50話 お強くてお優しい、ちぐはぐな「お姫さま」なユリア様(by 3人娘)
「ユリア様は」
「やはり」
「デュクロワ様……ですわよね?」
わたくしたちは、結論づけました。
「まぁあの美形ですし……」
「ため息が出るとはあのことなのですわね……」
「王家の血の濃い侯爵様でしたら納得ですわぁ……」
「今でも語り継がれる、かの有名な王女様のお美しさに匹敵するやもしれませんわねぇ……」
「ええ、王家の方々はどなたもお美しいですし、その中でもあのお方は、と……」
「「「ほぅ……」」」
わたくしたちは、何十回目にユリア様のお顔やお声を思い出して――深いため息をつきました。
ため息は幸せが逃げると言いますけれど、美術品を眺めるときのようなそれならば……大丈夫どころか幸せが舞い込んできそうですわ……!
「……侯爵様――辺境伯様でしたら、確か今の領主様の先代の方に半分以上王族の血が流れていますもの。デュクロワ家の血筋に紫の髪が多いと申しましても、魔力の配分で銀にもなりますわね」
「そもそも王家の分家筋ですものね。それも王国建国の時期からの由緒正しい」
「あら、300年ほど前の戦乱の際にはデュクロワ家の方が王になられたのではなくて?」
「不勉強ですけど、確かにそのような話をお母様から……」
家に居ればお母様やお父様に訊けるのですが、次に帰郷するのは数ヶ月後。
詳しい話はおあずけですわね。
「髪色は魔力の性質にも強く影響されますけど……あのルビーのような赤い目ですし」
「吸い込まれそうでしたわねぇ」
「あれこそが魔性というものなのでしょうかねぇ」
「銀髪紅眼、高い魔力。どれも王家の証拠ですわ」
「銀に混じる紫の髪も特徴的ですし、もう確定ですわ」
「けれど、デュクロワ家にあのようなお方が……? 同い年くらいであれば、お父様かお母様から仲良くしなさいと言い含められているはずなのですが……」
「何か事情があるのかもしれませんわね」
わたくしたち――シモーネ、レモーヌ、ジュモーネの3人は、揃って男爵や子爵の末娘ですわ。
それも、この数十年での魔王との戦闘で功績を挙げた元平民上がりとあって、このデュクロワ辺境伯のように――建国以来の王家と直接の繋がりがある、がっちがちに由緒も伝統も歴史もあるようなモノホンの貴族とは違うのですの。
土地だってわずかで、治めるのも町と呼ぶにも――いえ、領民の方には申し訳ありませんけれど――ですし、領からの税だって本当にわずかどころかマイナスの年もあるとお父様が嘆いていたほど。
それがわたくしたちの生まれ育ちなわけで、ユリア様のようなお方はもはや完全に雲の上の存在ですので、憧れ以外の感情は芽生えませんわ!
「つまりは存分に愛でられますのね!」
「最近は推すと言うそうですわ?」
「あら、町の方はすこると言っていたような気が」
狭い部屋で3人――まるで生まれついての姉妹のように、膝をくっつけての話が弾みますわ。
ええ、なぜかわたくしたちは妙に馬が合いますの。
それこそ「思考がそっくりそのまま繋がる」ように、話しながらですと考えていることが完全に一致するんですの。
聞けば、双子の方にはこういったことがよくあるとのこと。
それが全く別の家で顔も違うわたくしたちで……これはもう「運命」ですわね!
「デュクロワ家の長男の方は、すでに成人なされていますよわね?」
「確かそうですわ。今年初めの遠征で軍を率いておられたと耳にしましたわ」
「その次男の方がわたくしたちと同年代ということですが……その、去年あたりに婚約者の方とひと波乱あったという噂が……」
「残念ながら、高位の方々が参加されるようなパーティーとは縁がありませんから存じ上げませんわぁ」
「ですがそのお方は男性ですし、ユリア様ではありませんわよね」
「ですわねぇ。大層にお美しいお顔立ちとは聞きましたけれど」
わたくしたちは、決して面食いではありません。
そんな贅沢を言える地位も土地もお金も、わたくしたち自身の見た目も恵まれてはいませんので。
けれど……女子として生まれたからには、整った殿方のお顔を近くで拝見し、あわよくばお話ししてみたいと思うのは当然ですわ!
「思うだけならタダですものね!」
「無料ほど心惹かれる言葉はありませんの!」
「あ、またパンの耳をもらってきませんと」
「まぁそもそも貴族の噂というものは政治的な意図が含まれているものですの。他人の又聞きでそのお方の性格などを決めつけるのはよろしくありませんわね!」
「ですわね。うぅ……割の良い依頼があると聞いてのこのこ行ったら徒労で終わったこの前……」
「忘れるのですわ! 教訓だけを学ぶのですわ!」
「受付の方に聞きましたら、ドブさらいなどでもひどい詐欺のような案件もあるとのことですし……ある程度は仕方ないですの。ランクが上がるまでは」
わたくしたちは、貴族のくせに裏では自分でも農作業をするような家の生まれ。
当然ながら農民に毛の生えたような存在――なのに貴族というだけでいろいろと出費が多いもの。
わずかにでも貴族の血が――どこかで入っていたおかげで、魔力のない平民の方よりは冒険者で稼ぎやすいと聞き及びましたので、こうして落ち合ったのですわ。
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