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【1-5】.クエストと西の森

 仕方ないよね。だって、一緒にいても全くメリットがなかったんだもの。そう、仕方なかったんだ。


 エリルを出てから数十分、戦いながらポーションをがぶ飲みしてここまでやってきた。もうレベルは14、結構倒したもんな。


「だいぶ戦闘に慣れてきたなー。レベルが上がるごとにステータスも伸びるし、俺はパッシブスキルを取ってるから、体が少しずつ軽くなってる気がするわ」


「おい、お前……なんでバフスキル取ってないんだ? 一回もかかってないと思ったら、そういうことか」


「だって、下位のバフスキルって弱いじゃん? いらないだろ。むしろパッシブと、ソロでも使える攻撃魔法と回復魔法の方が欲しいわ」


「NPCの数、少なっ。なんか……道中のおまけ村みたいな感じ? そういえばこのゲーム、NPCの出来がめっちゃいいよなー。ずっと仲良くしてたらハーレムとか作れたりするのかな?」


 確かに、ハーレムとまでは言わなくても、パートナーAI的な存在……NPCでもいいから連れて歩きたい気持ちはある。どうしたら出来るんだろ。今度一人のときに、根気よくナンパしてみようかな。


「あっちにクエスト受注できるNPCがいるよ。ちょっと聞いてみようよ」


 俺はそう言って、3人でケモミミのおじいさんNPCのところへ向かった。ケモミミはいいけど、おじいさんはちょっとな。


「ん? どうかしましたか? お困りなら、お話だけでも聞かせてくださいな」


「最近、このあたりで魔物の大群が現れるって話を、エリルのお役所の方が伝えにきましてねぇ。若い者は討伐部隊として派遣されてしまったんです」


「私たち老いぼれと、小さな子どもたちだけでは、薪を集めることもままならなくて……若い冒険者さん、よければ代わりに集めていただけませんかねぇ」


 なるほど、NPCが少ない理由はこれか。イベントクエストの一種っぽいな。常時いるわけではなさそうだが、“魔物の大群”ってのも気になる。


 とりあえず受注した。他にももう一つクエストがあって、そっちは馬の餌となる草を集める内容だった。


「なぁ、こういうの面倒だし、とりあえず先に進まないか? このゲーム、クエストやらなくてもレベル上げできるっぽいし、今は必要ないだろ」


「俺も同意見だなぁ~」


「俺は攻略ポイントランキングを地味に稼ぎたい派だからやるよ。とりあえず、今回のクエスト分はもう集まってるし、先に完了しとくよ」


 俺は最初からクエストを意識していたわけじゃなかったけど、ランデスがタゲ取って、俺が適度にヒール入れてる間に、周囲の草や薪といった採取オブジェクトを集めていた。ちょっと気になって拾ってただけだったけど。


 狩りに支障は出てなかったし、たまたまだが運が良かった。


「あぁ、なんかうろうろしてたのはそれだったのか。でもさ、ランキングの報酬内容確認してから動いた方がよくない?」


「今回はレンが集めてたから一瞬で終わったけど~、俺もあんまりお使いクエストってやりたくないなぁ~」


 【クエスト完了:経験値100、攻略ポイント1】というログが表示された。


 ふむ、狙ってた攻略ポイントもちゃんと手に入るのか。これは稼ぎ甲斐がある。


「仮に報酬が、ゲーム内で圧倒的な差になるようなものじゃなかったとしても、それでいい。最初の月は様子見つつ、稼げるもんは稼いでおきたい」


「PVPのポイントは、今の俺らじゃまだまだだしな。初日から始めてたプレイヤーと比べたら、たぶんレベル差もついてるし。レベルランキングも厳しいだろ」


「だからこそ、今狙うなら攻略ポイントだ。今回みたいな臨時クエストをこなせば、上位狙える気がする」


「なるほど。でも俺はやらない。後半のコンテンツを楽しみたいし、報酬も大したもんじゃない気がする。来月から始める派だな」


「同意見~。レベルもまだそこまで離れてないし、3徹くらいすれば追いつけそうじゃない? 俺はレベルランキングの方が好み~」


 意見はバラバラだが、とりあえず今は3人で行動を共にすることで合意した。


 ……個人的には、お使いクエストの中にも面白いものがあると思うんだけどな。前提をクリアして進めていくと、良いアイテムがもらえたりもするし。


 もちろん、レベル上げとは別の軸で進めないと、レベルが足りずに詰まってしまう可能性もある。そこはバランスが大事だ。


「さて、とりあえずこの村にはもうクエストも無さそうだし、出ようか。その前に……さっき言ってた“魔物の大群”って、どの辺で出たんでしょうか? 魔物の種類など、分かれば教えていただきたいです」


 やはり気になったので、俺は再びケモミミおじいさんに尋ねた。


「そうじゃのぉ……確か、西の森とか言ってたかのぉ。それ以上は、わしには分からんのぉ。すまんのぉ」


「ありがとうございます。それだけ情報があれば十分です」


 他にやることも無いし、新たなクエストも出ていない。じゃあ、もうこの辺境の村には用はないな。


 よし、レベリングに良さそうな西の森に向かおう。


「よし、とりあえず西の森に出発だな。消耗品の補充は大丈夫か?」


「大丈夫~」


「出発しようぜ~~れっつご~!」

パーティー構成

レン 14lv 魔法使い バフ兼ヒーラー兼ダメージ

ナメタ 14lv 盗賊 ダメージ

ランデス 14lv 戦士 タンク

一応無難なパーティー構成だと思います

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