復讐の誓い
この作品はなかなか更新できない一作品目と二作品目の代わりとして昔書いていた物です。1P小説と呼ばれる物で、1P内でお題の作品を書く。という物です。ちなみにこれのお題は「冤罪」です。
目に見える全てが燃えていた。家も動物も人さえもが燃えていた。一つだけ、俺以外に燃えていないものがある。アレが村を滅ぼしたのか。アレが両親を殺したのか。アレは一体何を考えているんだ。アレは何を望んでいるんだ。アレは人なのか。アレは動物なのか。アレは生物なのか。アレは………………。
考えるのを止めて俺はアレに飛びかかる。村で一番強い俺ならアレを仕留められると思っていた。だがそんな考えはすぐに消える事になる。俺が全力で走るよりアレは速かった。俺が全力で殴ってもアレはびくともしなかった。アレの攻撃は重すぎて受け止められなかった。アレは聞いた事もない呪文を唱えて魔法を使った。一族に伝わる秘技を使ったがアレも同じ秘技を使って防いできた。そして俺は動けなくなった。殺されると思った。だがアレは興味を失ったのか飛び去ってしまった。手も足も出せなかったのが悔しかった。見逃されたのが悔しかった。立ち上がろうとしたが無様に転がった。そこで俺は意識を失った。
次に目が覚めたとき知らない場所にいた。どこかの牢屋である事だけは分かった。体に傷はないのに痛みだけが残っていた。その痛みが夢ではないと気付かせてくれる。看守に話しかけるとどうやら俺は村を滅ぼした犯人と勘違いされたらしい。アレが村を滅ぼしたのだが説明する事が出来ない。アレが一体なんだったのか分からないからだ。村は滅びた。両親も死んだ。アレが仇。アレは恐ろしく強い。アレには今の自分では勝てなかった。アレに会った時の嫌な感じが全く感じられない。アレはこの近くにはいないのだろう。これからどうする。このまま処刑されるか。アレを放ったまま死んで良いのか。自分みたいな人間が出来て良いのか。答えは一つしかない。旅立とう。世界中を回って力を。世界中を回って知識を。世界中を回って経験を。そして、いつかアレを滅ぼそう。死ぬのはそれからだ。俺はすぐに脱獄して故郷を後にした。ここに帰ってくるのは全てが終わった時と心に誓い、俺は海に身を投げた。