第56話 神殿のお騒がせ
転生物のお約束とも言うべき魔力測定です。
本作ではあえて、金持ち限定と言う設定にしてみました、これは平民の魔法使いが増えるのを防ぐための、統治方法です。
ギリシャのパルテノン神殿ってあるわよね、それがリアルで目の前にそびえ立っているのよ、神殿とはよく耳にしていたけど、実際に来たのは初めてよ、もっと早く来れば良かったわ、物見遊山としてね。
ギリシャと違い、向こうは遺跡なんだけど、ダ・デーロの神殿は現役選手で、人々の祈りの場よ。
大勢の人が次から次にやって来る祈りの間を通り過ぎ、わたし達は神殿の奥深くへ歩みを進める。
普段騒がしい女の子達も、神殿の威容に圧倒されて、黙り気味。
嗅いだ事の無い甘い香りが漂っていて、その匂いは次第に強くなる
「それでは、こちらの魔力を調べます。
どなたから?」
「カタリーナ、行きなさい」
「はっ、はい」
紫色の服を着たボスキャラっぽい人が現れて、変な祝詞をたくさん唱える。
“大きさ1、明るさ2”
一礼して、戻って来るカタリーナ、どう言う結果なのかしら?
その後も次から次と女の子達を送り出し、今は高級娼婦候補生のロザリンダ、そして教養担当のアマリージョ。
魔力があったのは半分くらいね、それも生活魔法レベルと言う最低水準、それでも魔法が使えるなんて凄いわよね。
「後はミヤビ様だけですよ」
そうやって、みんなに促される様に、寝心地の悪いベッドに横たわると、神殿長と言う名のボスキャラが祝詞を読み上げる。
流れ作業でうんざりしていないかしら、なんて心配をしていたわたしだけど、ボスキャラ神殿長は、目を見開いた。
「大きさ、明るさ、共に5+」
へぇ、わたしが一番だったわよ。
それまで泰然自若の態度だった、神殿関係者達はざわついているし、女の子達はピョンピョン跳ねて喜んでいるわ。
けど残念ね、わたしは商会主、魔力を使う機会は無さそうよ。
高級娼婦候補生にソープのテクニックを教え、ミーア達の考えた発明を商品にして売り出す、そりゃ、社会を変える程の発明は無理だろうけど、ちょっと便利になるくらいの発明を売りだしたいのよ、わたしは。
その後“魔力を開く”って言う事をしてもらったのだけど、それまで能面を貫いていた神殿の人達は、わたしに愛想笑いをする様になったのよ。
「どうでしょうか、ミヤビ様、時々で構いませんので、神殿にいらしてみては?」
ゴメンね、わたしは日本人なの、イースターで卵にペイントして、ハロウィンでコスプレをするのよ、本来の意味? 知らないわよ、お祭りでしょ。
もちろん、教会なんて一度も行った事無いけど、クリスマスはお祝いするし。
お寺で除夜の鐘をついた後、神社にお参りに行くくらい、信心深いのよ。
今のわたしの頭の中は、神殿に出向く事よりも、垂れて来たボディラインをどうするか、まさか異世界に来てまで、体型の心配をするなんて。
アレ? 異世界だから、簡単に体型を直す方法があるじゃない。
○○
久しぶりのレオポルト奴隷商会、かつての同僚たちやヒルベルタ様は大歓迎をしてくれたわ、まるで実家に帰って来た気分ね。
その後は応接間でレオポルト様と膝を突き合わせる。
「久しぶり、ミヤビ、実はボクの商会から君にお願いがあったんだ」
「あら、奇遇ね、わたしもお願いがあってここに来たのよ。
まずはレオポルト様からお話ししてください」
「来月だけど、買い取り遠征があるんだ、君に適正を見抜いて欲しい、大丈夫、しっかりと払うものは払うし、もし君の選択が間違っていたとしても、その事で、騒いだりしない。
今まで君の選んだ奴隷たちは、一人としてハズレが無かっただろう、お願いします」
深々と頭を下げる奴隷商会主。
いやー、初めて会った時は、いきった高校生くらいだと思っていたのに、成長したのね、お姉さん嬉しいわ。
頭を下げる事が出来て、一人前よ。
もちろん、彼の要求は受け入れたわ。
「 …… それは、ありがとう、ところでミヤビ、君のお願いは何なんだい」
○
地下室の魔法陣の真ん中で全裸で立つわたし、恥ずかしくて死にそうよ、裸が恥ずかしいんじゃないの、垂れたお腹が恥ずかしいのよ。
「……脚は細くしてね、スラリとした脚にキュッと絞れたお尻にしてね、ウエストは細くして、胸はそんなにいらないから。
あとたれ目は治して、もう少し目と目の間隔を広げられないかな?髪はちょっと濃い目の茶色で」
「もう、ミヤビは注文が多すぎだよ」
「いいじゃないの、秒で終わる美容整形なんだから」
「びよーせーけー?」
「ああ、今の言葉は忘れて、それから歳は18歳でお願いね」
「どうして歳を下げるのさ? 商売で舐められるよ」
「いいのよ、外見で判断する様な人はこちらから願い下げよ」
「あっ、忘れていた、わたしのアゴの形、変じゃない? もう少しシュッとした感じで…」
「もう、始めるよ」
光がわたしを包み込む、光っているのに眩しくないと言う、謎の魔法の光が消えると、自身の身体をまさぐる。
「あら、良い感じじゃない、身体も軽くなった気がするし、胸もいい感じに張りが出て来て、ちょっと、どうしてツルツルなの!」
「ミヤビ、どうして魔法陣に立っているか覚えている?」
「そりゃ、身体を色々治してもらうためでしょ、美容整形でしょ」
「 …… 」
「あっ、そうそうスリーローズ商会の子達をみんな神殿に連れて行って魔力を見てもらったのよ、そしたら魔力持ちの子が結構いてビックリ」
「それは凄いね」
「それでね、わたしも魔力を見てもらったら、強さも明るさも共に5+だって、
凄いでしょ」
「ねぇ、ミヤビは本当は貴族なんだろう?」
「違うわよ、普通の人よ、こっちの世界で言うと平民」
急に言葉を荒げたレオポルト様。
「ミヤビ、貴族の妾にされちゃうよ」
「何それ! わたし風俗は好きだけど、妾は嫌よ」
「そんな簡単な問題じゃない、貴族っていうのはね……」
その後は大変だったわ、急いで着替えさせられたわたしは、馬車に乗せられ冒険者ギルドに向かったの。
「すいません、大急ぎで冒険者登録をお願いします!」
この話が、第二部の終わりに繋がります。




