19/45
第18話 生贄の少年スフィアラート
アッシュは付近の村々や町々から差し出される生贄を喰らって生きていた。
記憶も失って、自分が何者なのか分からずに日々を過ごしながら。
アッシュは、それらを知ろうとは思わなかった。
感情も希薄で、はっきりあると言えるものは飢餓の苦しみと苛立ちだけだったからだ。
そこに生贄の少年がやってくる。
名前はスフィアラートで、自己紹介をする時はスフィアと名乗る。
スフィアは見た目の麗しい少年だった。
所作は洗練されており、富める者として暮らしていた事が感じられる人間だ。
そんなスフィアは、ただ大人しく生贄にされに来たのではなかった。




