9話 『太陽の領域』だ!!
9話目!!
ですが今回は短めです。
10話目は多くしますので
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
此処はシャルニア王国の王都『パウラス』にある物置、に見える場所。……中に入っている物を見なければ、だが。
レオンがこの世界に来た日、此処でもある変化が起こっていた。
誰もいない、風も吹いていない筈なのにある『もの』が揺れ、ある『ものたち』の魔力が高まった。
まるで誰かを待っているかのように。
此処に在るのは全て……
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
この戦闘が始まってから既に三十分が経過した。
プーサはレオン以上の魔物をレオンは記録版:劣化に指定された魔物だけでも六十匹は倒していた。
それは二人の戦い方に要因がある。プーサの場合は大剣で近寄ってくる魔物を纏めて斬っているのだが、レオンは空中で一匹ずつプーサの邪魔にならないように倒しているためだ。そしてレオンは時々地上の魔物も魔法で倒していた。
「はあっ!はぁ、はぁ」
「また蜂か。ん?でも色が違うな、今度は――『ポイズンスピア』か。なんかいっぱい種類がいるな。麻痺に睡眠、混乱だろ。しかも今度は毒か」
でも、それでもプーサはぎりぎりの均衡を保っているという状態で、レオンはほとんど遊びながらだったのだが。
そのため今は回復できる時間が欲しいと思っていた。だが思わぬ所でそれが出来るようになる。
「ほいっ!と。これで空中にいる奴はっ!?」
最後のポイズンスピアを切り捨て空中に敵がいなくなったためプーサのところに向かおうと思った瞬間――
〈使用者:レオンの願いを確認。また魔物の魂を一定以上吸収しました。その他ロックの解除を確認。これよりブリューガング、
正式名称 神槍ブリューガングの【第Ⅰ形態 太陽の領域】
を使えるようになりました〉
太陽の領域
→バリア・魔力、体力回復速度の上昇の効果がある。
魔物やアンデッドを退ける効果もある。
大きさは自由に決められるが最少は縦・横1m、高さ2m。最大は縦・横5m、高さ10m。
これだっ!!レオンはこの通知を見た瞬間そんな事を思った。
急に魔力を集め始めたレオンに何かを言おうとしたプーサだったがその時には遅かった。
「神槍ブリューガング 第Ⅰ形態【太陽の領域】!!」
ブリューガングがオレンジ色の障壁となり二人を囲んだのだ。
戦闘が始まってから初めて地面に降りたレオン。そこにプーサが近寄ってくる。
「おいレオン……ハァハァ、これはなんだ?」
「まあ気にするな。効果は三〇分程で消す。作る時に少し多めの魔力使うから。もっとも維持は殆どいらないけどな」
その時レオンはプーサに対する違和感を思い出した。
「まさか子供に助けられるとはな」
そんな風にぼそっと吐いた言葉だったがそれが引き金となったかのようにレオンはプーサに質問をした。
「なんでプーサは魔物が来たって解ったんだ?」
「え?レティさんだって言ってたいだろ?俺が感知系に優れているって。だから――
「嘘だな」
「――っ!?」
レオンがプーサの違和感に気づいたのはプーサが自分の方を見て驚いていながらも視覚の外からの攻撃を見ていたかのように躱したからだ。
だがプーサはそれに驚いた様子を見せながらやっぱり見抜かれたかといった顔でレオンに本当の事を言い始めた。
「ハァ~……言われてもあまり損はしないし良いが、絶対誰にも言うなよ。俺はな、ユニーク魔法『視る者』っていうのを持っているんだ。これの効果はレオンの予想通り、遠くを視れたり、人のステータスを視れる。ようするに視るに特化した魔法だ。やっぱお前普通の子供じゃねぇな」
その言葉に自分の種族が見抜かれたと思ったレオン。
「どういうことだ?俺は普通の子供だが?」
怪しい動きは見逃さないといったレオンだがその雰囲気に何を思ったのかプーサがあわてて弁解する。
「いやだから言っただろ?俺の魔法は視るに特化した魔法だって。お前の魔力と比べたら俺の魔力なんて石ころだからな」
自分の種族を見破られていないことに安心したレオン。だがそれと同時に種族の場所に掛けられている隠蔽に疑問が湧くのだった。
その後二人は作戦会議をしたのだが最終的には【太陽の領域】を解いた後はレオンの魔法で殲滅する事に決まった。
「後二〇秒程で解く。魔法が完成するまでは俺を守ってくれよプーサ」
「一応俺はお前の年上だぞ。ま、守ってはやるが」
「解除」
会話が終了した瞬間【太陽の領域】が消える。
その瞬間魔物達はプーサとレオンを殺さんと襲い掛かってくる。が、レオンは全てをプーサに預け、プーサはレオンを命がけで守る。
そしてレオンはブリューガングを手に持つと魔法の詠唱を始めた。
『全てを吹き飛ばす荒れ狂う乱風よ、全てを飲み込まんとする豪雨よ、白く・早く・全てを貫く雷よ、汝らは本来自然が巻き起こす災害。故に我の魔力で此処に存在出来し者。汝の領域に存在する敵を切り裂き、貫き、焼き尽くせ』
詠唱がまだ終わっていないがそれは風魔法『暴風』、水魔法『豪雨の刃(ウォーターカッター:レイン)』、雷魔法『千天雷罰』のどれにも全ての威力が勝っていた。
そしてレオンは最後のキーワードを唱えた。
『水鳳凰の雷』
この魔法は端的に言ってしまえば八つの魔法――オリジナル魔法『乱風の鳳凰』、『神をも穿つ雨』『雷槌の神』、『スタンショック』、『雷琥』に基本魔法『暴風』、『万天雷罰』、『水操』――にレオンが持てる全ての魔力を注ぎ混んだものだ。なお魔溜の靴は対象外。
そんな魔法が最高でもBランクしかいない魔物の群れに当たったらどうなるか?それは今レオンの目の前にあった。
突如目の前に灰色の雲が現れて辺りを覆った。と思ったら竜巻が何個も生み出されて、雷がなり響いた――『スタンショック』が発動そしてその中には雷で出来た虎・戦鎚が暴れまわり――『雷鎚の神』と『雷琥』と『万天雷罰』が発動――、鎌鼬のような、けれども威力は比べものにならない物が大量に吹き荒れて――『暴風』発動――、魔物を貫通する雨が降り注ぎ――『神をも穿つ』雨発動――、鳳凰が飛び回っていた――『乱風の鳳凰』発動――。ちなみに鳳凰に触れた者たちは一瞬で細切れだ。
「………え――と、この状況は何……だ?」
最初に我に返ったのはプーサだった。それに対しレオンは……
「あはははは」
目の前の豪雨、台風、雷どんな自然災害でもかわいくみえてしまう光景に愛想笑いを浮かべるしか無かった。
レオンの目の前に広がっているのは地面全体がガラス質になり、木が全て細切れにされていて、大きな湖のようなものが出来ている光景があった。
とりあえずレオンは現実逃避をし、早くベッドで寝たいなどと思うのだった。
なお、この湖は将来、イナグとレオンを由来にレナグ湖と呼ばれ、湖畔沿いにたくさんの街が出来、良質なガラスや『雷結晶』『風溜石』『激流岩』が採れると繁栄するのだが今のレオンには知る由も無い。
ブックマーク8件です。
昨日からたった3件……悲しい(;_:)
10話目は今夜8時更新!!




