死に戻りは、有限
今流行りの「死に戻り」ができるという腕時計を手に入れた。
今は朝の8時。
腕時計には「0800」と表示されている。
「よーし! 今日は1日、死に戻りの検証をするぞ!」
俺はまず、サクッとマンションのベランダから飛び降りてみる。
グシャッ、と音がして、視界が暗転。
しかし、次の瞬間には部屋の机に座っていた。
「うわ、すげえ! おもしろ~!」
すっかり死に戻りにハマった俺は、色んな死に方を試してみることにする。
毒薬を飲んでみた。
ガソリンを被って、火をつけてみた。
頸動脈を、包丁で切ってみた。
どんな方法で死んでも、次の瞬間には何事もなかったように元に戻っている。
俺はゲラゲラと笑っていた。
「さて、次は何を試そうかな?」
ふと、腕時計を見る。
時計の表示は「0530」になっていた。
「あれ、時計壊れちゃったかな。まあ、飛び降りたもんな~」
衝撃で壊れたのかもしれないが、その後も死に戻りはできてるので、問題なし!
俺はさらに色んな死に方を試してみる。
ロープで首をくくってみた。
重しをつけて、海に飛び込んでみた。
コンセントに針金を差し込んで、感電してみた。
「は~、死に方のバリエーションを考えるの、大変だな、これ」
思わずため息をつく。
でも、同じ死に方をしてもつまらない。
友人に相談して、他の死に方を考えてもらおうか、とスマホを手に取る。
そのとき、また腕時計の表示が目に入った。
「0215」。
「電池切れたんかな。あとで交換出すか~」
気にせず、そのまま友人に電話をかける。
友人も面白がって、俺の部屋に合流し、死に方を一緒に考えることにした。
「爆弾とか、銃とかは試したか?」
「あ、それはまだだ!」
友人の手作りの爆弾で爆発してみた。
友人が改造した銃で撃たれてみた。
その後、元通りになって、友人と爆笑していた。
「おもしろ~!」
「だろ~!」
ふと、腕時計を見る。
「そういえば、この時計、壊れちゃってさあ」
「どれどれ……『0089』? 89分って壊れすぎ~!」
2人でまた大笑いした。
箸が転がっても可笑しい年頃ってやつだ。
その後も、実験は続いた。
ダンプカーに轢かれてみた。
友人に斧で頭をかち割ってもらった。
……、……。
腕時計の表示は、「0003」。
「……あれ?」
「……また減ってる……」
友人と顔を見合わせる。
恐ろしい事実に気付いてしまった。
「……もしかして、これって、残機じゃない?」




