05砦の戦い
帝国軍の残留部隊は、精鋭ではなく、それなりの戦闘力を維持するための傭兵が多かった。
この世界では略奪は早いもの勝ちである、帝国でも正規兵でさえ戦闘時の略奪を黙認されていた。
まして傭兵は生活がかかっている。
降伏したのだと誤解し、5000の兵のうち半数以上が殺到した。
砦の中に人影はなく、かなりの兵がはいってから突然鉄門がガシャンと閉められた。
砦の上に弓兵があらわれ、真下に向かってうち続けた。
「ぎゃあああああああ」
「逃げ場がない」
半狂乱になりあっという間に帝国兵は数を減らす。
「鉄門をあけよ」セラは命じた。
ホーリーは、せっかく閉じ込めたのにまた開けるのかと不満だったが、とりあえず黙っていた。
再び門が開き、恐慌状態の兵が我先にと逃げ出した。
「いまだ、かかれ」
門の上から、はしごをおろし砦におりたセラの軍勢は、武器を槍に持ち替え恐慌した帝国軍を追い出した。
「そのまま追撃、一気に敵陣を落とす」
恐慌は伝染し、帝国の兵は浮足立っていた、そこにセラの精鋭が突っ込んだ。
勝負はあっけなく決まり、守将は捕らえられた。
少年少女兵も縄をといてもらい、セラに感謝された。
「危険な役目をまかせてすまないね、感謝する」
「セラ様のためなら、おやすい御用です」
こうして砦の戦いは、セラの率いる軍の勝利となった。
◇
「さて、本隊のほうをどうするか」
「セラになら良い考えがあるんじゃない?」
「神聖ちゃんの出番かな」
セラとホーリー、透明化を解除したケルベロスが、捕虜だらけとなった帝国陣地で話していた。