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【2-4】そんなの丁重にお断りします

 俺らはトーマスさんに成り行きでそのまま付いていき馬車の中で揺られていた。


「俺ら基本的に移動は歩きだったし現代社会では自転車と車とかだったしな」


 この世界にも一応御者を選んで馬車で移動するシステムがある。時間は掛かるが高いランクの馬車なら仮眠しながら移動できるらしい。


 しかし俺らは馬車は利用せず基本的に道中のクエストを終わらせていたため移動は歩きになっていた。これがNFMOに入ってから初めての歩き以外の移動手段だった。


「それにしても貴族の馬車ってだけあってかなりいい馬車なんじゃないか?」


「そうっすねぇ俺は子供時乗馬体験したことはあったけど、馬車はさすがに初めてだなぁ」


「あのミアリス様、この馬車町の馬車依頼所とかで御者と一緒に依頼して移動したりするとどれくらい掛かるんですか?」


「はは~ん驚いてしまったかしら?私達の家のインディー家の馬車に」

「そうね、正直このクラスの馬車を借りることはまずいって無理よ」


 あ~無理なんだ揺れもサスペンションのようなものが付いていてかなり抑えられてるし、中は広い上にかなりくつろげる。


「馬自体も世話係が毎日手入れしているし、馬車自体も特注品だから依頼所程度では乗れないわね感謝するのよ」


 ナメタはアバターでイケメンにしているからすこし憎い感じの上から目線ボンボン様って感じなんだよなぁ。俺はリアルをしってるからそんな事はないけど。


 ミアリス様は年齢は16~18歳くらいで茶髪の綺麗なロングの髪形で顔もあどけない感じが残った可愛い顔立ちだからか高圧的でもうん正直に言う可愛いからオールオッケーと感じる。


「そうなんですね~馬車もピンキリなんだなぁ」


「そういや、ミアリス様町に行ってて買い物でもしてたんすか?」


 確かにあのあたりは雑貨、武具、消費アイテムが買える様な店が並んでる商店街の様な場所だったはず。


「そうよ私もこう見えて一人前の冒険者なのよ、魔法が得意なの」


「ハハハ、ミアリス様この方々の方がきっとかなりの手練れですよ」


「なんでそんな事が分かるのよ!トーマスもいつも見てるでしょ!私の華麗な魔法を!」


 きっとトーマスさんも元冒険者か何かなのだろう、初めてぶつかった時ミアリスへのフォローの速度がただのお爺さんの動きではなかった


 少なくとも野蛮な盗賊たちより気品があってしかもかなり良い動きをしていた。


「なんでですかねぇ、勿論ミアリス様の魔法もすばらしいですよ。そろそろインディー家へ着きますので準備よろしくお願い致します」


 どうやら雑談をしているうちにあっという間に移動していたみたいだ。


 王都の構造は城の周りに上層貴族、その周りに下層貴族、その周りに先ほど俺らがいた様な一般市民が住んでいたりする場所がある。ここはその中でも城に一段と近い上層貴族の場所らしい。


