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世界は違へど楽しみたい  作者: 固まった雪玉
7/7

第7話 名は…ミリシア?

 さてさて、どうしたものか。


 どんどんと大きくなるミリシアの体躯、この部屋が中からの膨張で倒壊する…いや、この部屋はその程度では壊れないからミリシアが自分の肉体で押し潰されるだろうな。


 解決策を考え中…。


 こういった場面ってテンプレじゃ「何の光っ!?」ってな感じでヒロインや女キャラが風呂場から飛び出してくるのがお決まりだ。その瑞々しい裸体を隠したバスタオルが安心して力が抜けたとかでポロリしちゃうラッキースケベが発動するまでがパターンだよね。


 本体と分身が同じ顔で、真剣な眼差しをしてミリシアの向こう側を見つめるようにして見上げている。


 まあ?俺ももう二千年生きてますし?17歳って俺からしたら赤子同然の年齢だし?そんな子のポロリなんてねぇ…勿論ウエルカムですよ。


 正しくシンクロ率四〇〇%と言って過言ではない零二人のやれやれからのキメ顔が決まる。


 だって二千年だぞ!?長い間女子と、というか人とも呼べる奴と喋ってないんだぞ、罰が重すぎるんだ!


 俺は飴を所望する!少しでもエロい展開を用意してくれないと割に合わねぇ。ちょっとだけ、ほんのちょっとでいいからエロイベントを下さい!


 童貞拗らせ早二千年。賢者や大賢者なんか比になんねぇよ、最早神だよ。


 誰か二千年の初物、貰ってくれねぇかなぁ…。


「しっかしどうするよコレ?」


「やるしかないだろ?」


 まあ、それしか方法無いだろうな。


 こちらを向きニコッと笑い、分身は今も巨大化しているミリシアを見る。


「じゃあ行ってくる」


 分身は高さ30m以上の高さになったミリシアの頭まで一瞬で跳躍し、腰を下ろす。


「安心しろよ、こうなった責任はとる」


 刹那、分身が膨れ上がり巨大な肉の塊となる。


 牙や口の様なものはあるが、その他が何もない。ブヨブヨとした肉の塊が口の様なものを使い、ミリシアを呑み込む。


 生物とも思えない異形となった分身は、膨れ上がったり、肉の内側から手や足、果てはミリシアの顔のような突起物が見えたりと変化が様々だった。


 段々と小さくなる肉の塊。


 大きさが140cm程度のサイズになると、激しくうねり、蠢いてた動きは止まり、反応がなくなる。


 これどっかで見たことあるような…魔◯ブ◯のアレじゃね?


 10秒程動かなかった肉塊が、突然ウネウネと動いて人の形を始める。


 ミチミチ、ブチブチと音を立てて形が変わっていく。肉が千切れ、骨が飛び出し、激しい熱量で蒸気が吹き出し、体が圧縮されていく。


「うーん…スプラッタ」


 ある巨人みたいに、周囲が見えなくなるほどの蒸気を出し続けているからミリシアが見えない、どうなってるんだ?


 体育館座りで待っていると少しずつ蒸気が晴れてきた。うっすらと人影が見える、どうやら成功したようだ。


「………うっそだろおい…」


 目を疑った。あの大きさからして高身長が出来上がるかと思ったが、せいぜい小学高学年くらいの身長に少し筋肉質な肉体、蛇の擬人としてよく見るくっきりとした括れはないが成長すれば光るものがありそうだ。


「しっかし驚いたな…まさか女型になるとは…」


 艶のある純黒、肩まで伸びた髪。それに相対する純白の肌、アルビノではないようだが驚く程の白さだった。洗濯したシャツみたいだ。


 胸にはやはり傷痕がある。身体を新しく構成したというのに消えないなんて、余程強い力で魂にダメージを与えられたのだろうか。魂のダメージが体に浮き上がってくるとかヤバい事件臭プンプンだ。


 片方の魂の影響がより濃く出るみたいだ。そっちからは何となく懐かしい感じがする。


 しかし、そんな思考を吹き飛ばすのがあの控え目に膨らんだ二つの丘だ。さらに、蒸気が完全に消えて出てきた三角洲、俺はそこに人跡未踏の谷を見た。


 しかしこちらに至っては人の目に触れてはいけないのだ、俺は泣く泣く光るモザイクをかける。


 俺は久しぶりのエロイベに涙を流した。ありがとう…ありがとう…眼福です。


 ただ、こんなことに時間も尺も使うわけにはいかないので、「えーおほん」と咳払いをし、にやけ顔から正常に戻る。


 ミリシアに声をかけようとしたが、何やら様子がおかしいことに気が付く。


 「ふっふっふっ…」とミリシア(?)から聞こえる。突然どうした、頭おかしくなったのか?


「はーはっはっはっ、どうした本体よ。もしかしてぇ…どぎまぎしちゃったー?」


 ニマニマとなんだかメスガキっぽい見下す様な笑みを浮かべている。


「はあ?するわけねぇだろ、大体中身がどうせまだ分身だって分かってたし」


「負け惜しみは良くないぞ青年ー」


 一瞬で背後をとり、首に腕を回し頬っぺたをプニっとしてくる。


 この分身の絡み方うぜー。


「そんな嫌そうな顔すんなって」


「自分の性格を考えてから物を言え、同じ気持ちを味わいたいか?」


「それは嫌」


 「ふふーん」と言って俺の頭の上を宙返りで飛び越え綺麗に着地する。


「それにしても…なかなかえっちぃ…なんじゃない?」


 俺が昔見たグラビアのポーズを決める。


 それに合わせ、上辺だけを取り繕った一眼レフカメラを構える。


「えーお兄さんってば子供のカラダに興奮しちゃう変態さんだったのー?」


「はぁ?んなわけねぇだろ…あっそこもう少し蔑んだ目で人差し指を口元へ持っていって…ウホッ、いいねぇ」


 気分が上がり、場の熱気は最高潮へと至った。


 ヌードだけに留まらず、自撮りの際に使ったマイクロビキニや逆バニー、穴空きランジェリーを着用しカメラに被写体を焼き付けまくる。


「犯罪?何のことです?私はただ自分のヌードをカメラに収めているだけですけど?…なんだろ黒歴史が…」


「なにしてるんです?」


 目の前のことに集中し過ぎて周りに気を配っていなかった。後ろの気配に気づいたのはすぐ後ろに立たれてからだった。


 ぎこちない動きで振り向くと、俺が用意したセーラー服を身に着けたリルがいた。


 髪はまだ湿っていて光沢が掛かっていた。急いで出てきたのだろう、服は縒れており、息も切れ切れで頬は少し赤らんでいた。


 ………よし、言い訳するぞぉ。

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