1.効率厨と効率厨と効率厨
はじめましてはちは辺境と申します。
初めての小説を書くというチャレンジですが、自分がこれから書いていくのは
完全に今は趣味の範囲で好き勝手やって行きたいと思います。
それでも面白いと思ってみてくれる方はよければコメントや感想残していってもらえればとても嬉しいです。
新しく試みるものなので粗末なものを投稿している自覚はありますが、お付き合いいただければ幸いです。よろしくおねがいします。
俺は21歳、現役の大学生。
特に頭がいいわけでも、顔がいいわけでもない。
みんなに褒められるような特技なんて、もちろんない。
ただ、物心ついた頃からずっとゲームだけは好きだった。
小学生になる前からゲームにどっぷりハマり、小学校に上がると同時に親からお下がりのPCをもらった。そこからネットゲームの世界に、もう完全に浸かってしまった。
小学生の頃は、青いロボットが腕からエネルギー弾を撃ち出すゲームや、赤や緑の帽子を被ったおじさんたちがパーティー騒ぎするゲームなんかもよくやってた。
もちろん、某有名カードゲームだって一通り遊んだ。
友達と遊ぶ分には家庭用ゲーム機だから、問題なかった。
……でも。
中学に上がる頃にはもうネトゲ一色。
リアルの友達も自然と減っていき、中1の後半から中3まで、俺はずっと不登校だった。
アニメばっか観て、憧れだけが募った「普通の学校生活」。
それにちょっと夢を見て、中3の途中から復帰したけど、友達はネトゲで偶然つながってた一人だけ。
その後、どうにか底辺高校に入学して、趣味の合うヤツも数人できたけど、結局「親友」って呼べるのは数えるほどだった。
大学に入ってからも状況はあまり変わらない。
できた友達(?)と、くだらない授業を一緒に受けて、くだらない話をして、適当に日々を消費してる。
俺は、いわゆる“キョロ充”ってやつで、ヒエラルキーの下の方で生きてる。
それでもネトゲだけは、変わらず俺の一番の趣味であり、特技だ。
そして今日も学校から帰ったら当然のように――
「はー、疲れた。とりあえずログインするかー」
PCを起動して、ネトゲにログイン。これが俺の“本当の一日”の始まり。
――のはずだった。
「え、メンテ?」
『致命的なバグが発見されたため、緊急メンテナンスを行います。申し訳ありません。』
『予定:17時30分〜未定』
「出たよ、“未定”……。長引くやつだな。早くても3時間コースかな」
こうなると他のゲームで時間潰すしかない。
せっかくだし、いつものネトゲ仲間を誘うことにする。
俺:「今日ランデスとナメタ暇?新しくオープンベータ始まったMMO触ってみようぜ」
ランデスは中学からの唯一の友達。
ほんわかしてて、いつも盾職をやってる。
ナメタは高校で出会った同類。ノリも性格もよく似てる。
俺たちは新しいMMOが出るたびに、とりあえず触っては遊び尽くし、次へ――っていうのを繰り返してる、リアル友達兼ネトゲ仲間だ。
反応は即。
ランデス:「いいよ〜」
ナメタ:「おう、どうせやるつもりだったしレンと一緒にやるか」
3人揃って、いつものVCに集合。
「韓国産のゲームだけど、翻訳して攻略サイトも一通り読んだ感じ、最初のレベリングはクエスト消化だけで良さげ」
「日本鯖ではスタダ(スタートダッシュ)イベントもやってるから、それ利用してカンスト目指す感じで」
スタダイベントは、新規ユーザー向けに経験値ボーナスや装備支援があるイベントのこと。
この手のゲームでは効率よく進めるには欠かせない。
「俺はいつも通りナイトやって盾やるわ。ナメタは回復系やってくれると助かる」
「ランデスいつも盾職だな、ドMかよ」
俺が笑いながら言うと、ランデスはこう返してきた。
「意外とね、盾が一番ダメージ出せたりするゲームもあるんだよ。火力職って装備高いし、地雷も多いし」
「なるほどね。そう考えるとナメタが一番ドMだな。俺はいつも無難な優遇職ばっかやってるし」
――とまあ、こんな感じでゲーム情報を事前に調べつくしてから始める、いわゆる“効率厨”な俺たち。
数時間後、俺は切り上げることにした。
「とりあえず俺は戻るわ。ランデス、ナメタは?」
「俺は風呂〜」
「もうちょいこのゲーム遊んどくわ。なんかレア出たら送っとく」
「サンキュー、お疲れ〜」
ログアウトして、メインのネトゲのメンテ状況をチェックする。
『メンテナンス中 終了時刻:未定』
「まだかよ……失敗したな、早すぎた」
仕方なく、メールでも確認してから仮眠するかと思ったら――
1通の見慣れないメールが届いていた。
件名:NFMOnline クローズドベータテスト当選のお知らせ
本文にはこうあった。
「NFMOは、他のネットゲームと“接続”し、一部のアイテムやスキルを持ち込める全く新しいタイプのMMOです。」
「自分の分身でログインし、他のゲームの力を使って最強のキャラを作るのも自由。参加者には2人まで友達を招待できます。」
さらに、ダウンロードリンクと友達招待コードまで記載されている。
……正直、怪しすぎる。
普段なら即ゴミ箱行きだけど、今日はなんとなく引っかかった。
「応募もしてないのに当選通知?しかも内容が意味わからん」
まあいいや。ひとまず仮眠して、起きたらランデスとナメタに聞いてみよう。
このゲーム、聞いたことあるかどうか――
そう思って、俺はベッドに倒れ込んだ。
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ボイスチャット;ゲームをやりながら話すツールの事を指します。有名な物ではSkype等が挙げられます。最近ゲーム界隈ではDiscordと言うものが流行っていますね。