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2章 24話 闇の女神教の村復興

これで2章終わりです。

次からは3章になります。


翌日、ラウテル子爵とフェルメールが契約書を持ってやって来た。

応接室に入ってくるとすぐに、昨日の取引の際の態度に対する謝罪をしてきたので、本気で反省をしてるっぽいことがわかった。間違いなく、あの後宿でフェルメールに説教されたに違いない。


契約書の内容だが、俺の言った純利益の1割を認めることが書かれてあった。純利益の1割に対しての詳細な内容も書いてある。

また、何らかの理由により1割を収めることができない場合は、すべてラウテル家が補填してくれるとも書いてあった。流石に補填までは無理だろうと思っていたので、いいのか? とフェルメールに尋ねると問題ないとのことだったので、何か策があるのだろう。

俺は契約書にサインをし、無事契約は締結された。慰謝料の扱いで金貨1枚もらえたのだが、正直銀貨に分けて欲しいところだった。しかし、昨日のラウテル子爵の言い様があったので、わざわざ銀貨にしてきたのだろうが、そこまでしないでも……と思う。

そして更にその翌日、ラウテル家の料理長とリネットの二人でアイスクリームのレシピの受け渡しが行われた。一応俺もその場に参加して、間違った内容の伝達が行われていないかをチェックした。

レシピの受け渡しは滞りなく行われ、目の前で料理長がアイスクリームを作れるようになった。

その日の夜はちょっとしたパーティとなった。

ラウテル家が行商人より食材を買い付け、料理長が教会のキッチンを使って料理を振舞ってくれることになった。

貴族の料理とは縁が遠い俺たちは料理に舌鼓を打った。今回ばかりは若干の無礼講で、孤児たちも参加することができたのでとても良い会になったと思う。

謝罪の意志はしっかりと確認させてもらったので、今後ともレシピ販売の窓口はラウテル家にお願いしようと思えた。




一ヵ月後……最初の支払い時に、なんと金貨10枚を持参してきた。

訪れたのはラウテル家長男とフェルメールの二人。ラウテル子爵はレシピの販売に関することで忙しいらしく、代理で長男が訪れた。フェルメールは一応付き添いと言う形で参加したに過ぎないようだ。

金貨10枚持参、つまり彼らは金貨100枚を何らかの方法で稼いだことになる。有力貴族にレシピを販売したのだろうと推測はつくが。

実際にどんな内容で販売をしたのかわからないが、俺なら一ヵ月~3ヵ月の間はその販売相手に優先権利と言う優等感を与えるだろう。世界初の食べ物を自分たちで独占できると言うことは、貴族にしたら何事にも耐え難い喜びに違いないのだ。そして、その期間が過ぎた後に更に他の貴族にも販売する。こうすることで、何倍もの利益を確保できるはずだ。

ラウテル家にはフェルメールも付いているから、俺の考えを伝えなくても上手くやれるはずだろう。


そして更に一ヵ月後、今度は金貨5枚を持参してきた。

闇の女神教としては最初の契約以外何もしていないのだが、二ヵ月で金貨15枚の売り上げである。これほど利益を生むことなどない。

その後は一ヵ月ごとに金貨1枚ずつ持参してきた。レシピの直接販売を止め、元商人の男爵に販売したことによる、販売額の1割になってきたのだろう。きっと、今頃王都辺りではアイスクリームでセンセーショナルが起きているに違いない。

今回のことは結果から推測すると、最初の月は公爵家に販売――おそらく一ヵ月間アイスクリームを優先して広める権利を渡したのだと思われる。つまり、一ヶ月間、公爵家はアイスクリームと言うこの世界で初の食べ物を公爵家専用の食事として占有することができたのだ。

公爵家占有の食べ物ともなれば、王族も召し上がったに違いない。

で、一ヵ月経ちアイスクリームの珍しさが広まった後、今度は辺境伯家にレシピを売ったのだろう。辺境伯家でアイスクリームが出されたことにより、更に多くの貴族に広まっただろう。つまり、広告としての役目を十二分に果たしてもらったと言うわけだ。

そしてさらに一ヵ月後、男爵家にレシピと販売権を売り渡した。この方法を行ったとみて間違いないと思われる。

フェルメールが俺に話してくれた、3つの方法を全て使った効率のいいやり方だ。


ラウテル家は人件費が相当かかったとは思うが、十分儲けたことだろう。おかげで闇の女神教も潤った。しかし、今まで貧乏だった闇の女神教だ、2ヵ月で15枚の金貨が入ったとしても、今まで滞っていたことに使うだけで使い果たしてしまう。

食事の改善はそこそこにして、闇の女神教の教会の修復や、服,物の新調を優先した。

もう何十年と同じ物を使い続けていた修道士達はこれにはとても喜んでいた。椅子や机など、ガタが来ているものも買い替えると金貨15枚はあっと言う間に吹き飛んだ。

だがこれでいいのだ。お金なんて使わないと意味がない。そして、村でお金を使うことで村の中でお金が循環し、村が裕福になる。人も集まる。人が集まれば闇の女神教の布教もしやすくなる。短い目で見る分には大したことはないが、大局的に見ればとてもいいことなのだ。

無論、人が集まることで俺たちが推し進めている学校に関しても生徒が増えるしいいことしかない。


こうして、この一年俺は闇の女神教の村の復興に努め、昔ほどではないだろうにしろ人がだんだん集まってきた。

俺が司祭になったことも行商人や冒険者を通してほうほうの村に伝わり、数年前に闇の女神教の村に住んでいた者が戻ってきたりして、村としての規模が大きくなっていった。

そして約一年が経ち、俺の年齢は7歳になった。だが、まだ所詮7歳でしかない。世間から見れば子供だ。


そんな中、ある手紙が闇の女神教の教会に届いた。

手紙には必要最小限のことしか書かれていなかった。


光の女神教の聖騎士、シェリー・ダンフォード。闇の女神教監視の任務のため、闇の女神教の教会への滞在を願う。


わざわざ監視なんて自分から言ってくるやつがいるか? と疑問にしか思えないが、なんとこの手紙、光の女神教の教皇の印がついている。光の女神教として監視することを公言しているとしか思えなかった。


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