4月3日 強欲
1
最近、臆病な性格になった気がする。
というのも、人と話すと少ししり込みしてしまうのだ。
「駄目だなぁ……このままじゃ」
何とかしようと思っていても、ついついだらけてしまう。
今だってそうだ。
俺はベッドの上に寝転がって携帯を弄っている。
「おっ。新しいゲームアプリだ」
すぐさまインストールボタンを押した。
「うわ……重いな、たぶん」
データが大きいのか、中々インストールが完了されない。
「もういいや。飯にしよっと」
ゆっくりと立ち上がって、台所へ向かう。
「うーん。これでいいか」
戸棚の近くに置いてあったバナナを手に取った。
その場で皮を剥いて、一口食べる。
「うまっ」
近くのスーパーで買ったものだが、空腹であったのも関係したのか、妙に美味しく感じた。
2
「このアプリつまんね」
先ほどインストールしたアプリをやってはみたが、まったく面白くない。
すぐに終了して、消去した。
「最近暇ー」
携帯を放り投げて伸びをする。
思えば春休みに入ってから、特に何もしていない。
彼女と青春を楽しむでもない。
というか、彼女はいない。
「はぁ。何なんだろ、俺の人生……」
ここ一週間でやり遂げた事と言えば、春休みの課題くらいだろう。
「……何か、わかんねーけど吹っ切れた。思い付きじゃねぇ」
俺は思いっきり拳を握った。
「変えてやる、俺の人生」
3
夕食後、俺は母さんへ話しかけた。
「この前言ってた、その……ジムのクーポンだっけ? あれ頂戴」
「良いわよ、はい」
母さんは懐からすぐに券を取り出した。
「ありがとう、じゃあジム行って来る」
「あら、さっそく行くの?」
「うん、ちょっと考えて即実行が俺の良い所」
そう言って、玄関へ向かう。
「待って、明日……わかってるね?」
母さんが呼び止める。
「……ああ」
俺はそう答えて家を出た。