タイムマシンができた日
短編集第1話でございます。
きっかけは、幼少期に読んだドラえもんだった。
ドラえもんに出てくるひみつ道具「タイムマシン」は、乗って操作することで時空間を移動できる。
彼、高田恭太郎はタイムマシンに感銘を受け、製作を決意した。
それから幾星霜62年、彼は漸くタイムマシンの機構の完成を目前に控えた。
それまで数えきれないほどの失敗を重ね、今回やっとの思いで完成に近づけた。彼の作り上げたマシンの機構は筆舌に尽くしがたい程に複雑で、緻密なもの、それは彼の人生の織り成したものと言えよう。
残り一つ。接続部の溶接が完了し、通電すれば、理論上、このマシンはタイムマシンとして機能する筈だ。
ハンダを手にとり、ハンダごてを溶接部に当てて加熱させ、ハンダを着ける。融解したハンダが線に絡み、直に固結する。
ハンダが固結し、彼はマシンのフタを閉め、電源の鉛蓄電池とのコードを接続しt
ちゃんとこれで"終わり"ですよ。
終わったのはこの話も、世界も。
いや、持論なんですけど、タイムマシンを使って過去改変を行うと後世に影響が出るって話で、極論を言えばタイムマシンで世界が滅ぶ、そういうこともありうるわけです。そんなこと起こらないって?いいえ、私の想像にある以上は世界が滅ぶ可能性が幾許かあるわけです。なら、タイムマシンは世界を滅ぼす可能性を秘めた爆弾だ。
そう、私なりに言ってみたかったんです。