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第23章 格

オレと麗人の対談動画は今までにないぐらい伸びた。注目度の高い七条ナツメとLL不動のNo. 1北条麗人、夜の人間だけでなく一条ハジメ、LLの動画を見ている一般層からの視聴者も多かった。


動画は前編と後編に分けて撮影した。お互いに営業方法やパーソナルな部分をクローズアップし合い、オレのチャンネルでは麗人メインで麗人のチャンネルではオレがメインの内容にして投稿した。オレは詳細は避けたが火傷の話にも触れた。


2つの動画は共に再生数が伸びたが、元々の登録者数が多いせいかオレのチャンネルで上がった動画の方がわずかに伸びていた。


「おはよ〜、ナツメくんも麗人もいいね〜!順調だね〜!麗人に任せてたけどボクも改めて動画見たよ〜、想像以上に面白かったよ〜」


LLに出勤すると、一条ハジメがオレに話しかけてきた。


「ナツメく〜ん、わかっているとは思うけど動画はきっかけに過ぎない。質の高い接客がウチの売りだからお願いね〜」


再生数が伸びたオレが調子に乗らないように社長として釘を刺す。


「素敵な素敵なお姫様方、本日もボクの可愛い王子達に会いに来てくれてありがとうございます〜!LLはこれからもっと大きくなります。お姫様方には更に最高のおもてなしが出来ますよう精進いたします。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。ヨイショ」


事業拡大を打ち出してから一条ハジメは毎日出勤しヘルプにもついている。他に事業も手掛ける中、この熱の入れようには感心すると同時にそれだけ正念場であることがわかる。


動画の反響もあり、オレも麗人も今日は指名が多かった。ラスソンを取るならどちらかだろう。


「カンナ、今日もありがとう」

「いいのっ♡ ナツメくんのエースはカンナだからっ! 頑張るのっ♡」

「本当に無理しなくていいよ。カンナの身体が心配だよ」

「カンナの心配してくれるのっ!?優しい〜!好き〜!」

「今、休めてるの?」

「うんっ!お休みの日にこうやってナツメくんに会いに来てるんだよっ♡」

「あ、じゃあ、今日休みなんだ。良かった。ごめん、ちょっと麗人さんのヘルプ行かなきゃだ。良い子で待っててね」

「行っちゃやだっ!」

「わがまま言わないで、麗人さんがNo. 1なんだからNo.1は絶対だよ」

「え〜」

「しょうがないよ」

「ねえ、待ってっ!ナツメくんがNo. 1になれれば良いってことっ??」

「んー、まあそうだね。なに?カンナ、もっと頑張れるの?」

「カンナ、もう頑張ってるよっ!でも、今日はもうちょっといけるかも…。でもでも、今月もそうだし来月もちょっと厳しくなっちゃうよぉ」

「カンナが頑張ってくれてるのちゃんと知ってるよ。本当にありがとう。もうギリギリかー。出勤って増やせたりしないの?」

「これ以上増やしたら会いに来れる日なくなっちゃうよ〜」

「大丈夫、カンナは特別だから。アフターしたら時間気にしなくて良いでしょ?今日みたいな日、来る前出勤出来ないの?」

「出来るかもっ!それなら頑張れるかもっ!」

「まあ、無理しなくて良いよ。とりあえず、行ってくるね」


オレは呼ばれもしていないヘルプへと向かう。カンナはしばらくオンリーにしといた方が効くだろう。それに、ヘルプという名の敵情視察をする。


麗人の卓は静かなものだった。


「ご一緒してもいいですか?」

「ナツメくん、どうぞー」


麗人の姫から許可が降りるとオレは麗人と姫の向かいに座る。


「ナツメ、待っていたよ」

「麗人、もういいんじゃない〜?」

「そうだね、頃合いだね」


麗人とその姫はおもむろにオーダーを入れる。


「な、な、なんと!!!ここで!!!超高級シャンパン!!!ロジャーレイリーパールブラック!!!一撃3000万over頂きました!!!お前ら集まってこいやー!!!」


フロア内がざわつく。


「「「うりゃー!!!そりゃー!!!」」」

「「「うりゃー!!!そりゃー!!!」」」

「「「うりゃー!!!そりゃー!!!」」」


「歌舞伎の町で出会った2人!今宵、カリスマ成り上がる!!」

「「「ハイハイ!!!」」

「雑魚ども蹴散らしそびえ立つ!」

「「「壁!!!」」」

「行くぜ!」

「「「No.1!!!」」」

「つかめ!」

「「「No.1!!!」」」

「ここで麗人代表から素敵な素敵な姫様に!一言!一言!ちょうだい!」

「「「ちょうだい!!!」」」

「いくぜ!いくぜ!スリー、ツー、ワンダー!」


「えー、今日は締め日でもない普通の日ですがこんなに高額なシャンパンをいただけて幸いです。先日、公開した動画のおかげで沢山の姫から指名をいただいて本当に身に余る光栄です。ヨイショ」


「さすが我らが代表!言うことがー?」

「「「違うー!!!」」」

「さすが夜のー?」

「「「カーリースーマ!!!」」」


見せつけるようにヘルプにオレがついた瞬間にオーダーされた高級シャンパンに圧倒される。その光景は何度も繰り返された。


指名本数は麗人とオレには差はほとんどなかったが、単価が圧倒的に違った。


話題性だけのオレと、知名度や接客力が元々高い麗人に話題性が加わると勝負になるはずがなかった。


ホストとしての価値、格を思い知らされた1日だった。

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