宇宙葬
「さて。そろそろリストも集まってきたことだし。NAS○に行こうか。」
「え?NAS○ですか…?」
“葬儀屋”は、なにやら黒いリストをみて、それから閉じた。
「といっても、其の期待しているように、ロケットには乗らないんだけどね。」
「…はあ…?」
「『宇宙葬』だよ。
『宇宙葬』は、故人の遺骨などをカプセルなどに納めてロケット等に載せ、宇宙空間(多くは地球を周回する軌道上)に打ち上げる散骨の一つの方法だよ。」
「…!わぁ!」
「初の宇宙葬とみられるものは、空中発射型ロケットのペガサスロケットによって1997年4月21日に行われたみたいだね。」
「死亡した者の遺体を納めた棺を宇宙船などから宇宙空間へ流すとでも思ったかい。
其れは宇宙を舞台とした諸作品において行われる架空の葬儀方法だよ。
架空では、宇宙船内において長期にわたる航海中に乗員が死亡した場合に行われることがいね。これは水葬のイメージを宇宙に移転したものとも言えるよ。」
「そうだったんですか…!」
「あぁ。そうだ。さ、家に戻ろうか。
これで君に教えることはもう、ないな。」
「…え?」
この時、私は初めて“葬儀屋”の悲しそうな顔を見た。