1章 14話 幼児期11
翌々日、俺は闇の女神教の村からは徒歩で約1日離れた場所にあるダークエルフの里へ向かっていた。
無論俺一人で行くことなどできないので、教会からはリネット,他にシスター1人が一緒に行くことになった。そして、俺たちを護衛する冒険者が5人が一緒にいる。
貧乏教会の癖によく冒険者なんて雇えたな。と、みんな思っていると思う。俺だってそう思う。
実は改心棒でぶん殴ったならず者がお金を寄付してくれたのだ。彼は今まで迷惑をかけて生きてきたことを闇の女神に懺悔し、悪いことをして得た汚いお金を全て寄付していった。すべてと言っても、銀貨10枚ちょっとしかなかった。
このような理由があり貧乏な教会ながら報酬を出すお金ができたというわけだ。
ちなみに今回冒険者への報酬だが、銀貨5枚と言うのは非常に安い。この世界の銀貨は少し大振りで、1枚当たり1万円相当の価値がある。
よって3日拘束に対し銀貨5枚と言うのは、冒険者一人当たりの日当が3000円くらいになる。一日の内数時間しか労働を必要としない場合に関してはこの限りではないが、複数日の依頼に関しては一般的に日当は1万円以上が普通であるのだ。
今回の依頼の内容である「ダークエルフの里の調査とその往復の護衛」に関しては、ダークエルフの里への道のりはモンスターも少なく安全な場所であると言うのが冒険者ギルド内での周知の事実であり、また今回の依頼で怪我を負った場合は俺が癒すことを条件にしたことで受けてくれた冒険者がいた。
依頼を受ける冒険者がいて、旅ができるようになった俺たちは今ダークエルフの里へ向かっていると言うわけだ。
徒歩で1日歩くわけだから、黙って歩いていることなんてありえない。移動時の話題は専ら俺の話だった。
5歳で助祭になったものがいると言う噂は他の村や地域でも有名らしく、未だにデマだと思っている人が多いらしい。同行している冒険者たちも同様で、今回の依頼で俺と言う本物が観れたので驚いていたようだった。
こういう話は、自分を認められていないと考えて不満だと思う人がいるかもしれないが、俺はとても歓迎だ。
冒険者達は間違いなく今回のことを他の村や街で酒を片手に話すだろうし、その話が噂となって広がれば闇の女神教の広告にもなるからだ。金を払わずに広告してもらえるなんてありがたい。心の中でガッツポーズをしている。
なおこちら側で主だって話をしているのはリネットで、俺はほぼ会話をしていなかった。
闇の女神教の村を出て約3時間経った。体力のない俺は限界に達し途中で冒険者の背中に背負われていた。ファンタジーの世界なら、俺のような立場の者は馬車で移動すべきなのだろうがそこまでお金がないのだから仕方ない。
そのうち陽が落ちて辺りも暗くなってきたので、川の傍の見晴らしがいい場所で休むことになった。安全な地域として知られていても万が一を考えて、冒険者達が交互に見張りをしてくれる。
翌日、早朝過ぎにはダークエルフの里があった場所へ着いた。
ダークエルフの里は誰が見ても廃墟とわかるような有様だった。住居は潰されていて、背の高い植物で覆われていた。
布でできた住居は剣で斬られた跡や、槍や矢で貫かれたような跡もついている。戦いがあったことが誰の目にもわかる。
5人の冒険者に集まってもらい、ダークエルフの里跡地を調査してもらうことにした。調査するポイントは「ここ最近の生活の跡がないか」だ。
具体的な調査を依頼された冒険者達は、なぜそれを調査するのかわからなかったようで顔をしかめる。説明を求めて少し待っていたが、俺が説明する気がなさそうであるのを感じるとそれぞれチームに分かれて散って行った。
「助祭様、どうして生活の跡を?」
冒険者が離れるのを待ってから、リネットともう一人のシスターが問いかけて来た。
こちらの二人は説明を聞くまで諦めないようで、黙っていた俺に何度も聞いてきた。
仕方ないので簡単に説明する。
何かしらの理由でいなくなってしまったダークエルフだが、全員が同じ方法でいなくなったとは考えにくい。よって、いなくなったダークエルフ内の何人かは廃墟となった後でも里へと戻ってきているに違いない。
二人はそれを聞いて完全には納得しきれなかったようだったが、とりあえず理解はしたようだった。
なお、ならず者はその後闇の女神教の信徒に頭を下げ、農家で仕事をもらって働いています。




