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04謀略のセラ

 ホーリーは、村に向かって歩いて行った。


 ケルベロスは目立たないように透明化してついて来ている。


 実はヴァンプ族と修羅族はあまり仲が良くない。


 高貴と自称している異能力のあるヴァンプと、平民あつかいの修羅族、お互いあまり関わり合いにならないのが普通だ。


 ホーリーも、幼年士官学校で友達だったセラ以外とはあまり話したくなかったのだ。



 帝国軍では、捕虜の謁見が行われていた。


「タキタ司令官、先ほどの幼い兵が情報と引き換えに命乞いをしております」


「ふむ、それで何と?」


「指令官と直接話したいそうですが、いかがいたしますか」


 タキタは、目の前に5人の少年少女兵を並べた。


「なんの情報を与えてくれるのかな?有益ならば、助命してやらんこともない」


 少年少女兵の一人ポーが答えた。


「実は、主力部隊が奇襲を行うため南の山を越えて回り込み、帝国軍の背後を襲う予定なんです」


「なるほど」


 罠だろうとタキタは考えた。


「よし、その者たちの首をはねよ」


 その時、斥候からの伝令が到着した。


「申し上げます、南の山を越えた部隊約1500名が川の浅瀬を渡り、こちらの後ろに回り込もうとしております」


「かの勇猛な、赤い軍服に長剣を持つものも確認しました」


 バーバリアン族の町は、帝国軍の後ろというほどではないが、修羅の村から北東よりにあるので、大きく迂回して帝国軍の後ろに回り込む進軍ルートにみえた。


「あの者か、この前は手ひどくやられた」


「よし、10000の兵とエルフ、ハーフエルフ、小ウータンは、俺と共についてこい、残りは砦を見張れ決して攻めるな。その子供らは縛って見張っていろ」


 タキタは10000の兵と1300の亜人兵を連れ、少し後方の橋をわたり、奇襲部隊に奇襲を仕掛けることにした。


  

 少し前、南の山を抜け川の浅瀬を渡り脱出しようとしていた族長代理キヌオンに追いつく者がいた。


「キヌオン様~」


 早馬からおりた兵が叫ぶ。


「セラ様から、これをと」


「これは、族長の戦闘服、それに族長の水月長剣ではないか」


「もはや助からぬかもしれぬし、族長の弟であるキヌオン様に持っていてほしいとのことです」


「そうか・・」


 キヌオンは颯爽と真紅の戦闘服を羽織り、剣を手に取った。


「これからはわしが族長ぞ!」


「おお~」



「ようやく会えたわねセラ」


 ホーリーは、村でセラと再会した。


 10歳で幼年学校に入り、同じ宿舎になり、最初はけんかもしたが、成績下位同士次第に仲良くなっていった。


「半年ぶりだねホーリー、来てくれてうれしいよ」


「相変わらず男装の麗人って感じね、さぞ女の子にもてるでしょ」


「いや普通に男のほうが好きだから、どっちかというと」


 軍服すがたに兜をつけているので、すごくかわいいのにからかわれるセラであった。


「どっちかというとは、いらないんじゃ」とナナリーも笑う。


「それでこれからどうするの?」ホーリーは心配そうに尋ねた。


 砦の前にはまだ5000の帝国兵が残っている。


「砦の前門を開こうか」


「え~なんで~、降伏するの??」


「攻めかかってくれればいいんだけど、守りを固めているみたいだからね」


 ギィイと音がして砦の鉄門が開いた。



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