでそうなる?」


 ここでマーティンはレオンに賞賛の言葉を送りたい気持ちになった。その理由は敬語を使わなかった事。言ってしまえばそれだけなのだが、この世界では敬語は自分より強い者に会った時に本能的にでる言葉として考えられているのだ。もちろん社交辞令でも使うが……

その例がアブルやイーゼだ。『偉大なる魔術師』は立場的には公爵よりも偉く――爵位の順は、

国王<『偉大なる魔術師』<王族・公爵<侯爵<辺境伯<伯爵<子爵<男爵<準男爵<騎士爵

となっている。アブル達は王族よりも偉いのだ。――国王の近衛兵よりも偉い存在、それも国王にため口を使っていい存在だ。だが、二人は敬語を使っていた。ようするに国王の威圧に負けたという事だ。しかしなんの遠慮も無くレオンは敬語を使っているのだ。もっとも『偉大なる十属性の魔術師』の中の序列というものが存在しており六位以上の者はため口だ。

 ちなみにアブルは7位、イーゼは8位だ。


「まあ、これから話す事は国家機密になるからな、契約のマジックアイテムを使わせてもらうぞ?」

「分かった」


 そこから一息ついてマーティンは語りだす。


「レオンは魔人の事を知っているか?」


 魔人、それは先ほどイーゼに聞いた事だ。だが少ししか話を聞けなかったため詳しくは知らないと言いながら首を横に振る。


「そうだな、では魔人の登場から話すとしよう。……魔人は今から七千年程前にある大陸で転移の場所を誤った冒険者によって発見されたと言われている。最初はだれも信じなかったが、それから数年後にその者にマーキングを付けた魔族がこの大陸に来て公になった。しかしそいつはその場に居合わせた妖精王……違うな。『封聖妖精王マルケネイク』様によって倒された。もっともその都市は全壊、妖精王は相打ちで死んでしまったたんだがな。これが歴史で初めて魔人、通称『魔族』の現れた瞬間だ。ちなみにその魔族は己を『魔将』と名乗っていたそうだ」

「妖精とは……」


 ――どういう存在ですか?とレオンが言おうとした所で止められた。


「後で詳しく話す。それよりも魔人……いや、魔族について話すぞ」


 それに妖精を知りたい面もあるが無言で頷く。


「それからだな、魔族がこの大陸に来るようになったのは。魔族と人間は今まで全く互いの存在を知らなかったからだと思うわれる。ここで話を変えるが、魔族のいる大陸を我々は『暗黒大陸』と呼んでいる。その冒険者の話では遠くに跳び過ぎたがゆえに一日その大陸にいたようだが、太陽というものは無くずっと月の光だけだったようだからそう名付けた。そこで魔族に話を戻すが、魔族がこの大陸を襲う理由が分かるか?」


 やはり知識の中にそんなものが無かったため首を横に振る。

もっとも本来ならレオンの知識の中にこの情報はある筈だった。しかしアドルフがあることをしたため知れなくなっている。


「それはな、この大陸には太陽というものが存在するからだ。先ほど言ったように『暗黒大陸』には月しか存在しない。だからだ。ここからは話を変えるぞ。この時魔族は人間が束になっても勝てないような凄く強い存在だった。だがある方たちのご活躍によって魔族が致命的に弱くなったのだ。それでも人間よりは圧倒的に強いがな」


 マーティンが自嘲的に笑う。だがすぐに話を戻す。


「それは三人の『封聖』の方たちによるものだ」


 そこでレオンは気付く。


「それって、『封聖龍エイブラハム』とさっき話にでた『封聖妖精王マルケネイク』か?」


 だがここでレオンは疑問に思う。


(エイブラハムは詳しい事は解らないけど、マルケネイクって魔族が発見されてすぐ死んだんじゃないか?)


「『封聖妖精王マルケネイク』様の事について疑問に思っているようだが、あいつはこの時死んでおらんぞ?」


「えっ!!」


 それにびっくりするレオン。だがそれは仕方がないだろう、先ほど死んだと詳しい事を話されずに言われたのだから。


「どういう意味だ?」

「正確には死んだが……まあ、良い。妖精王と呼ばれる意味を知っているか?」


 そう問われレオンは知識を探る。だが、これは幸か不幸か知識の中にあった。


世界(せかい)神樹(しんじゅ)に認められた者……か?」

「そういうのは知っているのな。まあ、端的に言えばそうなる。この世界神樹とはこの世界が生まれた時に発芽し、妖精族に守られながら育ってきた存在。世界と同じ寿命という事。世界と同じ寿命という事は世界の法則も変えられるという事。世界神樹は魔力を多く使い、世界の法則を捻じ曲げマルケネイク様を蘇らせたのだ。そのせいで一つの種を残し枯れてしまったがな」


 自分も初代の世界神樹を見たかったと笑うマーティン。

 だがそれは無理な話だろう。枯れたのは七千年も昔の話なのだから。


「では気を取り直して願望の世界から戻るぞ」


 願望の世界に行ったのは陛下だけだという言葉を抑えながらレオンは頷く。


「まあ、そんな訳でマルケネイクは蘇ったのだ。この者に関する詳しい話は王城の大書庫で本を見るがよい。次に『封聖龍エイブラハム』様かの。『封聖龍エイブラハム』様は我が国の紋章、国旗に記入されているように元々はこの国、シャルミア王国にいた守護龍じゃ」

「守護……龍?」


 この話を聞いた者は誰でもレオンのような反応をするだろう。何故なら龍、竜、ドラゴンという生き物は気性が荒く、滅多に自分のテリトリー……森の奥深くから出てこない生き物なのだ。その龍が何故このような人前に?それがレオンの疑問だ。


「分かるぞ、その気持ち。だが伝承によると本当らしいそうだ。『封聖龍エイブラハム』様は魔族以外には凄く温厚な性格だったらしいと伝承に一番残っている。この方の鱗などを素材としたマジックアイテムもこの国にはあるぞ。もっとも使えるのはマジックアイテムに認められた者だけ、近衛騎士団長と宮廷魔導師しかいないのがな」

「それで最後の一人とは?さっき三人と言っていたよな?」


 最後の一人か。と言いながらマーティンは口を一度閉じ、息を吸う。


「最後の一人は『封聖人族アドルフ』様という人族の男だな」


「……え?」


 レオンの頭は一度思考する事を放棄した。



ちなみにアブルとイーゼの序列は作者の都合で変わるかもしれません。すいません。

あと、魔族を単体で呼ぶと魔人。

魔人を集団で呼ぶと、魔族と言います。

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