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【1-4】.最速の別れ

お待たせしました、遅れを取った分多目に今日は投稿します!

待ち合わせの時間より少し早めに集合することができた。二人とも、支度は25分程度で終わったらしい。


「みんなごめんな、魔法使いを選んだ。とりあえずスキルツリーは最初はパーティーで進めるだろうし、純魔法使いの感じで取っていくよ」


 俺は笑いながら、特に気持ちもこもっていない謝罪をして、魔法使いのスキルツリーで進めていくことにした。戦士や盗賊のスキルも取れるが、今は必要ないだろう。


「まあ、いいよ。俺らいなかったし、俺も純正DPSのダメージディーラーになるよ? 地雷になるかもしれないけど、よろしく」


「俺は完全タンクにするね~。そういえば、バッファー役の職業ってないんだね」


 確かに、それもそうだ。通常なら基本バッファー職が存在するが、このゲームには見当たらない。スキルツリーを覗いてみる。


―――

下位ジョブ ― バフ:石壁の守り【守りを1上げる】最大レベル5

下位ジョブ ― バフ:耐火の音色【やけどがしにくくなる】最大レベル1

下位ジョブ ― デバフ:睡眠への誘惑【相手を極稀に眠らせることができる】最大レベル1

―――


「なるほど。下位ツリーは、ステータスバフ、状態異常バフ、そしてデバフの三種類に分かれてるみたいだ」


「じゃあ、俺はデバフ取るわ~。レンはステータスバフ、ナメタは状態異常あたりにしとく? 最悪、効率悪そうだったらレンがバフ系全部とってもいいしね~」


「ていうか、弓職がいないと思ったら、誰でも弓使えるんだね~。このゲーム、パーティも3人までだし、スキル回し結構忙しそうだなぁ~」


「一人で盾やりながらデバフ・バフかけて、極端な話、耐物理あったら魔法自分でかけながら戦うっていう、一人完結型もスキルツリー次第ではアリなんだもんな~」


 弓職は基本的にバフをかける役割に該当するが、弓に特化した職業は存在しないようだ。


 よく考えてみれば、このゲーム、極端な話ソロプレイでも問題ないな。ボスやダンジョンのとき、パーティコンテンツがある場合は別だが。


「とりあえず、序盤の俺らの役割や立ち回りは決まったな。レンは一応バッファー兼回復役、余裕があれば攻撃にも回ってもらうって感じで」


 なるほど、要するに「全部やれ」ってことだな。主要スキルの名前を覚えないと。使うには、頭の中でスキル名や内容を思い浮かべるだけで発動できるらしい。便利なもんだ。


 悪いが、たぶん俺はこんな気休め程度のバフなんて取らない。そうして、攻撃魔法とヒール、パッシブスキルを上げていく。


「とりあえず、準備おっけーかな~。ポーションやアイテムはインベントリから頭の中で操作して使うこともできるし、実際に取り出して使うこともできるんだね~。結構美味しい」


 ポーションの味は種類によって違って、オレンジジュースのような味のものもある。実はさっき味見してしまったけど、ジュース感覚で飲めてしまう。


 ポーションのティータイムをしていると、さっきのリア充二人組がやってきた。


「おまたせ~。そのムキムキなランデスとイケメンのナメタが友達なんだね! 個性豊かなパーティーだね……」


 顔は笑っているが、感情は少し引いている。こんなムキムキ高身長のやつが現実にいたら、目なんて合わせたくないわ。


「とりあえず、パーティー組ませてもらってもいいかな?」


「知らなかったの? このゲーム、パーティは3人までみたいだから、イエスタとマイは入れないんだ」


「とりあえず次の町まで、一緒に狩りや道中のクエスト、小さな村の散策っていうのはどう?」


「そっか……それは残念だね。システム上の話なら仕方ないね。よろしくね、ナメタとランデス」


「うっす」


「よろしく~」


「マイでーす、よろしくぅ~!」


 最初、ポータル移動形式のゲームかと思っていたが、基本的にこのNFMOはオープンワールドで、めちゃくちゃ広い世界になっている。


 こんな広い草原、海外でしか見たことがない。普通に現実とゲームの違いが分からなくなりそうだ。


 初期地点あたりの敵だったため、俺たちは無双しながら進んでいたが、イエスタが文句を言ってきた。


「ちょっと君たち、すごいスピードでモンスターを倒すのは見ていてすごいけど、俺らが倒す分のモンスターも少し考慮してほしいかな」


「そこで提案があるんだけど、結構POPも早いみたいだし、狩場が見つかったら、小さい部分でいいから一部俺らに分けてくれないか?」


「POP~? JPOPの話~? 音楽は大好きだよー!」


 脳みそ花畑の女は無視するとして、このイエスタとかいうやつ、ずいぶん図々しいな。連れてってあげる側なのに、文句と要求って、ありえないだろ。


「わかった、ごめん。とりあえず狩場見つけてから、また話し合おう」


「ありがとう、助かるよ」


 俺は、そんなことたいして考えていなかった。どうせこのペースじゃ、ついてこられずに途中ではぐれるだろうと踏んでいた。


 俺は弓を装備して、多少集めても大丈夫なMOBを大量に集め、ランデスにヘイトを稼がせて、無双しながらハイペースで進めていった。


 後ろを見たら、マイとイエスタはもういなかった。ランデスもナメタも気づいてはいたようだが、全く興味なさそうで、俺たち三人はそのまま小さな村に入った。


「ま、利用価値も特になかったし、ガチ初心者連れたパーティーを俺らがお守りとか、性に合ってないしな。悪いね~リア充たち」


 俺は誰もいないチャットに毒を吐いて、先へ進んだ。

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