【1-8】.三人はチート持ち
「いや~、俺落ちちゃったけど、よく倒せたね! ごめんごめん、レベル合ってないから即死攻撃で吹っ飛んだわ~。申し訳ない~」
まあ、俺らはなんとか倒せた。でも、仮に倒せてなくてもランデスのせいじゃない。
二回目で倒せばいい話だし、やっぱりあの初見殺しがエグすぎる。
「ありえないでしょ。初期ヘイトが後衛ヒーラーにMAXって……」
「それよりさ、最後にお前が言ってた“ゾーン”って、あれってシステム的な要素? それともプレイヤー側の潜在能力とか?」
ウルフキングの最後、俺は攻撃・回復・バフを一手に引き受けても苦にならなかった。あれは気のせいじゃない。
俺はFPSとかRTSみたいなプレイヤースキル必須ゲーをやってたから、“ゾーンに入る”って感覚は珍しくない。でも今回はちょっと違った。
「アドレナリンがブワッと出る感じじゃなくて、逆にめちゃくちゃ冷静。頭の中がクリアになって、視界が開けた感じだったんだよな」
いつもの“ゾーン”は極限状態の興奮が伴う。反応が鋭くなって、身体が勝手に動くようなやつ。でも今回は違った。
思考が分離して、すべての動作が個別に処理されてるような、不思議な感覚だった。
「もしかしてさ……このユニークスキル、職業とかキャラじゃなくて、俺らそれぞれに与えられてるんじゃない?」
スキルツリーの外れに、ひとつだけ光るスキル。そして謎のスロットがもう2つ。どうやって解放するんだろう。
「俺のは多数脳って名前。効果は“脳の並列処理レベルに応じて同時処理数が増える”って感じ」
実際、複数のことを同時にこなせる。不思議な感覚だけど、“冷静に”状況を見極められるって意味ではかなり強い。
「それと、お前がゾーンに入った時の動きって、このスキルと重なって発動したんじゃね?」
「ちなみに俺は急所探査。スロットはひとつ開いてるけど、これはアクティブスキルで、“クリティカル率75%アップ”だな」
「75%!? そりゃMOBも瞬殺されるわけだ……。装備で25%盛れば確定クリティカルってことかよ」
「ぶっちゃけ、それチートすぎない? クリティカルダメージが単純に2倍だったら、DPS最強じゃん」
「そもそも、今は基礎値が0%だけど、装備次第で盛れるならそれだけで壊れ性能だろ……。ランデスはどうなん?」
「俺はね~、賢者の目と効率上昇の二つがあるよ~」
二つ持ちってことは最初から優遇されてたのか。ナメタが1個、レンが1個+空きスロ2つ、ランデスは最初から2つか……。
「これ、俺ら全員が“選ばれし者”ってやつかもな。あるいはプレイヤー全員にユニークスキルがある可能性もあるけど」
「ちなみに~、賢者の目は、MOBならレベルや経験値、プレイヤーならスキルツリーが見えるってやつ~。対象に視線を合わせるとウィンドウが出てくる感じだよ~」
「ただし、ユニークスキルは見えなかった~。そこは残念~」
「効率上昇はドロップ率、獲得経験値、製造速度アップ。俺に来たの運営様マジ感謝~!」
一人でテンション爆上がりしてるランデスには悪いが、1個目のスキルがぶっ壊れすぎる……。
ユニークスキルまで見えるなら、PVPで無双できる可能性あるぞ、これ。
「とりあえず、全員がチート級スキル持ちってのは確定したな……」
「使い方次第では、俺らがPVP最強パーティーかも。とにかく、ユニークスキルは隠しておこう」
「ランデスのスキルでも見破れないなら、黙ってればバレないはず」
「ただな~、俺のスキル、便利なだけで地味なんだよな。アドレナリン出てないとゾーンには入れないし~。あと2スロあるけどさ~」
「レンがスキル3枠か。ナメタは2枠で1つ開放済み、ランデスは2枠フル解放。あの脳筋コンビとも合流できたら、スキル聞き出しておきたいな」
ナメタの言葉、ちょっとキツいよな……。俺らには平気でも、他のプレイヤーと揉めないか心配だ。
正直、スキルツリーもろくに見てなかったから、こんなチート級があるなんて気づかなかった。
「まあ、とりあえず先へ進もうぜ。適正レベルなんてもう越えたし、ゲリラクエスト意外とウマいかもな」
「クエストこなしつつ、次のエリア行こうぜ。目指すは——イカサ大陸! レベル31~60のゾーン、出発進行~~~!」
現在いる大陸はアルバート国です。初期町の一番出かい国の設定です。レン達の気が向いたらクエスト受けにお城に行くかもしれませんね。
大陸説明はどっかでする予定なのでお楽しみにしてください!そしてチートスキルは主人公のレンが一番ヤバイ事にはまだ気づいてない彼らです。
因みに他ゲームからのアイテム持ち込み要素設定は今考え中ですが一応、次の大陸のとある場所から出来るようにするつもりです!




