表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お兄様と呼ばないで!  作者: カブラギ Kサク
18/19

第十七話「特別な日」

「二人とも、目を開けていいぞ」

僕は管理者に言われてゆっくりと目を開けた。

真っ先に飛び込んできたのは……ストップウォッチのさし示した、その数字。


「あ……」


さんじゅう、びょうだい……!


ストップウォッチの数字は、30秒01をさしていた。

おねーさんの数字は……30秒、02……!!

「や……やったあああああっ!!」

「やったね、アキラ君っ!!」

僕達は思わずはしゃいでしまった。

これでおねーさんは記憶を消されずに済むし、自由の身だ。

「ふむ。確かに試練はクリアーだ。無罪放免としよう。しかし——」

「しかし、何だよ?」

「里を抜け出したことについては、だ。全ての罪を赦すとは、私は言っていない」

「そんな……そんなの汚ないぞっ! 僕達は試練クリアーしたんだ、情状酌量の余地があったって……」

「封印指定者・結名よ。お前に今問われている罪は『契約時に自ら儀式の口づけを行った』ことだ。本来儀式は契約者たる男のほうからするものだ。緊急を要したとはいえ、お前はこの順序を間違えてしまった。これも掟違反であることに変わりはない」

「お願いです。記憶を消すのだけは……!」

おねーさんの体は小刻みに震えている。

管理者は腰に差していた長剣を抜いた。

「何をする気だっ!?」

「知れたこと。処罰を下すだけだ」

大変だ、おねーさんを守らなければ……でも。

体が、動かない……!

さっき使った拘束魔法だ。口も動かない。

おねーさん、逃げてくれ……!

そして無情にも魔法管理者はその剣を……振り下ろしたのだった……!





「おーきーろー、明良兄ぃ! あーさーだーぞー!」

僕は強引に布団を引っぺがされた。

「折角冬休みになったんだから、もう少し寝かせてくれよぉ」

「だーめーだーよっ!」

「ふごおっ!?」

妹は僕の脇腹に鋭い蹴りを叩きこんできた。

「ごふっ、ごふっ! ほ、本気で蹴りやがった……!」

「そう? 今のはせいぜい四割くらいの力しか込めてないんだけどなぁ。それより、今日は『大事な用事』、あるんでしょ?」

そう。今日は僕にとって……いや。

僕達にとって、特別な日なのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