プロローグ
狐になりたい男の子が、広い世界に出て、いろんなことに関わっていく物語です。
この小説は、BL要素を含みます。苦手、嫌いな方は、お気を付け下さい。
全然かまいませんと言う方、軽いのなら大丈夫という方、どうぞ楽しんで下さい。
「ねぇ、リオウ」
ゆっくりと頭を撫でられる。
「なんだい、イオ」
いつもの、膝の上で、前から気になっていたことを口にする。
「なんで、ボクには耳が無いの?」
無垢な瞳で、縦に長い瞳孔を見つめる。
「‥‥‥‥」
「ねぇ‥‥‥ねぇ、なんでボクにはリオウみたいな尻尾が無いの?ナオみたいな耳が無いの?」
頭を撫でていた手が止まり、少し、悲しそうな、不思議な、笑みを浮かべた。
そのときは子供で、その笑みの意味がよく分からなかった。
「‥‥もう、分かってしまうのか」
「?なにが?」
リオウが再び、頭を撫でてくる。
しかし、イオはいつものように安心できなかった。
「‥‥‥‥こんなに大きくなったんだな‥‥イオは‥‥‥」
「‥‥‥リオウ‥‥‥?」
‥‥なぜか、とても、不安になった。
少し、離れただけで、いなくなってしまいそうで。
目の前から消えてなくなってしまいそうで。
それがいやで、ぎゅうっ、とリオウの腕をつかんだ。
その様子に、クスリと笑うリオウ。
「‥‥‥イオ、今から言うことは、全て本当のことだ。」
「うん」
「‥‥‥ごめんね、イオ。私はずっと嘘をついてきた。」
「嘘‥‥?」
「うん、イオはもしかしたら気づいているかもね‥‥‥」
リオウは、言いにくそうに、ずっとイオの頭をなで続ける。
イオは、なんとなく、今からリオウが出すことがなんなのか、分かっていたから、自分から、口を開く。
「リオウ、それって――――――――」