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02帝国攻勢開始、矢は放たれた

簡易地図


        【北】


        帝国軍     橋 

         砦      川

【西】 山   修羅族の村   川  カシミール平原【東】

         山      川

        【南】     浅瀬

 修羅族しゅらぞくの村は、北の砦の奥に作られている。


 村の入り口である北側をのぞけば西と南は山、東は急流の川に阻まれており、これまで2度帝国軍の侵攻を防いでいた。



「突撃いぃ!」


 帝国の将タキタの号令により、戦いが開始された。


 エルフとハーフエルフ計100人の火矢が放たれる。


 帝国軍の兵たちがはしごをかけようとし砦に詰め寄る。


 初日はなんとか貯めていた水で火を消し止め、はしごを立てかけるのを槍で邪魔をしてしのいだ。


 しかし、2日目にはもう、砦の建物の一部が火矢により燃えおち、なんとか撃退したものの一時帝国軍の兵の侵入を許した。


 このままでは明日にでも落とされるのではないか?


 そんな不安が修羅族しゅらぞくに蔓延していた。


 2日目の夜、作戦会議がひらかれた。


「このまま座して死を待つのですか、それでも誇り高い修羅族しゅらぞくの戦士なのですか」


 セラは吠えた、だが意見は通らない。


 今は族長代理がナンバー1なのである。


 新しい族長が決まってないのは、死後1か月と19日の間は死者の魂が村の御柱ミハシラに残されていると修羅族しゅらぞくの間では信仰されていたからであった。


 3日目、帝国軍は、散発的な攻勢であまり攻めてこなかった。


 族長代理のキヌオンやナンバー2の指揮官である老将タタオンは喜んでいたが、セラは、のちの大攻勢を予想していた。


「老害だよね~」


 ナナリーは小声で言い放った。


「これは近々攻めて来るだろうな」


「ふむふむ、セラはそう思うのね、ならそうなるんでしょ、でも対策は考えてあるって感じね?」


「どうだろう、わたしもかなり焦ってるよ」


「お父さんやお母さんみたいにはなりたくないな~♪」


「だから楽しそうに言うところじゃないだろ・・」


 ナナリーの両親は1度目の防衛戦で戦死していた。


 また、セラの父である族長は2度目の防衛戦で奮戦し、帝国軍を追い払いはしたが、そのときの戦傷がもとで先月息を引き取った。


「あと20日もすればセラが族長になるのに、悔しいな~」


「その間に殺されるかもしれないけどね」



 3日目の深夜、ひっそりと帝国軍にエルフの増援が1000人到着した。


 エルフの火矢は砦の土壁を越え建物を燃やすので厄介であった。


 修羅族しゅらぞくのほうは、東の川から水を汲めるとはいえ、あまりそちらに戦力をさくと土壁をはしごで上る人間の兵に対応できなくなる。


 あけて4日目、エルフの増援を確認した族長代理キヌオンと老将タタオンは絶望していた。


 セラは、我が意を得たりとばかりに「ふっふ」と楽しそうに笑った。


「へんな笑いかた」


 ちょっと引き気味のナナリー


「もしかして壊れた?」


「壊れとらんわ~(怒)」



 帝国の大攻勢が始まる・・・



 こつこつこつ、足跡を残して、南の山を登る者たちがいた。


「間に合わないかな」


 ネクロマンサーの少女は、ケルベロスにまたがり修羅族しゅらぞくの村へ向かっていた。


 足音は彼女の使役しているスケルトンのものであった。


「セラが生きてればいいけど」



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