第1話 灰かぶりの少年
村の周囲を見回っていた者たちが、小さなかごを発見した。
籠の中には大きな布の塊があり、それはぎこちなく動いている。
男の一人が布をはぐと、そこには生れてから少したった赤ちゃんの姿。
「子供が捨てられているぞ」
「なんてこった」
「こんな寒い日に、親はいったい何を考えているんだ」
「とにかく、温かいところにはこぼう」
「俺、薬剤師のばあちゃんに知らせてくる」
「俺は毛布をもらってくるよ」
「村長さんにもしらせなくちゃな」
「でも、あそこは最近女の子が生まれたばかりだぞ」
「だけど、知らせないわけにはいかないだろ」
あわただしい話しごえ、足音の中。
騒動が起きているとも知らず、赤ん坊はすやすやと眠っていた。
約9年後。
鍛冶で名前のある辺境の村に生まれ育ったアッシュ・カーバングル9歳。
彼の特徴は珍しい灰色の髪。
他の誰もがもたない、くすんだ髪色だった。
アッシュは捨て子だった。
そんなアッシュを拾った村のために、彼は懸命に役に立とうとする。
村の手伝いを率先してこなし、医療の知識を学び、自警団の一員として見回りも行った。
村の治安や住人を守るためなら、小さな子供の些細な盗みであっても、きちんと罰をかした。
それだけでなく、生まれたばかりの親とはぐれた害獣の子供が、農作物を盗みに来ても、ためらいもなく処分するのだった。
村人はアッシュのその行為に思うところがあり、苦言を呈するが、アッシュは自分の意見を曲げなかった。




