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01戦いの村

 村に風が吹いている。


 と言っても台風のような暴風ではなく、かと言ってそよ風というふうでもない。


 人間の感覚でいえば「ちょっと強い風が吹いている」といったところであろうか。

 

 だが、その村に住んでいるのは、いまは人間とは呼ばれない。


 もともと人間の村だったのが、魔族側に属することになったため修羅族しゅらぞくと呼ばれるようになったのである。

 


 修羅族しゅらぞくの少女セラは、14歳。本日この日、人間との戦に出る初陣である。


 髪は黒く長い。


 目もまた黒い。

 

 金髪で青い瞳の外人風が多いこの村ではちょっと変わった風貌だった。


 どことなく少年ぽさのある活発な少女で、ボーイッシュな子であった。


 口調も男の子っぽかった。


 ちなみに胸はまだない。


「おはよう、お母さん」


「おはようセラ、今日は亡き父にかわり、神の蛮族である人間を殲滅するのよ」


 物騒なことをいう母であったが、それも仕方のないことでセラの父は人間との戦争で戦死していたのだ。


「おはよん♪」


 となりの家のナナリーが来た。


 ナナリーは、この村によくある金髪、青い目の少女でセラと同じく14歳であった。


 かなり天然ボケである。

 

 胸はけっこうある。


「やっと初陣だね~♪」


 セラの家のお菓子をぱくっと食べるナナリー。


「そんなぱくぱく食べると太るぞ」


 ちょっと体型がうらやましいセラであった。


「運動すればいいんだもん♪」


「まあ、今日からは運動どころじゃなくなるだろうけどね」


「うんうん、人間が攻めてきてるからね~♪」


 楽しそうなナナリー


「明るくなるところかっ(怒)」



 この世界、神と悪魔は直接の対決を避け代理戦争を仕掛けあっていた。


 数度にわたる人間からの侵略により、数種の魔族がほろぼされた。


 魔族と呼称される勢力は、反抗しはじめ、人間の村が襲われ数万人もの人が犠牲になっていた。


 戦火は広がりとどまるところを知らなかった。



 村の北方に人間の軍である帝国軍15000人、亜人軍300人が陣取った。


 亜人軍はエルフ50人、ハーフエルフ50人、小ウータン200人の混成部隊であった。


 小ウータンというのは、ちょっと毛の多い小さめの人間といった種族である。


 オランウータンになんとなく似てる。


 対して修羅族しゅらぞくの陣容は2500人、堅固な砦にこもっているとはいえ勝ち目のない戦であった。 


「15000対2500では籠城しかないだろう、戦力差がありすぎる」


 族長代理のキヌオンは作戦会議の冒頭でみなを見据えて言った。


「いえ、ガーゴイル族も敗れた今、援軍も望めず籠城してもエルフの火矢にやられるだけでしょう。このセラに兵を1000おまかせくだされば、帝国の大将を打ち破ってごらんにいれます」


「初陣の小娘がなにをいうか」


「族長の娘だからといって、調子にのるな!」


 怒号が飛び交う。


 セラは筆頭五百人部隊長であり、この軍ではナンバー3になる。


 初陣でナンバー3なのは戦死した父が族長だったからである。

 

 とはいえ、まわりは名誉ナンバー3としてしか考えていなく、いわゆる【お飾り】であった。


「セラはひかえておれ、ここは籠城と決める。ガーゴイル族は敗れたが全滅したわけではない、使いを出して十日にもなる、援軍が来る可能性もあるだろう」


 望みの薄い援軍だった。




ちょっと重い話なので、少し明るくなるように修正しました(10/27)。

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