第5章 意外
「どうだった〜?麗人は」
一条ハジメがそうオレに問う。
「失礼な言い方になってしまうかもしれないですが、イメージと違って普通な方でした。ホストっぽくないというか派手なアクセサリーはつけていませんし、売り上げのためにガツガツしてる感じでもなくて」
「そうでしょ〜!麗人はそうなんだよ〜」
一条ハジメは嬉しそうにうなずく。
「あんまりホストっぽくないのにどうしてNo.1を取り続けられるんですか?」
「麗人は特別なホストだからね〜」
「特別なホストですか」
「特別なホストっていうのはその店の代名詞というか、いや、店なんて関係なくて自分の名前がすでにブランドもの。特別なホストは、名前だけで素敵なお姫様が勝手にやってくるもんなんだよ〜。麗人は初回にはもうつかないしね」
「正直、ホストには抵抗がありましたけど麗人さんはカッコいいなって思いました」
「お〜!」
「せっかくなので、この1週間だけ頑張ってみようと思います」
オレが持ってたホストのイメージを良い意味で崩す麗人の存在はオレの心境を変えるものだった。
「いいね〜!そう言ってもらえて嬉しいよ〜!」
「そういえば、麗人さんが初代年間王者になった時、一条さん、いや、社長が認めてくれなかったっておっしゃってたのですが、本当ですか?」
「そんなことないよ〜。半年間必死にもがいてた麗人見てたら認めざるを得ないよ〜。でも、麗人ならもっとやれるって思ったからね、そっけなくしてたんだよ〜」
「麗人さんを信じてってことですか」
「そうだよ〜。麗人はそれに応えてくれた」
「凄い話ですね」
「本当は他の子にもそれぐらい頑張って欲しいんだけどね〜」
「売れるホストに共通点ってあるんですか?」
「いいね〜!そういう質問だったり貪欲さの積み重ねだよ〜、ホストなんていくらでもサボれるからね」
一条ハジメは少し寂しそうな顔すると、こちらに笑顔を向ける。
「じゃあ、七条くん初回ついてみよ〜!」