37話 良い人も悪い人もたくさん居るのが町
7件目。
お店の売り子の代わりを、小一時間……したんだけども。
「あの、報酬はギルドの規定のものを……」
「いいのいいの、もらってって! うちの子のお古だけど、お嬢様に着てもらった方がその服も喜ぶわ!」
「ユリアさまにきっと似合います!」
「……そ、そうですか……で、では、依頼用紙にサインの方を……」
……なんか服が増えた。
しかもエミリーちゃんが好きそうなやつが。
これ、持って帰ったら着せられるよなぁ……。
でも、もらわないのも捨てるのも悪いしなぁ……。
「ぼくが持っていますね!!」
「は、はい……」
――ルーシーくんの前髪の奥で、おめめがきらきらしている気がする。
ごめんよ少年、けども僕は男なんだ……。
かわいい服が好きって設定にしてるだけの、女顔だけど中身は前世現代社会成人男性なんだ……。
◇
もりもりやって、10件目。
「え? お昼はこれから? なら食って行きな!」
「ルーシー、おごられたら気持ちよく食べましょう。それが礼儀です」
「お貴族様が、普通の……僕が食べたことないようなお店だけど、ごはんを……?」
「おいしいものはおいしいのです」
「おう! 嬢ちゃん分かってるな!」
料理の材料を届けたら、賄いをもらえた。
こういうときは子供ってお得だね。
まぁたぶんこれが一般的な成人男性のバイト君な前世の僕みたいのだったとしても、大衆食堂の気前の良い親父さんなら握り飯――この世界ならパンくらいはくれそうだけども。
そういえば子供として――しかも女の子、しかもお嬢様として相手されるのに慣れてきた僕は、けっこう大胆になってきたらしい。
慣れってすごいね。
まぁね、ちらちらGランクのプレート着けてる子供とか見かけるけど、僕たちみたいにさくさくとは仕事とかしてないし、広場でだらだらしてるだけの大人も多いからね。
そんな中、1件で30分かかるかどうかって中でも10件以上やって回ってるって言えば、町の――ごく普通の人たちの好感度が上がるのは必須。
勤勉なのは大事。
ルーシーくんに両腕で抱えてもらってる依頼書の束も、僕たちのそれを表してくれて信用される証拠っていう予想外の効果をもたらしているらしいし。
「あ、そうです。この子、着の身着のままで家から追い出されて町に来た子なんです。今後の仕事で見かけたら、かわいがってやってくださいますか?」
「えっ」
「何!? ……小僧、いつでも着ていいからな。焼きすぎちまったパンや失敗した料理くらいはやるからな……」
「ついでに、もし濡れ鼠になっていたら泊めてやってくださいますか? この子、手癖が悪かったりはしないと――家名に誓いますので」
「……嬢ちゃんも、良い子だな。ほれ、ジュースはおまけだ」
「ありがとうございます」
「あ、ありがとう……」
よし。
この子にダンジョンが無理で、町中での依頼もなんかダメだったとしても、たぶんなんとかなるだろう場所を確保。
「……ユリアさまって、すごいなぁ……」
これでも前世の経験があるからね。
あと――人間、死の運命とかメス堕ちの運命が待ってるって分かってれば、なんでもやれるもんだし。
◇
最後の依頼を達成したのは、夕方。
だけども、
「ぐっ……! は、離……最下位のランクの子供の癖に、力が強っ……!?」
僕の下で悲鳴を上げる男。
――腹ばいにして両腕を背中に回し、エロディーさんのおかげでがっつり強くなってる腕力で押さえつける僕。
ありがとうエロディーさん。
君のおかげで悪い人を返り討ちにできたよ。
「――捕縛完了。ルーシー、巡回している兵士……そうです、銀色の甲冑に身を包んでいる者に助けを。この者、初心者冒険者――それも幼い女子を見定め、品定めを――悪いことをしようとしていました」
「は、はいっ……!」
あっぶな。
やばい方のロリコン――や、ペドフィリア?
性欲のせいか、それとも依頼を受けたときから僕に目をつけていたのか、女装してるのに僕を襲おうとしたえっちな男の両肩を外して、ルーシーに走らせた。
……こんな7歳児を襲おうとするんじゃないよ、いい大人が……。
そんな大胆な行動を人目のあるところでやろうとしていた時点で、やっぱこの世界は治安が悪いんだなぁって実感する。
それにしてもルーシーくんがなにかと便利。
荷物持ち(軽いもの限定)、身の上話で打ち解ける係。
やっぱりメインヒロインたちを差し置いての人気になる顔の整いさ加減のせいで、人によってはどうしても気後れするらしい僕の高貴な顔を中和する係にもなってくれてるし――もちろん良い意味で。
やー、素直だし確実にお仕事してくれるパーティーメンバーってほんと便利。
裏切られたらしょうがないって思ってたけども、運ぶときに預かったお金とか商品とかを持って逃げようとするそぶりもないし、何もできないながらに一生懸命。
もしこの子が――別れた後でこの町に住み着くのなら、定期的に会えば市井の情報も簡単に手に入る。
モブ子ズは10年後からは学園に入っちゃうし、この子がずっとここに居てくれるのなら――冒険者でも売り子でもなんでもしてくれるのなら、良い情報源になるもんね。
そうだ、決してこれは慈善事業じゃない。
僕が死なないために、あくまでそのためにこき使うだけなんだ。
………………………………。
……ジュリオン様ソウルのせいか、ときどきツンデレっぽい発想になるなぁ……。
「……ああ……幼女の体温と体臭と体重……死罪でも悔いはない……」
「ちょんぎりましょうか?」
ぞわっとしたし、おしりがきゅっとしたから思わずで低い声が出る。
「!!!!!」
びくんっと――歓喜の顔を向けてくるヘンタイさん。
「うわぁ……」
ロリコンとペドの内、妄想を現実にするタイプは現代でもNGです。
ちゃんと魂を浄化しましょう。
……やだなぁ、触っていたくないなぁ……でも野放しにできないからなぁ……。
けど、僕が嫌な目に遭ってるおかげでいたいけな子供の被害を出さないようにできたのなら、これも必要な犠牲。
なに、気持ち悪いだけで死ぬことはないから大丈夫だ。
将来的にメス堕ちの相手が男になる可能性も……おげぇぇぇ……あるんだ、耐性はつけておかないとね。
◆◆◆
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