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プロローグ
この物語は、魂を持たぬ少年が"復讐の黒き焔"に触れ、伝説に触れるまでの物語です。
第三話までで、彼の“力なき日常”が一変します。
ぜひ、最初の転機まで読んでみてください。
※三話まで同時投稿です
―――――紅は燃え尽きた
今になって思えば、すべては。すべてはあのなんてことのない日常から始まっていたんだ。
俺もお前も同じ“無魂”だった。同じように復讐に燃える、“紅”だった。
だが、紅は燃え尽きた。怒りの、破壊の焔であったそれは立ち消え、夜空には静かに許容の蒼がすべてを慈しむように浮かんでいた。
灰と化しながら言葉を紡ぐ彼に、俺はかける言葉が分からない。
同じだったんだ。でも、俺はお前のようにはなれない。すべてを捨てることなんて、できない。
“世渡り”をしたお前とは違ったんだ。お前には無かった、守りたいものが、この世界にはあるんだ。
静かに蒼が浮かんでいた。