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【1-3】.準備

理不尽な転生ものではないので、彼らのオンラインゲームの楽しみかたをゆっくりおってください!

 コミュニケーション能力としては、あの3人の中では一番マシな方だとは思う。


 けど正直、一番苦手なタイプってネトゲでも遭遇したくない存在だよな。エンカウントした瞬間に、会話すらしたくなくなるってやつ。


 仕方ない、適当に合わせておこう――。


「どうも。たぶん表示名で分かったと思うけど、レンです」


「俺はイエスタ。こっちはマイ。彼女がリアルの彼女で、フレンド招待枠を一つ使ったわけさ」


「どうも〜!マイでーす!ネットゲームは初心者だけど、イエスタ?に誘われて始めてみたの。最近のゲームって、すごいね〜!」


 うわ、やっぱ彼女か。リア充め、爆発しろ。


 マイが彼氏の名前を疑問形で呼んでるあたり、たぶんハンドルネームにまだ慣れてないんだろう。


 マイって名前も、きっとリアルネームだよな。女子プレイヤーにはよくあるけど、彼氏は止めなかったのかよ……。


 イエスタのアバターは一部に鱗と尻尾があって、どう見てもドラゴン族。そして隣のマイは小柄で可愛らしい感じのアバターだから、小人族ってところか。


「なぁ、レン。俺もMMORPGはあまり得意な方じゃなくてさ。見ての通り、マイも寄り道ばっかりしてるし」


「たぶん今、転職してエリルを出る前にアイテムを買い集めてるところなんだけど……集め終わったら、一緒に少し進めてもらえないか?」


「悪いけど、このあと友達がログインするのを待ってるんだ。そいつらも転職や買い物とか色々あるし、時間かかると思う。だから先に進んでていいよ」


 我ながら、なかなか完璧な言い訳だったと思う。どう見ても説明を求めてきそうなタイプだし、関わるのは面倒くさい。


「そんなの気にしないさ。マイと一緒に、その辺ふらふらとNPCと会話でもしてるさ」


「うんうん!気にしな~い!」


 ……心の中で舌打ちした。NPCと会話って、お前。AIとはいえ、クエストでもないただの町人と話して何が楽しいんだ。頭お花畑か。


 逃げられなさそうなので、無駄に時間を取られないよう妥協することにした。


「わかった。じゃあ、30分か40分後くらいにエリルの出口で合流しよう。フレンドは送っておいたから、承認しておいて」


「ありがとう!助かるよ、それじゃあまた後で!」


「ありがと〜!」


 メニュー画面の仕様が独特で、慣れるまでは時間がかかりそうだ。


 タッチパネルみたいに触るんじゃなく、VRみたいに視界に出てきて、頭の中で操作する感じ。説明しづらいけど、戦闘中にポチポチ回復とかしなくて済むのは地味に便利かもしれない。


 スキルスロットもあるにはあるが、本当に必要なものだけで十分。そういう設計はありがたい。


 ――そんなこんなで、ランデスとナメタが戻ってきた。


 フレンドチャットでナメタから連絡があり、ランデスからはフレンドリクエストが届いていた。


 さっそく合流することにする。それから三人で転職を済ませ、回復アイテムや装備などを整えて、さっきのリア充ペアと合流した。


「ランデスって……それじゃあもう、アメリカの大統領を警護するSPIじゃねえか?」


 ランデスのアバターは、黒い肌にスキンヘッド、身長は最大設定の200cm、しかもゴリゴリのマッチョ。


「キャラクリにステ補正が無いとはいえ、あんな巨体で真っ黒なスキンヘッドが近づいてきたら、プレイヤーでも普通に逃げるだろ……」


「案外、俺はキャラクリに時間かかったんだよ。本当は性別変えて、めちゃくちゃ可愛いキャラにしたかったけど、無理だった。レンは相変わらず適当だな」


 ナメタのアバターはヒューマンだが、エルフのような見た目。長髪で髪色はエメラルドグリーン、凛々しい顔つきで、身長はスラッとした180cmくらい。


 俺はというと、初期設定をランダムにいじっただけ。あまり時間かけたくないし、面倒だからな。今回も顔を少しいじってイケメンにして、黒髪で身長は160後半。リアルと同じくらいだ。


「てか今気づいたけど、みんなヒューマンなんだな。ランデスはもう、別種族にしか見えないけど」


「確かに」


「じゃあランデスとナメタ、ジョブの設定してこい。転職所があるからさ。あとポーションとか装備も揃えて合流な」


「言い忘れてたけどさ、さっき変なリア充二人組のプレイヤーと会って、途中まで一緒に行動することになった。とりあえず、俺ら三人はパーティ組んでおこう」


「リア充のお守りとか最悪じゃん。なんでまた引き受けたんだよ……どうせ押し切られたんだろ?想像つくわ」


 まったく。こういう時に妙に勘が鋭くて、毒舌でちょっと辛辣なコメントを放り込んでくるのが、ナメタらしい。


「俺は全然かまわないけどね~。俺らの攻略の邪魔さえしなければ」


 珍しく真顔で、語尾が伸びてないランデスだった。これは下手に進め方を間違えたら、容赦なく置いてかれるパターンだな。


 そんなわけで、俺たちはもう一度分かれて、後に合流することにした。

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