41話 進むメス堕ちフラグに恐怖
「ぬ、脱ぐって……で、でも、ぼく……」
「正直貴方の服は臭いので、もう下着まで脱いでしまいましょうか」
「!?」
さっ、と――見た目女子中身女装な僕から「脱いで」って言われて、少し冷え始めてた顔がまた真っ赤になり、思わずという形でおまたを抑えているルーシーくん。
や、今日の仕事も仕事だったし……あと、たぶん髪とかも……ね。
大丈夫、ちゃんと洗えばそのうち綺麗になるから。
「大丈夫です、ここには他に誰も居ませんから」
「で、でも、ユリアさまが居ますっ!」
「?」
何言ってるんだろこの子。
「ほら、さっさとお脱ぎになってすっぽんぽんになりなさい。それとも僕が脱がしましょうか?」
あわあわするだけの少年に詰め寄るも――なんか異様にすばしっこく逃げられる。
「……そんなに嫌?」
「だ、だって! 女の子相手でも――――」
「……僕に脱がされるのも、見られるのも……嫌?」
「 」
かちんと固まる彼。
お、よく分からないけどもいい感じだ。
後はこのままするりとひん剥けば、お湯を取りに行くあいだに逃げられることも――――――って、待て待て待て。
だから思考……思考の方向性。
あと、デリカシー。
現代人に必須なスキルの配慮が致命的に足りていないぞ僕。
冷静で的確な判断ができ、かつ創作物であってもこの世界の誰よりも人間関係の機知には優れてる前世持ちの僕なら分かるでしょ?
彼視点に置き換えてみよう?
――農家の末っ子の男子が厄介払いされて追放され、命からがら奇跡的に町へとたどり着き――たぶん町の入り口の衛兵さんたちも「よくあることだしかわいそうだから」って、そのまま通してあげて。
道行く人に――汚い格好だから足蹴にされながらもどうにかギルドの建物にたどり着いたと思ったら、怖そうなチンピラさんたちに囲まれて。
もうダメだって思ったら超絶美少女――うん、世界観的にも客観的な判断だ――な、話を聞いてると貴族の令嬢っぽい僕に助けられて。
んでいろいろ世話を焼かれて面倒を見られて、初日のお給料まで分けてもらえて。
うん、初心な少年なら淡い恋心を抱いてもしょうがない。
少なくとも前世の僕が彼の立場ならまず間違いなく惚れる。
だって男ってばバカでちょろいもん。
前世も今世も男な僕が証人だ。
んで、そんな子からなんかいろいろささやかれて、気がついたら宿屋に連れ込まれて「脱げ」って言われたり「脱がせられたいの?」って言われたら?
いくら子供でも情緒、崩壊しない?
………………………………。
……その、ごめんなさい。
違うんだ……僕も何かから電波受けて思考がおかしくなってるんだ……。
そうだ、きっとエロディーさんのせいに違いない。
あのぽんこつサキュバスを倒してからおかしくなったんだ、きっとそうだ。
サキュバスを倒して得た経験値だから、きっとなんかやらしい成分が含まれてたんだろう。
だから僕がメス堕ちして周囲の男を堕とそうって思考回路にさせられてるのもしょうがない。
うん、僕は反省した。
これからは気をつける。
「 」
でも、どっちにしても彼と服を綺麗にしないと一緒に寝るのはなぁ。
あ、服なら僕のをあげれば良いのか。
屋敷を出る直前に大人のお姉さんたちにあわあわされたからすっごくいい匂いが染みついてるし、エミリーちゃんの服とか着たりしてやっぱ女の子の匂い着いてるし、あとなぜかジュリオン様ボディからもいい匂いが発せられてる気がするけども、これはもう体臭ってことで我慢してもらおう。
大丈夫、ここで無理やり裸に剥くよりはまだ100倍くらい健全だから。
「……服に関しましては、僕が先日ダンジョンで獲得しました寝間着を着てもらえば良いので、下着までを脱いでおいてください」
「 」
「ああ、裸は冗談ですからね。僕が出ているうちに下着になっていてください」
僕はさりげなく部屋を後にする。
こういう気遣いは男ならではだ。
「宿の方にお湯をいただいてきます。体も服も洗わないといけませんから」
「――――あ、ちょ、ユリアさ――――」
ぱたん。
「……ふぅ」
あー、思考誘導怖すぎ。
あれだ、どんな強い力を持つよりも精神攻撃できる方がやばいってやつだ。
やっぱりエロディーさんは強かったんだね。
もう爆発四散したけども。
……けど、いくら女装してる僕がかわいいからといっても、しょせんは子供。
こんな子供の言ったことであそこまで恥ずかしがられるとなぁ……うーん。
これはいっそのこと一緒にすっぽんぽんになって女装もバラせば、「なんだ、男同士か」って安心させられるか?
女装ってバラせば好感度もがっつりと下がって、扱いやすくなるだろうし。
そうだ、脱ごう。
それで解決だ。
……それにしても。
「……くすっ」
なんだかやっぱり、男が僕の言葉ひとつでうろたえる姿を見てるとなぜか無性に愉しく――――――
「くすくす……」
あれ?
なんで僕、こんなに愉しいんだろ?
「……嬢ちゃん」
「あら、宿の」
と――なぜか僕の前にタライを持って来ていたおじさん――おばさんと同じく人の良さそうな人なんだ――が、僕をなにかかわいそうなものを見る目で見てくる。
あれ?
お風呂用のお湯、頼んでたっけ?
「ありがとうございます、ちょうど良いところに――」
「……いたいけな坊主の性癖、破壊しないでやってくれねぇか……」
え?
………………………………。
……あっ。
この世界……このちゃんとした宿でも床も壁も天井もドアも全部木製で、そういや金属製のでっかいやつを差し込んで回して閉めるタイプの鍵だから、つまりは防音性とかはそんなになくって――
「悪い、聞こえちまってな。立ち聞きなんかはこれっきりにするが……男はな、女にゃどう逆立ちしたって敵わないんだ。それはもう神話の時代から、そうできてるんだ。ましてや純朴な男――ただの坊主がとんでもねぇ美人の嬢ちゃんにあんなご無体なことをされた日にゃ、初恋も生涯の性癖も……」
「………………………………善処します」
ごめんなさい、僕、男です。
男だけど女装してます。
あと精神侵食受けてます。
でも、反省したから許して……?
◆◆◆
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