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死に戻りは、有限

掲載日:2026/10/18

 今流行りの「死に戻り」ができるという腕時計を手に入れた。

 今は朝の8時。

 腕時計には「0800」と表示されている。


「よーし! 今日は1日、死に戻りの検証をするぞ!」


 俺はまず、サクッとマンションのベランダから飛び降りてみる。

 グシャッ、と音がして、視界が暗転。

 しかし、次の瞬間には部屋の机に座っていた。


「うわ、すげえ! おもしろ~!」


 すっかり死に戻りにハマった俺は、色んな死に方を試してみることにする。

 毒薬を飲んでみた。

 ガソリンを被って、火をつけてみた。

 頸動脈を、包丁で切ってみた。


 どんな方法で死んでも、次の瞬間には何事もなかったように元に戻っている。

 俺はゲラゲラと笑っていた。


「さて、次は何を試そうかな?」


 ふと、腕時計を見る。

 時計の表示は「0530」になっていた。


「あれ、時計壊れちゃったかな。まあ、飛び降りたもんな~」


 衝撃で壊れたのかもしれないが、その後も死に戻りはできてるので、問題なし!

 俺はさらに色んな死に方を試してみる。

 ロープで首をくくってみた。

 重しをつけて、海に飛び込んでみた。

 コンセントに針金を差し込んで、感電してみた。


「は~、死に方のバリエーションを考えるの、大変だな、これ」


 思わずため息をつく。

 でも、同じ死に方をしてもつまらない。

 友人に相談して、他の死に方を考えてもらおうか、とスマホを手に取る。

 そのとき、また腕時計の表示が目に入った。

「0215」。


「電池切れたんかな。あとで交換出すか~」


 気にせず、そのまま友人に電話をかける。

 友人も面白がって、俺の部屋に合流し、死に方を一緒に考えることにした。


「爆弾とか、銃とかは試したか?」


「あ、それはまだだ!」


 友人の手作りの爆弾で爆発してみた。

 友人が改造した銃で撃たれてみた。

 その後、元通りになって、友人と爆笑していた。


「おもしろ~!」


「だろ~!」


 ふと、腕時計を見る。


「そういえば、この時計、壊れちゃってさあ」


「どれどれ……『0089』? 89分って壊れすぎ~!」


 2人でまた大笑いした。

 箸が転がっても可笑しい年頃ってやつだ。


 その後も、実験は続いた。

 ダンプカーに轢かれてみた。

 友人に斧で頭をかち割ってもらった。

 ……、……。


 腕時計の表示は、「0003」。


「……あれ?」


「……また減ってる……」


 友人と顔を見合わせる。

 恐ろしい事実に気付いてしまった。


「……もしかして、これって、残機じゃない?」

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