「それではお気をつけて降りてください、入り口まで案内致します」


 俺らはみんなあいた口が塞がらなかった。


「正直ナメてたよ俺もかなりいいマンションに住んでるがこれはそういった次元の話じゃないな」


「兄貴これすごすぎるっすよ...」


 キョロキョロとナメタとタクヤがあたりを見渡していたその気持ちも分かる。庭の時点で広い範囲かなり手入れされていて写真とかで見る花畑みたいになっている。


 勿論屋敷自体は「あ~これくらいか~」とか思うようなレベルではなく小さい町1個分あるんじゃないか?っていうレベルで広そうだ。


「どうよここが私達の家よ立派でしょう?」


「すごい立派な屋敷ですね...僕達のいる世界でもこんな立派な屋敷は見たこと無いですよ」


「それはありがとうございます。レン様やナメタ様タクヤ様もきっと気に入ってくれますよ」

「それでは此方へ」


 トーマスさんはそのまま進んで屋敷の入り口に立ち扉になにやら手をかざした。

 その次の瞬間かなりの大きな扉が自動的に開いた。


「えぇ...以外な所でハイテク」


「「「お帰りなさいませお嬢様」」」


 扉を開けた途端数十人程のメイドさんがお出迎えをしてくれた。


「すっげえリアルメイドさん初めて見たわ」


「兄貴俺もうこの世界に住みますねごめんなさいお父さんお母さん」


 ロングスカートで清楚な感じのメイドさん達でエロスを感じさせないような古いタイプのメイド服を着ていた。グッジョブ。


「喜んで頂き何よりです」


「ふん、使用人が数十人いる程度で唖然としちゃうなんてやっぱり庶民ね」


「それでは旦那様と奥様に伝えて参りますので少々お待ちください。ミアリス様はご入浴をされたいと仰っていましたので準備を」


 メイドにトーマスさんは指示を出してこの屋敷の主人の部屋へ向かっていた。ミアリスは数人のメイドと一緒に風呂へ連れてかれていた。


「いやぁ、なんていうかカルチャーショックがすげえっす兄貴」


「俺もそう思うわ、現代社会でメイドなんて秋葉でちょっとエッチなコスプレ程度でしか見たこと無いよ」


「ここまで洗礼されてるのもこの屋敷の品格が分かるな」


 3人の意見は大体同じでこのゲームというよりもう異世界みたいなもんだけど、その文化に改めて触れて感動していた。


 数分したらトーマスさんが戻ってきてその隣に40代と思われる男性もいた、多分この屋敷の主人だろう。


「お待たせいたしました、レン様、タクヤ様、ナメタ様」


「これはこれは皆様お待たせしてすいません」


「いえいえ此方こそ急に押しかけてしまって申し訳ないです」


「おや、これはこれは丁寧に最近の冒険者と違って礼儀正しい方々で」

「挨拶がおくれました私は元当主インディ・アンドレアムです以後お見知りおきお願い致します」


 アンドレアムさんと言うみたいだ。


「よろしくお願いします。改めて俺はレン、こっちがナメタ、もう一人はタクヤです」


 NPC冒険者の事を言ってるのか、プレイヤーの事を言ってるのかどっちか分からないが確かにタクヤみたいなやつばかりだったらこのゲームの民度が問われるわ。


「どうやらシルがお世話になったようで、ありがとうございます」


「いえ、少しお手伝いさせて頂いただけですよ」


「なんて謙虚な方なんだ本当に珍しいここではなんです奥の客室でよかったらお茶でもしませんか?」


 どうやら気に入られたみたいだこの屋敷の主人とトーマスさんについて行き、大広間から階段を上がって奥にある客室へ入った。


「すっげぇソファーもフカフカだ」


「この紅茶すごいうまいな」


「こっちの人たちは結構ブレない性格ですいません」

 

 俺は笑いながら言った。

 タクヤとナメタは我関せずという感じで俺にすべて"交渉"を任せている、お菓子を食べたりお茶をガブガブ飲んでいる。


「いえいえ気になさらず、それでですね相談があるんですが...」

「どうやら盗賊の集団のボス、ゴンザレスを倒したようですね?」


「はい、それをどうして?」


「この手紙はこのメダル、家紋の親メダルといいますかね、元になったやつを私が持っているのですがそれをかざすともう一つの手紙が浮き出る仕組みになってるんですよ」

「ゴンザレスは元々この王都ヘンリーの名高い憲兵だったんですが、ある事件をきっかけに盗賊になってしまったのです」


 シルさん本当に抜け目ないな。それにしてもなんでそこまでして俺らを利用したいのだろうか。最悪丁重にお断りすればいいけど。

 ゴンザレス、王都ヘンリーの憲兵さんだったんだ通りであんなに強いわけだ。


「それでその内容とあなた達のレベルとクラス。ポークの町での活躍をどこからか仕入れた情報か書いてありました」


「そうですね、それはあまり隠すような事ではないので全然お答えできるような内容です」


「そこでこれからこの王都で貴族対抗での武道大会のようなものがありまして、それに参加していただきたいのです」


 なるほど、用は見世物になれってことか。


「なるほど、すいません僕達は先を目指したいのでお断りします」


「そう言わずに一考して頂けないでしょうか?」


「いや、悪いが正直そんなおままごとのような事をしているよりも俺らは先に進まなきゃいけない」


 キリっとおまけにドヤ顔で言っているがようは俺らはこのゲームを思う存分遊んでランカー入りしたいだけだ。


「そうっすねえランデスさんとも合流したいし、何より俺達のメリットが無いじゃないっすか?」


 アホのタクヤの癖して的確な所を付いてくる。


「いえ、此方からも報酬や私達と同じ地位は無理ですがある程度の社会的地位を譲渡する事は出来ます」


「それでもあまり魅力が無いですね~...お菓子とお茶ご馳走様でした」


 正直俺らの心を惹かせたいのであれば相当の対価が必要だ、おまけにエンドコンテンツでもないし、ましてや今俺らは初心者真っ盛りの攻略中と来た。

 レベルがカンストして俺に関してはジョブレベル全部MAXにする時飽きて暇になってぶらぶらしてた、とかなら考えないでもなかった。


 現状からしてお金やちょっと強い武器程度じゃなびかない、ましてや下級貴族程度だと思われるNPCの中の地位なんてどうでもいい。


 そう考えていたら客室の扉をバンッと大きく開けてミアリスが話に飛び込んできた。


「お父様王都ヘンリー武道大会は私が出ると言っているじゃないですか!」


 どうやらこのミアリス様は相当なじゃじゃ馬なようだ。

単語帳

ランカー:上位ランキングの掲示板やランキング一覧の上位に入っているプレイヤーの呼び方

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